駅というのは不思議な空間だ。ひとつところから別のところに移動するために人が集まり、来るものを待つ。さっきまで一分一秒を惜しみながら仕事をしていても、駅にたどりつけば待つしかなく、すべての人が等しく宙吊りになる。この写真集で出会うのは、その宙吊り状態が極限に達している人々である。どこに行くのか、なにをして生きていくのか、家族がちりぢりにならずに暮らせるのか、湧き上がってくる問いのどれにも答えがない。
−大竹昭子(文筆家)
6月末、刊行予定。鷲尾和彦『Station』の先行予約を受け付けています。
つくばの出版社「夕書房(せきしょぼう)」の最新刊は難民を題材にした写真集。2015年9月9日、オーストリアのウィーン西駅での3時間。鷲尾和彦さんがカメラに収めたのは移動する人、時間、貼り紙…それら全てを抱えて、はきだす駅という場所。とても他人事とは思えない行列の写真を見て、現場の切迫感に思いを馳せました。
販売価格は3960円(税込)。6月13日(土)まで、ご予約を受け付けます。より詳しい情報は「夕書房」ホームページ内の本作特設ページでご確認ください。
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鷲尾和彦 Kazuhiko Washio
兵庫県生まれ。1997年より独学で写真を始める。世界的な視点から「日本」を捉えた作品を一貫して制作している。写真集に、海外からのバックパッカーを捉えた『極東ホテル』(赤々舎、2009)、『遠い水平線 On The Horizon』(私家版、2012)、日本各地の海岸線の風景を写した『To The Sea』(赤々舎、2014)、共著に作家・池澤夏樹氏と東日本大震災発生直後から行った被災地のフィールドワークをまとめた書籍『春を恨んだりはしない』(中央公論新社)などがある。神奈川県在住。
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