2026/01/22

1/22 店日誌


驚いたり悩んだり、違和感、徒労感とか。でもそれも結局のところ、突き詰めれば自分自身のもんだい。このままどんどん自分のあれこれを切り捨てていって、私の中の空洞がもっと広がれば、芸術のちょうどいい容れ物になれるかな。

1月22日、木曜日。河野友花が2025年を振り返る。河野さんのテキストが読みたいからこの「振り返る」シリーズを続けてるといって過言じゃない。だって、こんなこと書ける人、オレは他に知らないんだもの。感情を込めつつ、抑制の効いた言葉選びがされていて、スーッと身体に入ってくる。本、映画、音楽のリストを見るだけでもじゅうぶんに楽しめる。今年は息子の泰然くんも参加してくれたのも嬉しかったなあ! 河野さん、来年以降もよろしくお願いします。

ピープルでは、わたしのつくる雑誌の即売会をやらせてもらい、やはりピープルまわりの愉快な仲間たちが開催するイベントにも呼んでもらいました。そのほか、様々なイベントで商品について喋りまくりました。当たり前なんですが、ちゃんと説明すると売れるんですね。

つづいて、金井タオルが2025年を振り返る。受け取ったときに、この短さ! 淡白さ! 最高だなーと感じたのをよく覚えてる。泣いたり泣かせたり、心震わせなくていい。こういう人がいてくれないと、20人に頼んでる意味がない。テキスト・ウィズアウト・ソウル。ぱっと見、魂のこもってない文章だけど、金井さんって人がここにいる。

この時代、何かしらの危機感を抱かずにいるほうが難しい。ニュースに耳を傾ければ嫌なことばかり。SNSは余計な動画を延々と垂れ流す。だけど、危機感が高まり過ぎてエモーショナルになっていくのも危険だと思う。ソウルフルな言説にも要注意。できるかぎり平静を保って、穏やかに暮らしていきたい。

今日は通常営業! 明日23日(金)は13時〜19時の短縮営業です。

2026/01/21

1/21 店日誌


古本屋しかない時代だった。新本屋には売ろうにも商品がないのだ。戦争で版元が潰滅したので、新刊書が出ないのである。その空白を古本屋が一手に引き受けた。(種村季弘)

1月21日、水曜日。種村季弘『書国探検記』の冒頭に置かれた「シークレット・ラビリンス」は戦後まもなくの書店状況から語り出され、実感的な古本屋讃歌へと展開していく。種村氏いわく───「古本屋の書棚の蔭では何が起こるかわからない。能率的な本探しのための配置はない、とばかりも言い切れないが、整理しようにも整理のつかない本がある。すぐお隣に並んでいても、時代が二ケタ三ケタとんでいるのが珍しくない」。こんなお客さんがいるならば、とっ散らかった古本屋も悪くないと思えてくる。

ひとりの人間が長年買い集めてきた本を買い取ることは、その人の人生と向き合うことでもある。同年代の人生に向き合うことは、自分の人生とも照らし合わせることになる。

代々木上原駅のすぐそばにある古書店〈ロス・パペロテス〉店主、野崎雅彦が2025年が振り返る。 渋谷で用事があるときは大抵代々木上原駅で下車、20分ほどかけてちんたら歩いていくのがちょうど良い。必然的に野崎さんのお店に顔を出すことが増えて、たくさんお話を聞かせてもらった(何冊かの探求書との出会いもあった……!)。数少ない同業の先輩。聞きたいことはいくらでもある。

今週は23日(金)のみ13時開店、その他の日は通常通りの営業予定。古本はもちろん、新刊書や新譜にも動きが多くなりそうなので、ご注目を。オンライン・ストア〈平凡〉やインスタグラムとも連動して紹介していきます。

店内暖かくして営業中。本の買取、在庫確認などのお問い合わせはお気軽に。

2026/01/20

1/20 雑記

滋賀県彦根市〈山の湯〉に向けて古本を一箱発送したのち、久しぶりで〈かつ善〉へ。口開けで入店すると、最後まで他の来店はなく、テレビの音を聴きながらゆっくり食した。市内のとんかつ屋ではここがいちばんちょうど良い。

そのあと、夕方前に買い物に出た以外はほとんどコタツの中にいた。種村季弘『人生居候日記』はダシの味が染みこんだ煮物みたいな本。「不景気でも、不景気でなくても、しみじみ不景気に飲みたがる人がいる。そういう人が、小出しに、かつ濃密にしみじみと、片隅のお店を猫みたいに膝にのせて撫でている」と閉じられる「片隅の飲み屋」がとてもいい。ああ、飲み屋に行きてェなあ。

2026/01/19

1/19 店日誌


1月19日、月曜日。知人があげていた写真をみて、老けてるな〜洒落てないな〜とちょっとショックを受ける。まあ、実際42歳で若くないし、日頃からオシャレしてるわけじゃないし、酔ってたわけだし……言い訳めいたことを頭の中で転がしてみても、それなりに落ち込む。自分は確実に年をとったのだ。知り合いの美容師さんに「そのままでいいんじゃないか〜」と言われたのは嬉しかったが(別件だけど)、うーん。やはりこのままじゃダメだよなぁ。

