2024/11/22

11/22 店日誌

11月22日、金曜日。ビーチボーイズ『ライト・アルバム』に針を落とす。はっきり言ってジャケはイマイチ、ほっとけば聴かないままだったと思うのだけど、これがなかなか悪くない。大きな山場がないまま地味な曲が続いて、コーラスが重なっていく。低空飛行。なんとなく冬っぽさを感じたりして、じわーっと身体に染みこんでくる。B面の「ベイビー・ブルー」から「ゴーイン・サウス」への流れ、今日の天気にぴったりだ。

本作はじめ、中古レコードにいろいろと入荷あり。だいたい1000円以下で、買いづらくはないかな〜と思ってるけど、どうだろう。期待せず軽い気持ちで、見てくれたら嬉しいな。

今日も通常営業。お暇があれば、お出かけください。

2024/11/21

11/21 店日誌

11月21日、木曜日。ここ数日かかりっきりだった『大友良英のJAMJAM日記』を読み終えて、手に取ったのは田村隆一『退屈無想庵』。「退屈隠居をきめこんで猫と一緒に日がなゴロゴロ/そんなボクが日記を書いた! 初公開、詩人のボクの鎌倉日記」と帯にある通り、平成2年12月5日(水)にはじまる日記帖。飄々としながらするどい知性も漂わせる。いい加減なようでいて、言葉に対する観察眼は真似ようがないほどに独特で正確だ。

大晦日、大晦日とあんまり云って貰いたくないのである。こう云う事は、なるべく、そっとして置いて、無闇に騒ぎ立てない方がよろしい。恐ろしく切迫つまった事のように、世人が考えたがるのは、迷信である。或いは為にする輩の手なのである。小生は滅多にその手に乗らないぞと考えている。(内田百閒)

入院中の田村氏がベッドでひもとくのは内田百閒。百閒先生の金銭(借金)論を語りつつ、明治5年から6年にかけての明治政府の強引な太陽暦の採用を紹介する。そのなかにあったのが上記の一節、年末年始のかけ声が迫ってくるのを恐れる自分をスッとさせるものだった。筋のとおった人の言説に触れると、妙に嬉しい。多少無茶であるくらいがちょうどいい。

筑波大学の学生を中心に結成された「つくば現代短歌会」の機関誌『つくば集』第四号に要注目。誌面一新大躍進号! といって大袈裟でない内容と分量。初回分はすぐに売り切れ、週明けに補充済み。オンライン・ストア〈平凡〉でも購入可能。

今日明日は15時開店! 本の買取、査定もご依頼は常時歓迎。お問い合わせはお気軽に。

2024/11/20

11/20 店日誌

11月20日、水曜日。年末、師走、忘年会なんて言葉が耳に入ると気が重たくなる。そんな話はまだ、いい。予定も約束もなくていい。個々人、できるだけのことをやって、日々を過ごしていこう。自分は来月の出張、来年の催事に向けての準備を進めていければいい。突然あらわれる友人がもってくるビール、たま〜にある小さな飲み会、今はそれくらいで充分だ。無茶やればいい、って年でもないもんね。

オレは、いつも、この名づけようもない新しい音楽が生まれてくる瞬間への強い愛情と興味があるのと同時に、ブームが去った後に、何が残るか、いったい、その後どうやって各人がサヴァイヴァルしていくのかのほうに、それ以上の強い興味があるのだ。(…)問題は何を始めるかだけではなく、始めたものに対してどれだけ責任を取れるのかという話でもあるのだ。(大友良英)

今日も『大友良英のJAMJAM日記』を読んでいる。上記の一節を2006年12月末の日記で見つけて、ウームと感じて、立ち止まった。始めること、続けることってのは区別されずに語られがちだけど、しかも前者のほうに多くの関心が向きがちなのだけど、後者にこそ物事の本質が宿るんじゃないかと思う(でも、それだけに執着してると凝り固まっちゃうんだよなあ……。バランス取りがむずかしい)。

引用しながら他者を批判したいわけじゃなく、これから自分が始めようとしていることへの厳しい激励だと受け取った。始めただけで定期開催できず、継続もせずに終えてしまうのは避けたいのだ。

