街をさ迷っていると、その迷路のような道すじで、ある時突然、まさに路上の賢者といえそうな人(物)と出会い、彼らの手招きによって、気がつくと、自分で目指していた以上の場所にいる。自分の直感を信じてアクションを起こさないとストリートワイズは生まれない。(*)
昨日の午前中、行きつけの理髪店での散髪後、近くの古本屋に立ち寄った。まあまあの頻度で足を運んでいるのだけど、行くたびに見つかるものがある。ガサゴソと本の山をかき分けて、田所太郎『出版の先駆者』など数冊の会計を済ますと、店主がニッコリ。さらに4冊を出してくれる。一瞬驚くも、すぐに内容を確認。函入りの2冊を購入する(のこり2冊は文庫本)。
変人とか奇人とかいわれる人は、いつの世にもいるものらしい。だが、まことの畸人にいたっては、なかなかに探し出せないものである。この『書國畸人傳』に挙げる人物は、それぞれに、人生の意味をおもわせる人たちである。(**)
そのうちの一冊、岡野他家夫『書國畸人傳』は上記した序文を読んで、購入を決めた。宮武外骨、神代種亮、湯浅竹山人、石川巌、成島柳北、永井荷風、珠璣道龍。型にはまらず、心に触れる人物伝ばかりで、あっという間に読み切った。今、読むべき本だった。
読後、頭に浮かんだのは坪内祐三『ストリートワイズ』の導入文。予期しなかった遭遇が、あらたな好奇心を生む。賢者がくれた出会いに感謝したい。遠からず、文庫2冊も買いにいかねば。
(*) 坪内祐三『ストリートワイズ』所収「序にかえて」より
(**) 岡野他家夫『書國畸人傳』所収「序」より
0 件のコメント:
コメントを投稿