定休日。〈千葉市美術館〉まで足を延ばして「大・タイガー立石展」を堪能してきた。5月1日発行『アナキズム』第14号に掲載されていた記事「『大・タイガー立石展』がやってきた」で知り、どうにも気になっていた展示。たまたま連絡を取りあった大学時代の友人(千葉県在住の展示通)に話したところ、なんと招待券を送ってくれた。これはもう、行かねばならない。さいわいにも美術館通例の月曜休館でもなかったので、電車を乗り継いで千葉市に向かった。
まず、降り立ったJR千葉駅の巨大さに驚く。こんな場所なのか……と戸惑いながらパンフレットに掲載された地図を確認しながら目的地を目指すも、まったく方向が掴めない。色街、歓楽街って雰囲気の栄町に入ってしまう。こりゃどう考えても、違うなと思い信号待ちで隣り合ったオジサンに訪ねてみると快く応えてくれる。感謝を伝えて、改めて足を向けると美術館の看板がすぐにみえてきた。
たどり着いた目的地、千葉市美術館は想像以上の立派な建物。失礼ながら地方美術館の展示室って感じなのかと思っていた。受付のある8階までエレベーターで上がり、いざ会場へ。まず、登場した富士山型のネオン管にほーっとなる。そして、その後の展示の物量、質量に圧倒される。正直、自分には適切な批評、解説は不可能である。タイガー立石固有の空間把握、それを表現する重層的な作品群にクラクラした。脳みそを揺らされた。展示会場に点在する解説や図録には明記がなかったのだが、サイケデリック体験からの影響があるのでは……と何度となく感じてしまった。
たっぷりと約2時間、展示の世界に浸かりきり、5階の展示と4階の図書館にも足を向ける。どちらも意思を感じさせる場、雰囲気も良い。ああ、千葉県にこんな場所があったとは。どんなふうに運営されているのかな。なんて考えながら1階、ミュージアムショップに寄ってみると、ここもなかなか気が効いている。買おうとしていた図録ではなくタイガー・ゲルニカの変型ポストカードとポスター、展示に直接関係のない文庫本を2冊購入。うち一冊の、多和田葉子『百年の散歩』はこの状況でなければ手に取らなかっただろう。
自分の住む、つくば市にもこんな施設があったら、いろどりが増すのかなあとか考えながら帰路につく。乗り換え電車を間違ったり、道に迷ったりしたものの、どうにか、つくばエクスプレスに乗車。ホッとする。つくば駅から自転車を走らせ店に寄り、缶ビールをのみつつ簡単な事務作業を済ます。17時前。外に出て見上げれば、抜けのいい青空。ちょうど良い具合の風。さあ、もうひとっ走りして家に帰ろう。