今日が、今年のストーブ初日。去年はいつから使っていたっけなあ。

2024/11/19

11/19 雑記

なんの予定もない休日。柏にでも行こうかなーと家を出る。自転車でゆっくり走ってつくば駅、電車を乗り換えて柏に到着。ディスクユニオンに向かってぶらぶら歩くと、イトーヨーカドーが無くなってる。わかってたけど少しさみしい。ジュンク堂も閉まっちゃったんだよなあ。開店時間ぴったりにユニオン入店。めずらしい音楽がかかってるのが気になってレジ横で確認すると、竹村延和だ。空白が多くて気持ちが落ち着く。たまに入る言葉、歌ではない発声にドキリとする。

レコードをたんまり買うとズシリと重たい。さあて、次はどうしようか。柏駅に戻ってキネ旬シアターの前を通過、小さな商店街を通り抜けると小学校が見えてくる。どこか昭和っぽい風景。角を曲がってすこし歩くと遠目に古本屋が目に入る。店前の均一棚には高齢の先客が何人か。よかった。太平書林が開いている。入口すぐにレコードがぽーんと置いてあったり、本の山があちこちにあったりして、これぞ古本屋! という感じの雑然とした店内。ここはほんとに値付けがやさしい。こりゃ、うちみたいな店はかなうわけがないな……と、落ち込みつつ反省する。もっと買いやすい値段設定にしなければ。

数冊の本を持って会計、やっぱり安い。ビニール袋をぶら下げてまた歩く。駅隣接の百貨店周辺はたくさんの人がいる。年齢層も幅広い。一歩一歩、ゆっくり足を進めるご老人。携帯片手に颯爽と歩く若者。主婦のグループ。高校生たち。ベビーカーを押す若そうなお母さん。流山おおたかの森を経由してつくばに戻ってきたのが14時半頃。今日は天気がいい。

真っ青な空と街路樹の紅葉が相まって、街の色がすごくきれいだ。味わうようにゆっくり歩く。大学内のサザコーヒーに入ってコーヒーを注文。外のテーブル席で待ちながら学生が行き交う通りをながめる。派手な髪の留学生、ジャージを着た運動部員、さりげなくお洒落な人もいる。ぼーっとしたり本を読んだり、思いのままに15分。ああ、たまには店を離れないとダメだな。視野が狭くなってた自分に気がつく。

日誌を書きおえたら外はまっくら。谷川俊太郎さんが亡くなったらしい。

2024/11/18

11/18 店日誌

僕らがやっているのは敵に向かって攻撃するような音楽ではなく、僕らの居場所を自分の手で確保していくような、自分の生き方を自分の方法と判断で決めていくような、切実だけどおおらかなサヴァイヴァルの音楽なのではないだろうか。(大友良英)

11月18日、月曜日。一昨日、昨日に続いて今日も『大友良英のJAMJAM日記』を読んでいる。上記したのは2004年10月某日に記された「香港、中国、そして台湾──ディクソン・ディーの挑戦(その3)」で見つけた一節。「(ソウルにも台湾にも)政府も企業も関係なく、身軽に一人で立ちながらやっていく等身大の音楽の居場所が着実にできてきている」という実感を経ての言葉には、20年後の今もつよく響く力がある。来年初頭に準備しているイベントに向けて背中を押されたようで、ぐっと胸が熱くなった。

開店前に〈S〉に行くと、客は自分ひとりだけ。注文した蕎麦がくるまでの10分ほど、お茶をすすりながら本を読む。じわーっと心が満たされていく。せいろの大盛りにも大満足。会計時にかるく話して店を出た。

今日は通常営業。店はもちろん、オンライン・ストア〈平凡〉にも動きあり。

2024/11/17

11/17 店日誌

11月17日、日曜日。暇なら本を読んでりゃいい。そう書いたら開店からしばらくずーーーっと暇で、レコ寄席の出店で買った『大友良英のJAMJAM日記』を読んでいた。ニューヨーク、ウィーン、サラエボ、ソウル、つくば(!)、ボストン、ケベック、ナンシー、六本木、新宿、吉祥寺……と、とにかく移動しまくる大友さんに驚かされる。フェスやワークショップ、単独でのライブ、出演形態も色々だ。全体の5分の1くらいまで読んで2002年、今の自分と大友さんは同い年。無理矢理にでも動かねば! 読みつつ幾度も刺激される。

招聘されたニューヨークでの音響、主催者の弱腰、筋の通らない姿勢に怒りを示す。権威的だったり右ならえ的なジャーナリスト、腰巾着のような音楽ライターへの反感。小さくとも意思のある催事、会場への共感。音楽家、表現者との連帯と孤立。感情が入り乱れる日記で、読みはじめたら止まらない。

夢中になって読んでると「チワー」っと佐藤拓人夫妻があらわれて面食らう。「なんでなんで?」と話し始めるとお客さん。その後もまたお客さん。ナツナさんもきて、話しこむ間にも来客あり。なんだかんだで、賑わいのある土曜日だった。

急だけど、今日は11時から17時までの短縮営業! ご都合合えば、ご来店を!

