2023/01/03

文庫善哉が2022年を振り返る

同人誌『サイコロ』同人、文庫善哉です。

漫画家の山川直人さん、版画家の保光敏将さんがおふたりで作っていた同人誌に誘われ文章で参加したのが2015年の5号からで、2022年に11号を出しました。

イラストレーターにデザイナー、カメラマン、珈琲屋店主がふたり。いつのまにか同人が増え、8人となりました

いつもはひとりで活動している8人が、どんな内容にしようという相談もなく、いっせーので作品を集めてみたら、なんだか不思議としっくりきていたのでした。

人と何かをするのは苦手だと思ってきたのですが、どうしたことか、とてもたのしいのです。

方向はみんな違うのに、テンションが近いのかもしれません。

地道に続けていくことができたらいいなと思っています。

2023年もたのしみです。


さて。わたし自身はそもそもアウトプットはあまり得意ではなく、本来はインプットを好む性質です。

本を読んだり音楽を聴いたり展示を観に行くことは、ごはんを食べることとおなじで、栄養となります。

そしてどんどんメモをとります。

いま浴びて感じている何かが溢れ落ちてしまわないように。

そのメモをたまに読み返しては反芻し、奥深くまで行き渡らせています。



2022年 胸震えた展示10選と、そのメモの一部。


1 水戸芸術館『立花文穂展 印象』

ぼくはこれまで本そのものになるためのことを選んでやってきた。本がなんであるか、何をもって本というかを考えてきた。(略)やっぱり本は本だし、本そのものとしていつまでも残ってほしいから。」


2 館林市第一資料館『藤牧義夫と館林』


3 神奈川県立近代美術館鎌倉別館『山口勝弘展 「日記」(1945-1955)に見る』

「一九五三年三月廿六日 木 はれ この頃淋しい。何か悲しい。まるで十七、十八の頃そうだったように。」


4 水戸芸術館『佐藤雅晴尾行 存在の不在/不在の存在』


5 渋谷区立松濤美術館『津田青楓 図案と、時代と、』

漱石からの手紙「世の中にすきな人は段々となくなります。さうして天と地と草と木とが美しく見えてきます。ことに此の頃の春の光は甚だ好いのです。私はそれをたよりに生きてゐます」


6 神奈川近代文学館『生誕110 年 吉田健一展 文學の樂み

「Art and life, the rest doesn’t matter.  ー芸術か他の仕事をするのか、もう心の迷いはない、芸術と人生があるのみ、他のことは関係ない」「この本をあなたに捧げます。(中略) この本はあなたのものであり、夏の美しさなども含めて、あなたがかつて住んでいた家に捧げられたものなのです」


7 東京国立近代美術館『大竹伸朗展』


8 會津八一記念博物館『小もの展 會津八一の蒐集からみるひと・もの・こと』


9 三菱一号館美術館『上野リチ:ウィーンからきたデザイン・ファンタジー』


10 DIC川村記念美術館『ミニマル/コンセプチュアル』



斜め向かいの家の80代のおじいさんが、毎日午前10時から1時間チェロを弾いています。

休みの日に庭仕事をしていると、それが風に乗って聞こえてきます。

静かに、ゆったりと。

理想の「発露」、理想のアウトプットは、これだなあと、いつも思います。

それを文章でできる日が、いつか来るかしら。


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