2023/01/31
『dee’s magazine』vol.7
1/31 店日誌
天下に名のある美食家でも、私は大食いの記録をちゃんと残している人しか信用したくない。-種村季弘(「一品大盛りの味」より)
1月31日、火曜日。年始めの月は、長いようで短い。正月惚けがさめ(8日からの二週目)、日常の速度に戻った頃(15日からの三週目)からびゅんびゅん日がめくれていき、あっという間に最終週。時間がゆっくり流れる数日間、その後の平常運転の数週間が混ざるからか、振り返るのが難しい。でもまあ、特段の悔いはないから良しとしよう。
年末年始に種村季弘を読み、その後は乱読。この数日は、坪内祐三と小林信彦の書籍を読み耽っている。買ったまま放ってある、佐多稲子『私の東京地図』を読み出したいのだが、なかなか手をつけられない。じわり、じわりと永井荷風にも近づいている。
今週はどの日も通常営業。通信販売、在庫確認などのお問い合わせはお気軽に。
2023/01/30
2023/01/29
1/29 店日誌
1月29日、日曜日。週末になると、どこぞのカフェから流れてくるのか、若い男女の入店が増える。二人べったりくっついたまま店内を巡回し、手頃な雑誌を手にして、適当な記事を話題にして喋りだす。10数分か経って、気が済んだらそれを雑に戻して、店を出て行く。こちらは本など読んで、気付かぬふりをしてやり過ごすのだが、やはり消耗する。ただ座っているだけで疲れるってのも、なかなか堪える。
新刊の入荷が増えて、にぎやかな店内。引き続き、本の買取依頼も受け付けているので、ご希望であればお声がけを。その他、在庫確認などのお問い合わせもお気軽に。
今日は13時から19時までの通常営業。明日、月曜は定休日。
2023/01/28
『轟音紙版』第3号 –完売しました!–
1/28 店日誌
1月28日、土曜日。心配していた雪は降らず、雨もなく、今朝は晴天。風は冷たいけど、心なしか暖かいような気がする。こんな日は外に出て、あちこち歩き回りたい。人混みに紛れるのは嫌だけど、街に出たい。本屋、レコード店をまわって喫茶店ほっとひと息。15分でも集中して本が読めればいい。それだけで、心の縮こまった部分が伸びる気がする。
近くまた、秋葉原からお茶の水まで歩きたい。つくば周辺では味わえない感覚を、満たしに行きたい。夕方の蕎麦屋で瓶ビール、やきとりをつまみながら過ごしたい。近場で、じんわりと酔いに浸たれる場所がほしい。
今日明日は13時開店。新刊の入荷が増えて、店内の色合いが変わってきています。
2023/01/27
『inch magazine』issue02
2023/01/26
ここ最近の買取から、何冊か。
1/26 店日誌
1月26日、木曜日。朝晩の風が冷たい。自転車に乗っていると、むき出しの顔が痛い。手袋をしていても手先がしびれる。知人と顔を合わせれば「寒い寒い」と言い合っている。それでも、店を開ければ、人は来る。数は多くなくとも、その人なりの興味、好奇心にひっかかるものを2冊、3冊と選んでいく。店外の本をえらぶ姿を見て、たくましく思うし、ありがたいなあとしみじみと感じ入る。
オンライン・ストア〈平凡〉に入荷あり。夕書房、カンパニー社の新刊はじめ、田口史人『と豆腐軒の想い出』、井出靖『ROLLING ON THE ROAD 僕が体験した東京の1960年代から90年代まで』にもご注目を。
今日は少し、暖かいかな。お暇があればお出かけください。
2023/01/25
カンパニー社の本、いろいろ。
カンパニー社の本、いろいろ在庫しています! 最新刊の岡島豊樹・編『地中海ジャズと音盤浴案内』(好評!)はじめ、同編者の『ソ連メロディヤ・ジャズ盤の宇宙』と『東欧ジャズ・レコード旅のしおり』、中村隆之『魂の形式 コレット・マニー論』、斎藤聡『齋藤徹の芸術 コントラバスの描く運動体』、津田貴司・編著『フィールド・レコーディングの現場から』と『風の人、木立の人』、ラニ・シン編(湯田賢司・訳)『ハリー・スミスは語る』の8タイトル。
どれも特殊な題材の本ではありますが、興味があればぜひ手にしてほしいです。オンライン・ストア〈平凡〉にないものも、通販可能。お問い合わせはお気軽に。
1/25 店日誌
1月25日、水曜日。空が暗くなって風が吹いてきた。危ない気配を感じて、店外の本をしまった途端、雷が鳴って雨が降ってきた。セーフ。ちょうど店内にいた男女は、遠くの雷鳴を気にしながらも本を見ていた。天候は不穏であれ、好奇心は揺らがない。二人ともしっかり本を買っていき、話ができて嬉しかった。
