“誰もが孤独な宇宙の中で、その命を削ることによって存在している。その星屑のように舞い上がる削りカスのなかに立ったとき、美しさを問うことはあまりに儚く、自由を問うことはあまりに虚しく、正しさを問うことはあまりに脆い。ただただただ。ひたすらに。生きる術を探す。私は私である。”
-石川竜一
石川竜一の写真集『okinawan portrairs 2012-2016』が入荷しています。
木村伊兵衛賞を受賞した『okinawan portraits 2010-2012』の続編にあたる本作にも、間違いなく沖縄でしか撮れないであろう顔、風景がおさめられています。正直に言って、この本からの問いかけは重いです。自分が被写体を見ているのか、彼らに見つめられているのか・・・と戸惑い、へこたれそうにもなりました。写真って、写真集ってさ、凄いんだ。ここじゃない、もう一つの世界が現れるんだ。なんて、へろへろな頭から出て来た言葉はそれだけでした。
読んで、見て、ぱっと吸収できるなにかがあるわけじゃない。すっきりとした答が出るわけでもない。でもやっぱり、こういう世界に向き合う経験は必要なんだと思っています。時間と距離がたやすく無効になってしまう時代だからこそ、手にとってほしい作品集です。合わせて入荷した、畠山直哉×大竹昭子『出来事と写真』も重層的なテーマを扱う対話集。既刊『新編・太陽の鉛筆』も在庫しています。どちらも是非。
***
石川竜一、渾身の沖縄ポートレート。第二弾。
木村伊兵衛写真賞を受賞し、たちまち完売となった『okinawan portraits 2010-2012』。シリーズの続編となる『2012-2016』では、人物、風景、建物など、身のまわりのものすべてをポートレート的な視点で撮影しています。 被写体により多くを委ね、社会のなかの個人が写しとられたポートレートは、 全268点。フォーマットも変化し、さらに状況や時間を取り込みながら、ポートレートの新たな可能性を探っています。日常に根差したリアリティが「沖縄」という枠を超えて、人の生命力と影、社会と人々の在り方、開発と変容、背景にある大きな問題について普遍的に問いかける本作。 ひとつとして要約することのできない存在がポリフォニーとなって立ち上がります。
http://www.akaaka.com/news/bk-op2.html