2014/09/24

『Spectator』の「禅 ZEN」特集号が面白い。


『Spectator』の最新号の売れ行きが好調です。今号の特集は「禅 ZEN」。
正直に言って、取っ付きづらいテーマだと思います。読んでみでも分かった気になりづらい、何を言っているのかよく分からない、そんな気持ちになりやすい特集なのかもしれません。それもそのはず。禅には形がありません。人びとはその無形のものを追いかけて、厳しい修業を行ったり、座禅を組んだりするのです。ぱっと読んで、なにかが分かった! とスッキリするはずもないよな、とボクは思います。そう、この雑誌は巷にあふれる「10分ですべてが分かるナントカ」とか「すぐに使えるナンチャラ」なんかとは全く違うつくり方なんです。

だからと言って難しい内容なのか、と自分に問い直してみると「そうではない」と応えることができます。いきなりすべてを捉えようとせず、まずは読んでみる。次々に出てくる高僧や偉人はたまた詩人や作家、有名人の名前を覚えようとするのではなく、ただ通り過ぎてみる。そしてまた読んでみる。気になった人物を注視してみる。またまた読んでみる。段々焦点が合ってくる。そうするうちにドンドン誌面に吸い込まれて、良い気分になってくる。そんな不思議な体験(トリップ!)を味あわせてくれる仕組みになっているんじゃないか、と、ボクは読みながら考えました。

まず、自分の興味に引きつけやすい語り手をみつけて、その人の言葉を追ってみる。そのあとでまた別の誰かの逸話を覗いてみる。それを続けていると、じわじわと「禅 ZEN」のサブ・カルチュア史での立ち位置がハッキリしてくるはずです。そしてそこから誌面に登場する人物の著作に入っていくと、面白い世界がかいま見れるのでは・・・という気がしています。ボクはとりあえず『禅ヒッピー』を読み返してみたくなりました(あと、『ナイン・ストーリーズ』も)。そういう意味で、ボクにとっては重松宗育氏へのインタビュー記事「ZENマインドはアメリカ文学にあり」が入り口になりました。

インサイド・ジャーナルを標榜する、「禅 ZEN」特集号。読んでみて損はないと思います。
そして前号、前々号の「ホール・アース・カタログ」特集にも出会ってみてほしいです。

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特集「禅とサブカルチャー」

『オン・ザ・ロード』のジャック・ケルアックも、
アップル創業者のスティーブ・ジョブズも、
サーフィンの神様ジェリー・ロペスも、
ブルース・リーもジョン・ケージも…
みんな禅マスターだった!
あのカルチャー・ヒーローたちは
禅の教えを、いかに学び、自らの活動に役立てたのか?
サブカルチャーや文学を通して
禅とは何かを紐解いた
スペクテイターの「禅」特集です。

スペクテイター 31号 CONTENTS

■ZENのコトバ
挿画/瓜生太郎・つげ忠男
■ 禅はいかにアメリカへ渡り広まったか?
漫画/UJT
■禅とサブカルチャー関連年譜
編集/赤田祐一(編集部)
■ZENマスター紳士録
挿画/東陽片岡
■瞑想のしかた
講師/三帰天海
撮影/伊藤和馬
■ビギナーズガイド 初心者のための坐禅体験記
取材・文/間宮賢
挿画/勝川克志
■ZENマインドはアメリカ文学にあり
重松宗育(禅僧・アメリカ文学研究者)インタビュー
撮影/三田正明
■日本のヒッピーたちは、ZENとどう向き合ったのか?
文/細川廣次(作家)
■マインドフルとは何か?
文/室謙二(ジャーナリスト)
■仏教的なコミューンをつくろうと思った
福村祖牛(わくせいサンガ主宰者・天台&臨済宗僧侶)インタビュー
■禅を知るためのブックレビュー
書評/桜井通開

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■描いて、描いて、描きまくれ!

画家・五木田智央インタビュー
聞き手/角田純
■服から始まる生活革命
「ナリワイと服」ワークショップレポート
文/太田明日香
写真/宮脇慎太郎
■bororo 旅する宝石商
文/内田理惠

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