2024/11/16

11/16 店日誌

11月16日、土曜日。昨日は田口史人さんの《レコード寄席》開催のため、18時までの短縮営業。開いてるのは正味3時間。短すぎて忍びない。だったら週末は早く開けて、営業時間を延ばせばいい! 週はじめはそう思っていたのだが、今になると失敗したかも……なんて気持ちも芽生えてくる。11時に開けて人は来るのか? 20時まで飽きずに店にいられるのか? こまごまと考えはじめるとキリがない。とにかくやってみよう。心の中でどりゃー! っと叫んで気合いを入れる。暇なら本を読んでりゃいい。

短縮営業と謳うと、不思議なもので来客が尽きない。レコ寄席楽しみだな〜と落ち着かないテンションで店にいると遠方の方、なじみの方々などが来て、それぞれに物を選んで買っていく。短距離走のような金曜日。となると今日は長距離走か。

レーベル在庫がわずかと聞いた、mmm『Blue/Tanko Bushi,Row Your Boat』が滑り込みで再入荷! 中身のつまった7インチ・シングル、B面収録の「炭鉱節」は満月の夜にぴったり。同時に買い取った『店の名はイズコ』も、オンライン・ストア〈平凡〉で購入可能。

てなわけで、今日明日は11時開店。お暇があればご来店ください。

2024/11/15

11/15 店日誌

11月15日、金曜日。ガラガラと店にドアが開いて、入ってきたのは二人の若者。まっすぐ丁場に向かってきて「ぼくたち、筑波大の現代短歌会のメンバーで……」と話し始めて、すぐに了解。機関紙『つくば集』を持ってきてくれたのだ。当店でも販売した創刊号と第二号、扱わなかった第三号を経ての最新号はこれまで以上の厚みがある。会員の作品や座談、評論などで構成されていて、読みごたえもある。迷わずに買い取ると、彼らもそれぞれ本を買っていく。自然で健やかなやり取りだった。

上記の本はオンライン・ストア〈平凡〉にも追加済み。他にも古本を主にして日々なにかしらが入荷していて、売れていくものもある。気が向いたときに覗いてほしい。

今日はレコード寄席開催のため、18時までの短縮営業。ご来店はお早めに。

2024/11/14

11/14 店日誌

11月14日、木曜日。いよいよ明日は田口史人さんのレコード寄席。最初の2回は当店で開催。その後はずっと隣の〈千年一日珈琲焙煎所〉で開催している。文学者、ムードコーラス、日本のラテン、レコード最後の日、ビートルズ。前々回から急に来場者が増えて、前回はもはやパニック状態。「お茶の間にロック! ~サザン・オール・スターズ異聞」がテーマの明日は一体どうなることか……。一応、予約制で30人限定で開催するので、ご来場希望の方は会場までお問い合わせを! 現状、まだまだ席はあるとのこと。

今日は通常営業! 明日は15時から18時までの短縮営業です。

2024/11/13

11/13 店日誌


11月13日、水曜日。朝イチで針を落としたのは、The Revolutionaries『VITAL DUB:Well Charged』。小さな音で流すのがちょうどいい。つづいて『REMEMBERING COUNT OSSIE ~A RASTA “REGGAE”LEGEND』、和訳すれば『カウント・オジーを憶う』になるだろうか。ラスタのレジェンド、カウント・オジーへのトリビュートだけあって心臓の鼓動に似たナイヤビンギが基盤になったやさしい音楽。どこか暢気な雰囲気が漂っていて、聴いてると気持ちが軽くなる。

どちらも、天久保一丁目〈Good Near Records〉で買ったレコード。店主スエルテくんのお薦めだったり、なんとなくピンときたりで買ってみる。手で触って眺めるだけでも刺激になるけど、やっぱり買ってみなくちゃ分からない。近所にそんな機会をつくれる場があるってのが嬉しいのだ。