その後、雪が舞うなか農家のSさんが来る。しばらくして、最長常連Oくんも顔を出す。3人でしっぽりと話して、そのまま閉店。久しぶりに静かな火曜日だった。
今日明日、明後日は15時開店。通販などのお問い合わせはお気軽に。
2023/01/24
1/24 店日誌
1月24日、火曜日。朝、ラジオから繰り返し天気予報が聞こえてくる。昨日から何度も聞かされていて、うんざり。用心するべしと言い聞かせて、ラジオを消す。代わりに針を落としたのは、ジミー・ジュフリー3『トラヴェリン・ライト』。感情には置き換えられない音色、研ぎ澄まされた合奏に耳を向けて、しずかに過ごす。解説によれば本作の録音日は1958年1月20日、21日、23日。ちょうど65年前。
今日も店には入荷あり。天気次第で外に本を出すか、どうか決めるので、やや窮屈に感じさせてしまうかも。それでも、店をはじめて約10年で、今がいちばん歩きやすい状態だと思う。
通常営業の予定ですが、早く閉めることもあり得ます。お出かけの際はお気をつけて。
2023/01/23
1/23 雑記
街をさ迷っていると、その迷路のような道すじで、ある時突然、まさに路上の賢者といえそうな人(物)と出会い、彼らの手招きによって、気がつくと、自分で目指していた以上の場所にいる。自分の直感を信じてアクションを起こさないとストリートワイズは生まれない。(*)
昨日の午前中、行きつけの理髪店での散髪後、近くの古本屋に立ち寄った。まあまあの頻度で足を運んでいるのだけど、行くたびに見つかるものがある。ガサゴソと本の山をかき分けて、田所太郎『出版の先駆者』など数冊の会計を済ますと、店主がニッコリ。さらに4冊を出してくれる。一瞬驚くも、すぐに内容を確認。函入りの2冊を購入する(のこり2冊は文庫本)。
変人とか奇人とかいわれる人は、いつの世にもいるものらしい。だが、まことの畸人にいたっては、なかなかに探し出せないものである。この『書國畸人傳』に挙げる人物は、それぞれに、人生の意味をおもわせる人たちである。(**)
そのうちの一冊、岡野他家夫『書國畸人傳』は上記した序文を読んで、購入を決めた。宮武外骨、神代種亮、湯浅竹山人、石川巌、成島柳北、永井荷風、珠璣道龍。型にはまらず、心に触れる人物伝ばかりで、あっという間に読み切った。今、読むべき本だった。
読後、頭に浮かんだのは坪内祐三『ストリートワイズ』の導入文。予期しなかった遭遇が、あらたな好奇心を生む。賢者がくれた出会いに感謝したい。遠からず、文庫2冊も買いにいかねば。
(*) 坪内祐三『ストリートワイズ』所収「序にかえて」より
(**) 岡野他家夫『書國畸人傳』所収「序」より
2023/01/22
1/22 店日誌
1月22日、日曜日。ブログを読んでますと伝えられると、けっこう嬉しい。ツイッターはまあ、ほどほど。インスタグラムは恥ずかしい(でもまあ、どれも自ら書いて、宣伝してるわけなのでそんなことは言っていられない)。このブログに付き合ってくれる人との関係がいちばん太いものだと感じている。
毎日なにかを書いて、多くなくとも読者のいる場。即効性はのぞめない。いわば、ここは小さな公園である。整備しておけば、ベンチに座ってぼーっとしていく人がいる。芝生に身をなげて陽に当たっていく人もいる。通り過ぎる人がいてもいい。数値化される要素が多くなく、のんびりしていて楽である。
オンライン・ストア〈平凡〉に動きあり! 店には日々、入荷あり。
2023/01/21
『闘う舞踊団』
Noismをめぐる18年間の闘いの物語は、
金森穣『闘う舞踊団』が届きました。
つくばの出版社「夕書房(せきしょぼう)」の最新刊。新潟で日本初の劇場専属舞踊団「Noism Company Niigata」を設立、踊り、創り、率いてきた舞踊家・金森穣の18年の軌跡(以上、ほぼ帯の惹句を引用)を金森氏自身が語りおろし、加筆修正を施し、書籍化したもの。そもそも「舞踏(ぶとう)」と「舞踊(ぶよう)」の違いを認識できていない人も多いであろう(自分もそのひとり……)状況に、一石を投じるべく編まれた本だと思っています。
販売価格は2200円(税込)。青木海青子『本が語ること、語らせること』など、夕書房の本をいくつか在庫しています。
『地中海ジャズの歴史と音盤浴案内』
地中海に燦々と降り注ぐ太陽の光を浴びて育まれたハイブリッドなジャズの歴史とともに、現在までに作られた豊富な音盤の中から約600枚を選りすぐり、ご案内します。
岡島豊樹・編『地中海ジャズの歴史と音盤浴案内』が届きました。
