2026/01/04

上野郁代が2025年を振り返る


上野です。大学時代をつくばで過ごし、まだ本屋をやってない植田さんと知り合いました。植田さんはママチャリに乗ってるとバカにしてくる大人でした。大学では油絵を専攻していましたが今は鳥や動物の剥製を作る珍しい仕事についています。油絵はあまり真面目に勉強できず、卒業目前になった時にもうちょっとちゃんとしたい、手に職をつけたい、就活したくない、将来的には自営業一択だ!!と考えて何故か剥製屋がいいな、絶対向いてる!と東京の剥製屋に勤め始めました。周りは2,3年で辞めるとヒソヒソ言っていたと後になって知り、それはそうだよなと笑ってしまったけど一応10年弱働き、2022年に故郷の石川県は輪島市に戻って開業しました。山と海が綺麗な過疎地、能登半島。24年の大地震の被害は幸い小規模に収まり、まあ瓦屋根はまだボロボロですが取り敢えずはつつがなく営業しています。屋根を保護するブルーシートは2年経てば流石に朽ち、破片が庭に散在している。今年の11日はそこそこに雪の正月でした。元気に雪かき、黙祷。

 

2025年を振り返る。とてもいいお題をありがとう。2025年は仕事のペースを上げるべく気張って1年を始めたつもり。とにかく開業して丸2年、仕事の進みの遅さに反省することばかりだった。雪かきや草刈りなど一軒家の管理に慣れていないことや仕事場の整理整頓が不十分なこと、自宅兼仕事場という素晴らしい環境でついついゆっくりしてしまうことなど原因は色々あった。被災から1年で、まだまだお客さんから気を遣われる立場だったけど地震の影響はもうなかった。雨漏りしている天井裏に登ったらアップダウン激しくて一気に筋肉痛とかはあったけど。あとネコを2匹飼っちゃったり。これは地震前からですが。すごくよく話しかけてくるんですね、室内飼いのネコって。剥製に噛みついたりせずいいコです。遠方の友達も以外と遊びに来る。何泊でもしていいよとか言って海で遊ぶ。お気に入りの海が地震で隆起して陸になってしまい涙。泳げないなら、とダイソーで釣竿を買っちゃう。遊び終わったら疲れて寝る。で、もう心配になって作業日誌をつけ始めた。私はいつどれくらい働いているのか?素朴に疑問だった。


剥製業は年度末納期の依頼が多いので冬が繁忙期、なので1月からの記録を見返すと思ったよりよく働いている。2月は大雪だったけど、午前中に雪かきした後もへたばらずにカメとハトの皮を剥いているじゃないか。カメは腹甲を開けるのが大変だし開けたらすぐ内臓で気持ちが下がるし、ハトは皮が薄くて肉がネバ付いていて凄く面倒なのに、さすがだ。その後もハイペースで制作している。大雪が過ぎ去って春が来た時の喜びはすごかった。オオイヌノフグリの群生がとても綺麗で春の尊さを感じた。だからか分からないけど仕事はあんまり進んでないね。釣りに行ってます。釣果は小さいカサゴ1匹、リリース。あと大型剥製のクリーニングのために出張に行っています。詳細は書けないけど同業者と関われる珍しい仕事で楽しかったな。色々な情報交換ができた。狭すぎる業界で頼れる人がいるのは嬉しい。ちなみに前の職場だった東京の剥製屋は私の100倍くらい忙しくしている。


6月からは草刈りが始まる。自分の土地の管理とは別で、どうやら国の事業らしい中山間地域に数ある休耕田をいつでも復帰させられるよう主に草刈りをして管理する重労働、が始まる。毎週末しかも土日両日使ってみんなで元気に草を刈っている。好んで参加している(※日当は出ます)。奥能登豪雨で被害を受けた米農家さんに一部提供できたので重労働の意義はあった。しかし日誌の記録はスカスカなので、恐らく疲弊して働いてないのが居た堪れず放棄している様子。唯一オオサンショウウオ交雑個体のみ記録。実は初めて作る両生類!制作例が国内に多くあるのであまり身構えなかったけど結構大変だった。リベンジしたいなあ。そして夏は爬虫類をめっちゃ作ってますね。鳴き声が小さいから集合住宅でも飼いやすいというよく分かんない理由で飼育者が増えているそうです。問い合わせの度に種名を検索して、初挑戦ですけどいいですか?と断って受けることが多い。鱗や皮膚の質感、そもそも形状が個性豊かなので結構楽しい。しかしレオパなどのヤモリ系は皮膚が薄くて難しい。ご了承ください。


秋、中型哺乳類(種名は配慮して省略)の制作に思いのほか手間取り、それが1ヶ月ほど続いたところで記録を放棄、なんとそのまま年末まで空欄が続く。一応書いておくけど中型哺乳類は苦心の甲斐あって納品先にとても喜んでもらえた。安堵の気持ちで良かったー!と叫んだ。その拍子に苦心の記憶を無くしてないか心配になる。この時の話ではないけど、10年東京で働いた記憶がリセットされたのかな?と思うくらい初歩的なミスをよくやった2025。そして再びの冬、やはり年度末納期の依頼に現在進行形で追われているのでよく働いたという実感で終えることができた。年末にまとめて鳥を作る。納品先は茨城です。この企画にあたり写真を1枚添えること、と言われたので何体か撮影してみました。糸でぐるぐる巻きつかれているのは羽が浮いてこないようにするため。針は皮が浮かないよう固定したり、糸の支柱にしたり。鳥は状態が良ければスムーズに作れるので楽しい。作業中に道具を床に落としまくり、なんかこういうこと前からよくあるなーとぼんやり考えてたら90×60cmの作業机がちょっと小さいことにやっと気付いた。2026年は120cm幅のものに変えてみます。


以上、振り返ってみて。24年の被災直後と比べると当然仕事のペースは上がっているけど、もうちょっと沢山作れるといいですね。もっとリズムを整えて、夏に死ぬほど遊びたい。書きながら、ちょっと前まで私の剥製技術の天井は正直もう見えてると思ってたことを思い出した。別にそうでもなかったので頑張ってほしい。制作の機会が少ない中型以上の哺乳類、鳥類の経験が増えるといいなと思う。また同じ季節が巡ってくると思うと嬉しいです。

                            

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