今日、明日は通常営業。明後日15日(金)は《レコード寄席》のため、短縮営業。

2024/11/12

11/12 雑記

秋晴れのなか、車を走らせて〈茨城県立歴史館〉に行ってきた。イチョウがきれいに色づいた公園が目的の人がいれば、小学生の団体もいる。いい天気。ロビーのベンチに座って本を読んでいるだけで気持ちがいい。目当ては開館50周年記念展だったのだが、ぐいっと引き込まれたのは常設展。小学生が沢山いるからまずは上に! と学芸員さんに言われて、そのまま2階に上がる。縄文~弥生~奈良~平安~室町~鎌倉と教科書通りの順で展示を見ていくと、だいぶ早い段階で支配者が現れる。貧富の差があっての職業と身分があり、使う人、使われる人の構図は大昔から変わっていない。

それにしても、茨城県という土地にしぼって歴史をさかのぼっていくのは面白い! 馴染みの地名が出てきたり、平将門の存在の大きさに興味がわいたり、足を止めながらじっくり見る。茨城や福島、栃木には反逆の徒が多かったのか……? 中央集権的な動きに反発、抵抗しながら生きた人のこと、大きな歴史の物語からこぼれ落ちた出来事、事件をもっと知りたいなーと思う。

2024/11/11

11/11 店日誌

自分の気持ちに誠実に忠実に生きていくと、物事に対して何の迎合もなく素直に表現すると、パンクになっちゃうんじゃない? ね? だから誠実さ。僕流の誠実さですよね。物とか人とか、言動っていうものを誠実にするためにはどういうふうにしたらいいのか。(平野甲賀)

11月11日、月曜日。上記の一節は、平野甲賀『僕の描き文字』所収の「パンク、パンク、パンク」から。用法の正しさは置いておくとして、ここで甲賀さんの語るパンク感に自分はつよく共感する。つまるところ、パンクは自己の心にいかに率直であるかだと思うから。現状では実践できているとは言えないけど、目標にすることはできる。せめて、少しでも卒直に、誠実に。人、店、役割と向き合っていければいい。

この点でのパンクと言えば、友部正人さんの姿が頭に浮かぶ。先月のライブの打ち上げでも「パンク」という言葉が何度か使われた(ほとんどはユミさんだったかもしれないけど)。友部さんの4年ぶりの新作『銀座線を探して』は11月20日(水)発売。ただいま、ご予約受付中。

今月はオンライン・ストア〈平凡〉の反応がいい。入荷後、時間が経ったものでも、並べ方をかえれば新鮮な姿をまとわせられる。新刊、古本、音源を混ぜて並べて選んでもらう。これもまた楽しい仕事なのである。きまぐれ更新の「平凡日誌」、「読書日記」の感想を聞かせてくれる人がいるのも、ありがたいこと。

今日も通常営業。ちょうどいい湿度で読書日和な気がします。

2024/11/10

11/10 店日誌

11月10日、日曜日。自分にもある。入りづらい店との出会い。いざ、入ってしまって気まずかった思い出。ドアを開ければガラガラと音がして店主が顔を上げる。目があって「ヤベ……」となってもすぐには出られず、店内を一周。頃合いをはかってそろっと店に出るしかない。「アア……あの店なんなんだよ」と、外気に触れてほっとひと息。二度と行かないときもあれば気になってもう一度行って、だんだん慣れていったこともあった。

たとえそれがどんな店でも、その町との親和性は非常に大切で、どんな形ででも、それがないと店は存在意義を問われ、淘汰されるのだということを思わされた。(田口史人)

再入荷を機に再読しはじめた、田口史人『店の名はイズコ』。格言、箴言みたいなことは書かれてないのだけれど、端々で「オレの店は?」と立ち返らざるを得ない。店はそれぞれ好きにやればいい。でも、存在意義はつねに問われている。

「店」はやっぱり面白い。売れても、売れなくても。買えても、買えなくても。

ぱっと見てなんの店だかわからない。その上、店内は歩きづらく、人が溜まっていることもある(しかも、ビール飲んでたりして……)。入りづらい要因をあげればキリがない、ピープル・ブックストア。よくぞ入ってきてくれた。買うものがなくても、しかたない。今はそう思ってる。

