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彼は、突然やってきた。「こんにちは、トニー李です」と店にはいるなり挨拶をして、ボクにいろいろな質問を投げかけた。偶然居合わせた中村にも言葉を向ける。はじめこそ戸惑ったけれど、李さんの打つ相づちはリズム良く、質問も簡潔なのでボクらはべらべらと喋りまくった。彼はこの日の対話を記事にするつもりで来訪したらしく、レコーダーを回していた。そして、イベント前夜のこのタイミングで送られてきたのが、以下に綴るインタビューである。
記事の仕上がりは流石の一言。忘れていたけれど、トニー李さんは同人“シナモン感覚”誌『EL CINNAMONS』の敏腕編集長なのだ。のんびりと構えていた年末年始に彼に尻を叩かれ、ボクは必死にキーボードを叩いたんだった。李さん、本当にいつもありがとう。明日、ピープルズ・パークで会いましょう。
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――今年もまた<PEOPLE’S PARK>が開催されますね。
植田 去年はやけのはらさん(以下、やけさん)やVIDEO(TAPEMUSIC)さん、それから思い出野郎Aチームの皆さんなどに出ていただいたんですが、それがすごく楽しかったので、周年を口実に今年もやりたいなって。
――最初から「口実」って吹聴しているところが潔いですね(笑)。
植田 周年イベントなんて柄じゃないし、恥ずかしいんです、本当は(笑)。でも、楽しいから。で、今回はやけさんと北沢夏音さん(以下、北沢さん)だけは最初から決めていて、そこから組み立てていきました。それこそ編集感覚というか、トニー李さんが同人誌をつくるように、イベントをやってみたいと思ったんです。例えば、ラウンジのDISCOSはマガジン内マガジンみたいな発想で考えていって。
――特集がありつつ細かいコラム頁もある。グラビアもありますね(笑)。
中村 Y.I.Mのお二人ですね! 女性ラッパーなんて、今までの自分たちにはなかった要素ですよね(笑)。
――では、改めて出演者のおさらいをすると、ライブ陣に井の頭レンジャーズ、Y.I.M、タカツキ。DJにはやけのはら、北沢夏音、高木壮太、サモハンキンポーetc。う〜ん、PEOPLEならではのラインナップですね。
植田 勿論、音楽のパーティではあるんですが、店の普段の営業に縁がある人たちとやりたいということが基本にはあって。トークイベントを行ったやけさんや北沢さんもそうですし、CDや雑誌を販売させてもらっている井の頭レンジャーズやEL CINNAMONSもそう。お店という基盤があって、そこで自然と繋がっていった人たちと場や時間を共有したいなと。
――なかでもやけのはらさんと北沢さんは特別な存在ですか?
中村 北沢さんの『Get back,SUB!』に出会えたことは大きいですね。そこからPEOPLEでの北沢さんとやけさんによるトークショーが実現して、あの瞬間に種がまかれたというか何かが始まりましたね。
植田 やけさんにはメインフロアで出来るだけ長くプレイしてもらいたいなと思っています。で、北沢さんにはラウンジのヘッドライナーをお願いしているんですが、ちょうど数日前に張り切ったメールを送ってくれました。どういうスタイルでやってくれるのか楽しみです。
――北沢さんといえば、PEOPLEや千年一日珈琲焙煎所が並ぶ星谷ビルの通りに“マジック・ストリート”と命名した張本人でもありますからね。
植田 一時期“マジック・ストリート”の七インチを作ろうという企画まで持ち上がったくらい。星谷ビルの守護天使ですね(笑)。
――あとは何といっても今回の目玉は井の頭レンジャーズ。メンバーの素性って明かされているんでしたっけ?
植田 それが……実はぼくもいまいち把握できていないんですよ(笑)。吉祥寺とかで遊んでいる方たちなんですかね? この間、渋谷のwwwにライブを観に行ったときは、いせや闇太郎さんの席には××××××××××。井の頭レンジャーズって何なんだ? 誰なんだ? と確かめに来てもらえればと思います。楽しみにしていただければと。
植田 そうなんですよ。以前から地元で演奏できる方がいれば是非出てほしいと考えていたので、迷わずオファーさせてもらいました。今後もそういうことはやっていきたいなって。それを見ておれもラップがしたい、DJがしたいって子たちが出てきてくれたら嬉しいですよね。
――ライブやDJ以外にもフードやドリンクも充実していますね。
植田 フードの<つくば食堂 花>には「土曜の夜丼」と「酔っぱらいの三種のつまみ」を用意してもらっています。「土曜の夜丼」というのは以前にぼくが企画した“サタデーナイトコンサート”ってイベントのときに出してもらったメニューで、今回も土曜日なので特別にお願いしました。しかし、土曜の夜っていい響きですね!
――そして、PEOPLEのお隣の<千年一日珈琲焙煎所>がコーヒーを出してくれると。
植田 店主の大坪さんは当初、深夜のクラブイベントということもあって、あまり乗り気じゃなくって。前回も結局遊びに来てくれなかったので、もう無理矢理来させるにはブッキングするしかないって。暴挙だと思っています(笑)。
――クラブで「コーヒーが飲める」という選択肢は新鮮かもしれない。朝方にコーヒーで締めるというのもよさそうですよね。
中村 朝までいない気がしますけど・・・(笑)。ラウンジはぼくともうひとりで担当するんですが、物販ブースでの出店もあって、そこではレコードやTシャツ、ZINEなんかを販売します。
――こうやって見ると多様な遊び方が選択できるというか、まさに「公園」という言葉がぴったりのパーティになりそうですね。
植田 ちょっとぶち込みすぎちゃいましたかね(笑)。ただ、つくばって街はまだまだ遊び方が確立されていないところがあって、「こういうのもありでしょ?」っていうのを提案できたらいいなとは思っています。いい大人がベロベロに酔ってたり、踊り狂っていたりするところに若者も交じってほしいな、と。そんな公園になったらいいですね。
――では、最後に一言。
植田・中村 気楽にあそびにきてくださいー!