2023/05/01

横浜出張記⑤

12時開場。時間が早いからか、のんびりした雰囲気。小学生以下の子供も多い。力が入らない。今日はまあ、期待せずにいよう。と思ったのも束の間、本を手に取る人がじわじわと増えてくる。数年ぶりに会う常連の方、前日にも来ていた方とご挨拶、さっそく数冊購入する人もいる。先週、当店の周年パーティーに招いたYOSSY LITTLE NOISE WEAVERのお二人、ロボ宙さんも来てくれる。そんなこんなで開演時間。……が、すぐに始まらない。15分以上経って、ようやく大穂さんがお客さんに飴を配り始める。心配だったが反応よし。

前日と逆サイドに位置取って観た1部。緊張感のあるパフォーマンスながら、眠くなってしまう。ウトウトするうち、メンバー紹介(出店者と出演者)にうつり休憩に。さあ、もうひと頑張り! ってな感じで店に立つと次々に人が来る。みんな本を買っていく。安い本だけでない、比較的高額の本をまとめて買っていく人もいる。洲之内徹と吉田健一を手に取る女性、新刊、雑誌を気にする若者、とにかく切れ間なく人が来て本を買っていく。慌ただしくも、高揚する。一人ひとり、一冊ずつ、丁寧に会計をするよう心がけて送り出す。

あっという間に休憩が終わり、2部開演。冒頭の芳垣さん、大穂さんのかけ合いから力強い。コミカルな音を重ねあって、タイトなビートを生んでいく。スズキさんが大きく布を貼り、渡辺くんが光を当てる。いつも以上にスポットライトを激しく動かす。芳垣さんがリズムを変えると、大穂さんが朗読を始める。照明の動きも変わる。鍵盤の音がどんどん大きくなり、激しく楽器を打つ音がひびく。スモークが焚かれて舞台上は混沌とした雰囲気に。

やがて呑気な積み木遊びがはじまる。なのだが、ここで凄かったのは芳垣さん。ものすごい打楽器独奏を延々と10数分。そのかたわら、大穂さんは積み木を積んでいる。近くの子供に手伝わせたり、ひたすらに無意味。芳垣さんには一才関心を示さない。ただ、木を積み、遊ぶ。それが面白い。一般的なライブ、ステージではあり得ない状況をそれぞれが許容し共存している。これぞ、仕立て屋のサーカスの醍醐味である。

スズキさんが紙吹雪を巻き終えたあと、大きな布の構成をはじめる中でのかけ合い、大穂さんと芳垣さんのセッションが三日間の最高温度。ものすごい音圧。生命体のような布が造形され、光が落ちる。舞台は無人。余韻をはらみながら終演。

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