今日も通常営業。本の買取、在庫確認などのお問い合わせはお気軽に。

2024/11/09

11/9 店日誌

11月9日、土曜日。お昼前、知人が教えてくれた〈P〉に行く。入店してすぐ、なるほど! ここはあの人が好きそうだな〜と腑に落ちる。店主と思わしき方とのやり取りは最小限。お互いに誰で、どこからきて、何をしてるのか? と探り合うこともない。メニューを見て注文、出てきたものを食べて、コーヒーを飲む。合間にちょこちょこ本を読んだだけ。帰る間際、遠くで小さく鳴っているのがフィッシュマンズだと気がついた。

数ヶ月ぶりに再生した『WADA MAMBO’S HOME MADE monaural deluxe 2』が、やっぱりカッコいい! さりげないのに特別。さらっと聴けるのに、どこか野蛮な気配も漂う。こんな風に色気を漂わせる音楽はそう多くない。

今日明日、明後日は13時開店! オンライン・ストア〈平凡〉にも入荷あり。

2024/11/08

11/8 店日誌

11月8日、金曜日。午前中、飛行機が低空飛行を繰り返す。屋内にいても爆音が鳴り響く。ゴォォォォォ! ギュォォォォォン! 何度も、すぐ近くを飛んでいく。同じ機体なのか? なんらかの舞台の演習なのか? 見上げてみても判別できない。ただ、本当に低く飛んでいて、目の前を飛んでいったときは「近ェ!」と声を上げずにはいられなかった。アメリカの大統領選の影響なのかね……なんて知人と話しみても、笑いとばすこともできず、無言のまま仕事に戻った。昨日の10時頃、つくば市でのこと。

ミュート・ビートが結成されたのは82年、和暦で言うと昭和57年。日本では第一次中曽根政権が誕生、アメリカはレーガン政権下。ドナルド・フェイゲンが『ナイトフライ』をリリースし、映画では『愛と青春の旅立ち』がヒット…そんな頃だ。(藤川毅)

ミュート・ビートの音源を聴いている。フラワー、ラヴァーズ・ロック、マーチの3作と2枚組のライブ盤。“レコードの日”と銘打たれた施策に合わせて再発(マーチとライブは初アナログ化)されたレコードたち。今朝はフラワー。勢いのあるメトロからハットダンスへの流れにちょっと驚く。バンド(の結成と)が自分(の出年が)と同学年なのだと意識すると、1曲ごとの厚みが増す。

今日も通常営業。書籍には日々、何かしらの入荷あり。

2024/11/07

11/7 店日誌

11月7日、木曜日。栃木県足利市を拠点にするミニコミ『GO ON(轟音)』第7号がすごい勢いで売れている。表紙コラージュも手がけた佐藤一花による巻頭記事「狼信仰集団の謎合せ」で取り上げられた切腹ピストルズの効果なのか、はたまた他の記事の吸引力かはっきりわからないけど、在庫がどんどん減っていく。補充後に即完売、これを2回繰り返して次の入荷はおそらく明日。版元にも在庫がないため届くのはごく少数、オンライン・ストア〈平凡〉に上げられるのは1冊だけになりそうだ。

なんとなく再生してみたETERNAL STRIFE『THE CITY YOU LIVE』がとてもいい! 冬っぽくなった空気に自然と馴染む。ソウルフルなヴォーカル&コーラスが室内をぐっと暖める。改めてお薦めしたい。

今日も通常営業! 些細なことでもお問い合わせはお気軽に! 

2024/11/06

11/6 店日誌

11月6日、水曜日。日曜日の《天久保文化祭》が終わってほっとひと息。9月28日(土)の《『ブリング・ミンヨー・バック!』上映会》にはじまり、10月13日(日)《友部正人ライブ》、10月26日(土)《旧石器時間(ケバブジョンソン・ポットマン)》と久しぶりに参加催事が続いた。主催、共催、出店と関わり方は色々だったけど、それぞれに濃い味があって手ごたえを感じた。外目からは見えづらいところで協力してくれた方々、手と足を動かしてくれたスタッフの皆さん、おつかれさまでした! 