またまた、また、カンパニー社がやってくれた! 『ソ連メロディヤ・ジャズ盤の宇宙』、『東欧ジャズ・旅のしおり』に続く岡島豊樹・編纂の特殊ジャズ本のテーマは「地中海」。取り上げるのはスペイン、ポルトガル、南フランス、イタリア、ギリシャ、アルジェリア、モロッコ、チュニジア、エジプト、トルコ、イスラエル、パレスチナ、レバノン、シリア。
地中海に面する14の国々で生まれたジャズを、背景にある文化と歴史、政治状況を織り交ぜながら語っていく画期的な書物。各国ごとのディスク・ガイドもあり、道具としても有用な約380ページ。
販売価格は3300円(税込)。当店の定番『ハリー・スミスは語る』をはじめ、カンパニー社刊行の本をいくつか在庫しています。
1/21 店日誌
1月21日、土曜日。朝、ゴンチチのラジオを途中まで聴いて家を出る。筑波大学内の郵便局(ゆうちょATM)に寄ってから、開店したての千年一日珈琲焙煎所で豆を買う。大坪さん、スタッフIさんと15分ほど話す。以前より距離ができたけど月一回か二回、こうしてやり取りができれば充分だ。その後、目当てのビールを求めてドラッグストア、リカーショップと回ってみるも、見つからず。キリン・クラシックラガーを買って帰る。
コンビニでコーヒーを買ったのち、週末の庭こと近所の公園に。いつもながら静か。ちょうど良い大きさで、整備も行き届いている。寝そべって目をつむると鳥の声、車の走る音、風に吹かれる枯葉と芝生がこすれる音がよく聞こえる。しっかりと厚着をして、日向にいれば寒くない。
今日明日は、13時開店。日々、店には動きあり。店外の均一箱にもご注目を。
2023/01/20
『と豆腐軒の想い出』
1/20 店日誌
メジャーの予備校と化した動向を見ていると、インディーズという言葉にはもう意味がないように思える。インディーズとは、インディーズだからおもしろかったわけじゃないのだ。インディーズとは、自分の読者を自前で作るのだという闘争宣言にほかならない。(*)
1月20日、金曜日。先週中に買取り、あっという間に売れていった、赤田祐一『証言構成ポパイの時代 ある雑誌の奇妙な航海』に収録されている上記の一節を思い出したのは、夏葉社の島田潤一郎さんのツイートを読んだから。と言うか、島田さんの発信に付随、便乗したいくつかの自己主張に触れて、萎えたから。
先に、ぼくはインディーズとは「自分の読者を自前でつくる闘争宣言である」と書いた。これは、かつて、ジャズの世界で、チャーリー・パーカーが、セロニアス・モンクが、ビ・バップ革命の初期、自分の聴衆は自分でつくっていったと語っていたというエピソードから閃いた。(**)
インディーとかなんとか言いながら業界内の強者に擦り寄り、おもねる人。力のある人が指し示したものに飛びつき、わが物顔で喧伝する人。いい加減、馬鹿らしい。好きにやったらいいのだ。周りの目ばかりを気にしていたら、面白いことなんか出来やしない。
SNSで繋がる(嫌な表現……)よりも、顔を合わせて言葉を交わす方に、面白味を感じていたい。予想外のこと、突然の提案に驚き続けたい。そう思ってるなら、ここで、こんなこと書くんじゃねえ!って話だ。
今日は15時、明日明後日は13時開店。些細なことでも、お問い合わせはお気軽に。
(*)「はじめに」(p.20)より (**)「総論 『ポパイ』が一番おもしろかった時(p.82)より
2023/01/19
ここ最近の入荷から、いくつか。
1/19 店日誌
2023/01/18
1/18 店日誌
1月18日、水曜日。訳あって早めに開店した昨日、明るいうちは誰も来ない。暗くなったころ、馴染みのTさん、最長常連Oくんがほぼ同時に来る。柏レイソルの激烈なサポーターであるTさんの話を聞きつつ、ビールを飲む。今、おすすめドラマまで話題が転がったあたりでチヨリさんとヤマーンさん、八王子〈道程〉店主の拓郎くんが来てくれる。段ボール5箱+αの本、たくさんの缶ビールと共に。
査定はまた明日(今日だね)! って話して乾杯。今週もまた、火曜の夜は宴会だった。たくさんの本を持ってきてくれた上、買ってくれた拓郎くんたちに感謝である。Tさんには、またゆっくり本を見にきてほしい。
本の整理をしながら営業中。オンライン・ストア〈平凡〉にも動きあり。
『Jiga (Prod by SCRATCH NICE, JJJ)』(12inch)
2023/01/17
『JAMAICAN SOULDIES』vol.2
『ROLLING ON THE ROAD 僕が体験した東京の1960年代から90年代まで』
1/17 店日誌