筑波大学のなかを歩くのが楽しい。武道場あたりからズーン、ドシーンと音が聞こえる。相撲場では機械音。別のところではチア? かなにかのダンスの音楽。サッカーボールを壁にあてたり、ラグビーボールをパスしていたり。ジロジロと見ないように注意しつつ、あちこち観察しながら歩いてきた。

今日は通常営業! オンライン・ストア〈平凡〉もよろしくどうぞ〜。

2026/01/18

1/18 店日誌


またはじめて、手製本をした。ミュージシャンにたないけんさんの「いかだで銀河」という作品。彼の詩の中にみつけた一文「ちいさな景色にならないか」という言葉にとても救われた一年。実際はその詩はわたしが思う意味合いとは少し違うかもなのだけど、そうさせてくれる自由さがある。抜き出しておまじないのような気持ちでポッケにいれてる。

1月18日、日曜日。natunatunaが2025年を振り返る。つくば市に住む絵描きのナツナさん、ひょんなことで知り合い、やり取りがはじまってから20年。まさか、こんなに長く関係が続くとは……と書いて、違うんだよなー。そんな簡単な言葉ではまとめちゃいけない。ただの仲良しじゃないし、モヤモヤを抱えたこともある。それなりに歳を重ねるとエモーション&ソウルだけでは先に進めないときもある。それでも! どうにか、なんとか、できるだけ率直なやり取りを重ねて、今もこうして関係がつくれてる。

そんなナツナさんに誘ってもらって「安藤明子 と にたないけん」に出店するため、今日は16時までの短縮営業。会場はつくば市東光台〈キッチン ソイヤ〉。ソイヤは開店から20年とのことで、なんともまあ、ここにも書くべきことが沢山あるのだ。周年ナントカってのは好みじゃないのだけど、何かやれたらいいな〜と考えている。

(ライヴのイベントに本って必要なのか? みんな読みたい? そんな疑問を消しきれないまま、いくつか出店しているけど、ハッキリしてるのは手を抜くと反応もヌル〜くなるってこと。なのでしっかり真面目にやります。隣で〈つるばみコーヒー〉店主がコーヒーを淹れてくれるので、暖かくなると思います。)

というわけで、開店! オンライン・ストア〈平凡〉もよろしくどうぞ!

2026/01/17

1/17 店日誌


1月17日、土曜日。EXOTICO DE LAGO、LAKEの中核メンバーであり、曽我部恵一ランデヴーバンド等のギタリストでもある長久保寛之のソロ名義=EXODELIC『ROCK ‘EXCODELIC’ STEADY』が再入荷! 音のこもったロックステディ~エキゾチックなインストゥルメンタルに、不穏なビートが被さってくる……。息を飲んで耳を向けていると、異国調のギターリフが裏打ちを刻みはじめて、遠くで女性ヴォーカルも聴こえ出す。独自の揺らぎかたをするカセットテープは、2025年を象徴する作品のひとつ。

画像解像度とは、画像を構成する点の密度を表す数値で、自分がCDサイズのデザインを納品するときがだいたい400dpi(通常)なんですが、ごくたまにロックコーナーをゴソゴソ漁っていると、それを大きく逸脱しているであろう解像度おそらく72dpi(ネットにあげる画像くらいの解像度)くらいのジャケに出くわすことがあるんですが、とんでもない違和感と、同時に、自分たちは解像度というクオリティーコントロールに縛られていたことに気づくことが出来たんです。

TACT SATOが2025年を振り返る。常連メンバー、タクトくんの記事には厚みがあって、読みがいがある。わかりやすい形でソウル、エモーションが表明されないからスルスル読めるのだけど、よーく文字を追っていくと激アツのパッションが漏れ出している。毎年参加してくれるのが、とても嬉しい。

今日も通常営業! 明日18日(日)はイベント出店のため、16時までの短縮営業です。

2026/01/16

1/16 店日誌

東京という町の特色は、森鴎外のいう「普請中」にある。急速な近代化が進むからいつも工事が行われている。風景が次々に変わる。東京の人間はこの風景の激変を日常的に体験する。(…)京都や奈良のように(註:「な」が正しい?)古都とはそこが大きく違う。古都では「歴史」が重んじられるが、東京では小さな「記憶」が大事になる。(川本三郎)

1月16日、金曜日。今週に入って、川本三郎の著作をつづけて読んだ。『東京抒情』と『台湾、ローカル線、そして荷風』。上記引用部をふくむ前者の舞台は東京、後者はあちこちの町。どうやって移動して、どんな人と会い、どこで飲むのか───著者はときに迷い、困惑しながら乗り物や店の扉を開けていく。冒険や旅ってほど大袈裟なものじゃないけど、潔くさっぱりとした心持ちがよく伝わってきて、読んでいて気持ちがいい。

2025年を振り返ると、自分の中では大きな変化があった年だった。生まれ育った東京を離れ、宮崎県の高鍋町という町へ行くことになったのだ。アート作品を制作しながら町おこしをしていくという仕事を見つけ、それがたまたま高鍋町だった。

さいとうよしみが2025年を振り返る。長く暮らした経堂から縁もゆかりもない、宮崎県高鍋町へ───自ら選んだはずだけど、誰かに選ばれ、動かされたような引っ越しの顛末をそっちょくに綴ってくれた。「どんなに緻密な計画を立てたって、10年後のことは誰にもわからない」と実感できる人は、多くないと思う。

今日明日は通常営業。明後日18日(日)はイベント出店のため、短縮営業です。