今日からまた、落ち着いた古本屋の日々に戻れるのか……と書きかけて、思う。オレはやっぱりイベントに関わり続けたいんじゃないの? 椅子に座ったままの本屋のオヤジとしての生活に飽きつつあるんじゃないのか? ああだこうだと好き放題言ってるくせに自分がいちばん定まっていないのでは。そう突っ込まれたら何も言えない。

と言うわけで、今週はずっと通常営業。お暇があれば、ご来店を。

2024/11/05

11/5 雑記

ようやっと行けた! 先日の《天久保文化祭》に出演、出店してくれたタマミさんが営むカレーと日本酒の店〈grand〉と友人ウメイくんがはじめた植物店〈TSUYUKUSA〉。どちらにも足を踏み入れなければ分からない魅力があった。なるほど、こうやって工夫してるんだ! とか、うおー、こだわってるなあ! と驚かされたし感心もした。やっぱり店って面白い。前者にはキリン・クラシックラガーの小瓶があったこと、後者では自分でも面倒を見られそうな植物を見つけられたのが嬉しいところ。

その前後でちょこちょこと立ち寄った店も総じて居心地がよかった。最後に河合浩さんの家にも行けて、話ができて(ビールをやりつつ)、1日がまとまった感あり。

2024/11/04

11/4 店日誌

11月4日、月曜日。とりあえず開けてます。

2024/11/03

休業

今日、11月3日(日)は《天久保文化祭》に出店するため、休みます。

2024/11/02

11/2 店日誌

11月2日、土曜日。朝のラジオはジョウニ・ミッチェル特集。6枚組音源の発売に合わせての選曲で100分すべてジョウニの曲に費やされる。未発表のデモ・ヴァージョンがあればライブでのアカペラもあり、寝ながら聴いていても耳が立つ。ボブ・ディラン、チャールズ・ミンガスとの逸話など貴重な話も盛り沢山であっという間に時間が過ぎた。この放送はいわゆる「神回」。聴き逃しサービスを使って聴き直さねば(ピーターさんに合わせてジョウニと書いているけど、やっぱりジョニの方がしっくりくる。ドニー、アリーサには慣れつつあるが……)。

明日はレコードの日、らしい。イベントに乗る気はゼロだが、ミュート・ビートの再発と初アナログ化、小玉和文の映画音楽『集団左遷』は無視できなかった。ミュートの全4枚とサントラ1枚、合計5枚を今日から販売する。これは嬉しいリリースだ。

さあ出かけようかなーってタイミングで雨がザーッとくる。今は12時20分。歩くとなると開店には間に合わない。でも、自転車でずぶ濡れになるのも嫌なんだよなあ。どうしたものか。

とりあえず開店! 今日も通常営業。明日は天久保文化祭に出店します。

2024/11/01

11/1 店日誌

11月1日、金曜日。平日の夕方、若者がひとり入ってくる。運動部に所属しているのが一目でわかる外見、大きなリュックには着替えが入っているのだろうか。そろりそろりと店内を歩いてまわり、たまに立ち止まって本を手に取る。しずかにページをめくる。遠くで意を決した気配を感じると、2冊の本を持ってお会計。ひとつは『文學界』のバックナンバー、もうひとつは……なんだったかな。忘れてしまった。ひとこと、ふたこと話して「またお願いします」と伝えて送り出す。

週に一度のペースで来てくれるようになったご夫婦。いつも何かしらの本を別々に選んで買っていく。ちょうどいい本が入荷してる。内心でそう思っていると、それを手にしてくれる。狙い通りとかではなくスムーズに意思疎通ができている気がして嬉しい。ながく付き合えればいいなあと思う。

友人と話していてハッと思い出したのは、とある男性。月にいちどくらいのペースで来ていて、いつもお洒落に決めていた。かといって何を主張するわけでもなく、サッと本を選んでいく。あの人をもうしばらく見ていない。どこかに転居されたのだろうか。多くを話したわけじゃないのだけど、印象に残ってる。元気にしているだろうか。

一昨日、とつぜん現れたのは、周辺で人気のあるバンドのメンバー。自然に店を見てくれて、話もはずむ。大きな声じゃない。自身ありげなわけでもない。でも、好きなものははっきりしている。そうした振る舞いに触れて力をもらう。ああいう人が、オレは好きだ。その後、ならびの居酒屋に流れて、また話し込む(その人は飲まなかったけど)。

今日は15時、明日は13時開店。明後日は催事出店のため終日休業。