1月17日、火曜日。年末年始の買取波が落ち着いたところで、新刊新譜の入荷がはじまった。井出靖『ROLLING ON THE ROAD 僕が体験した東京の1960年代から90年代まで』、前作が好評だったDaddy Kan『JAMAICAN SOULDIES』vol.2は今日から販売。音楽的なものが入ってくると、どうしてもそれを聴き込むし、付随する音源にも手を出していくことになる。
本を読むと、聴きたくなる音楽があり、その逆もある。きっかけはなにか、いつ現れるのかは予期もできないから面白い。昨夜から今朝はダブをよく聴いてきた。昨年末に買っていたムタバルーカのレコードを手に取ったのは、井出さんの本に記載されていたからだ。
今週は全日、通常営業予定。お暇があれば、ご来店あれ。
2023/01/16
2023/01/15
1/15 店日誌
1月15日、日曜日。なまぬるい空気。暖かいようで、寒い。舞うような霧雨で、均一箱を外に出したくても、出せない。どうにも調子が出ないまま、店にいた昨日、それでも中盤から来客があり助かった。カンパニー社の新刊を探しに来たIさん。栃木県小山市から来てくれる親子。長時間滞在して、じっくり棚を見ていく人など。
しっかりとした値付けの本があれば、300円以下の本もある。100円の文庫本にも日々、追加や入替がある。お目当てのものがなくても、何かしらとの出会いはある。そんな店になってきた気がしている。
今日は13時開店、19時前まで営業予定。明日、月曜は定休日。
2023/01/14
1/14 店日誌
1月14日、土曜日。年が変わってから、新刊の入荷がほとんどない(短歌会機関誌『つくば集』第二号くらい)。その代わりってわけじゃないけど、古本の買取りがとても多い。知り合いの編集者が送ってくれた箱(小さめ)、某店から送られてきた箱(大きめ)と、これまでになかった類のもの。想定以上の出費もある。でも、こういう状況がないと触れない、知れない本たちがある。
入荷状況によって、6:4で新刊書店の気分だったこともあった。今は、8:2で古本屋。ここ最近の店内、けっこう面白いんじゃないかと思っている。いろんな本がある。
今日明日は13時開店。久々に雨が降って、ちょっと安心。
2023/01/13
1/13 店日誌
1月13日、金曜日。音楽ライター・二木信さんがウェブメディア「Qetic」で連載している「good friends,hard times」の更新を楽しみにしている。最新回(2023年1月5日公開)で取り上げているのは東京、高田馬場にある居酒屋〈九州珠(KUSUDMA)〉とレーベル〈Hoodish Recording〉、主宰パーティー「THE KITCHEN」。飲食店での催しは身近にもあれど、継続的な開催は簡単でないことは察している。
場があって、人が集まれば、生まれるものがある。でも、一定以上のクオリティを保ちながら、工夫を続けることは難しい。「good friend,hard times」では、そのためのヒントになる試みがテキスト化されていて、刺激を受ける。いつか、二木さんにつくば周辺のことも書いてほしい。
以下は余談だけれど、昨年末に代田橋〈Omiyage〉を訪れた際、最新回の重要人物、MaL氏による『Primal Dub 2』を購入していた。気に入って店でよく流していたので、ここで繋がったのがとても嬉しい。
今日も書籍に入荷あり。店外の均一箱にも補充、入替があるので要注目。
2023/01/12
1/12 店日誌
1月12日、木曜日。2021年7月に刊行した、JUN YABUKI『LIGHT HERE,LIGHT NOW』の刊行記念展で京都の丸太町(2/16~28)、東京の阿佐ヶ谷と代田橋(4/27~5/15)、代官山(6/17~7/10)と回ったのは昨年上旬。新型コロナ・ウイルス感染拡大、作者と企画者の意見の不一致などあり、すべてがスムースに運んだわけではなかった。それでも、一つ一つの会場の方と意見を交わし、展示をつくっていった経験は貴重なもの。快く場所を提供してくれた方々に感謝したい。
現状、当店の在庫は20冊ほど。今後、鹿児島のお店に卸す予定で、それ以外はまったくの未定。当店初の刊行物になった矢吹純の作品集、手にしてくれた人たちはどんな風に見てくれているのだろうか。
(2023年刊行予定で一つ、動き始めている企画がある。出来るのならもう一冊でも、形にして世に送り出したい。まあ、焦らず。手を抜かず。時間をかけて作っていきたい。)
ここ最近、古本の入荷多数! 古本屋として、見応えのある棚になってきている。