どう見られているのかを気にするスターと同じように、今の自分をどう語ればいいのかをいつも考えている武田鉄矢がいる。だからマイクを向けられると「待ってました」と語り出す。武田は日本一「語りたがっている」男なのだ。語るとき、武田の自己陶酔は成就する。あー、辟易。(ナンシー関)*
7月18日、金曜日。参議院選の投票日が迫った先週あたりからエモーショナルかつソウルフルな言葉が溢れかえっている状況に、戸惑い、明確な意思を示さない自分が悪人みたいに思えて小さくなっていた。窮屈で息苦しい。でも、このまま小さくなってりゃいいのである。オレは投票に行く。自分なりに考えて、票を投じるけど、アナタに対してとくだん呼びかけることはない。ポスターも貼らない。もちろん、割引や特典などの用意もない。
「語りたがっている」人を揶揄するつもりはないが、気をつけてほしいと思う。それ、自分が気持ちよくなってないか? 自己確認を怠ると、やたらに声がでかい立候補者や党首とそう変わらない状態になっちゃう気がする。
武田鉄矢が人気者であると思うたび、私は日本という国が嫌になる。武田鉄矢を受け入れるというのが日本の国民性だとするなら、私は日本人をやめたいと思う。(同上)
ナンシー関の眼の鋭さは、現代にあっても有効だ。この「武田鉄矢」を特定の政党、政治家に置き換えれば、今もまんま通じる。1993年、武田鉄矢は「自分で自分に陶酔できるパワーは必要だね」と語っていたらしい。アア、辟易の極み……とかナントカ書いていて、ションボリしたのは今朝のこと。限られた時間、やるだけのことをやった方がいいし、赤っ恥もかけばいい。そう思い直したのは午後のこと。
*武田砂鉄(編)『ナンシー関の耳大全 77』所収「武田鉄矢」(1993年)より
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