2023/01/01

しいねはるかが2022年を振り返る

しいねはるかです。ひとりひとりの物語に興味があります。

実験の記録ZINE『tonarinogofuzine』を書いています。

1〜14号までまとめた本『未知を放つ』を地下BOOKSから刊行。

PEOPLE BOOKSTORE さんで販売させていただいた縁で、2022年を振り返る に参加します。よろしくお願いします。



高田宏臣著『土中環境 忘れられた共生のまなざし、蘇る古の技』を読む。

土を感じながら手を動かしてみたいと思っていたら、里山の手入れ会に誘われ、参加してみる。

その日は一人一人がそれぞれに草を刈る日だった。全体をみる、水の流れをみる、光、風通しのよい状態へ ととのえる。

手を動かしながら目の前に心地よく集中すること、調和した状態へととのえていくことは、普段の仕事(からだのてあて) にも似ているような気がした。

手入れを教えてくれた木こりの方が「一人一人が気持ちがいいと感じる方向で活動を続ければ里山も元気になっていく」と話していた。

のびのびと一人で立つこと、深く大きく根を張る木、からだの中も世界も見えないところで交わり合っていること。

からだも、そのひとにとっての自然、気持ちがいいと感じる方向がある。

人間も自然の一部なのだな。植物、微生物、菌、ヒト。一人一人が気持ちがいいと感じる方向で活動を続けると、せかいも元気になっていくのだろうか。

この方向で暮らしていこう、と安心のきもちに。



ポレポレ東中野へ。『荒野に希望の灯をともす』素晴らしかった。中村哲さんの記録。

何年もかけて水路をつくるだけで大変なことなのに、始める前の段階から村の人たちに受け入れられなかったり、スムーズにいかないようなことが続く。それでも根気よくやりとりをされていた。

アメリカ軍から銃弾がとんできても、たたかいのきもちをえらばず平和をえらぶ。

どのような場面にあっても淡々と、目の前の水路に専念する。苦悩、ぜつぼう、どうにも力が及ばないこと。それらを経て「わたしはこれをするために生まれてきたのだ」と思い至る。過程を想像すると果てしない。

水路に水が流れたとき、わたしはそんな体験をしたことがないはずなのに、なんだかそれを知っているような気がした。水遊びをする子供たち、麦を収穫する人、芽吹く植物から生きるよろこびが溢れ出す。

「人間同士の共存ではなく、自然との共存。」「自然からおすそわけをいただきながら生きる。」「空ではしぬために戦っている。」「地上では生きるために水路を掘る。」

中村哲さんが話す言葉、行動、表情のひとつひとつが胸にひびく。

生き方、自然との付き合い方、人間という動物、共に生きていくこと、力を合わせること、平和とは。みた方、話したいです。



わたしは昭和生まれで、こどもは風の子、外で遊べと言われて育った。枯れた枝がこすれる音、におい、くるくるまわるカラフルな落ち葉、手が届かない高さの柿をついばむ鳥……。 小さい頃から秋がすき。

今はこどもだけで外で遊ぶことが少ないという話を聞いた。社会的な通念の変化から、今までの価値観や常識が覆っていくことはある。

そう感じる度に少しずつ、世の中的な価値観や常識にとらわれすぎず、ほんとうののぞみを体現してみたいと思うようになった。

10月末、つくばの古民家での"お灸祭り" に参加。つくばみらい市で鍼灸院を営む音楽仲間が企画したイベント。

お灸講座、和太鼓の演奏、マルシェ、養生ごはん、ぽかぽか和みのひととき。わたしは鍵盤を弾いた。

ひとりでお灸をすることはハードルが高いように感じられたけれど、実践してみると親しみがわく。

自分でバランスをとることもできるよ。視点を増やすこともできるよ。そんな気配と共に鍼灸の古典をたのしく教えてもらって、こころもからだもじんわり。

自分でできる。そう思えることは、生きる安心感にもつながる。

どうにかしなきゃという状態からみえるせかいと、気力や体力が調和した状態からみえるせかい。どちらも選べるのだから、できるだけ安心のきもちで生きていたい。

今までの常識が覆っても、ひとりひとりが自分で安心を育てていけるといい。そう感じたお灸祭りでした。

なずな堂鍼灸院  https://www.nazuhari.com/



代田橋、バックパックスブックス発『MAKE SOME TRIPS ! vol.1 』を読む。さまざまな人が書いた、そのひとの旅にまつわる文章のZINE。

とくに気になったのは、徒歩で東京〜長崎を歩いたゲーマーの方のインタビュー。令和版、奥の細道。

歩きながらさまざまなことを感じ取り、そのひとにとってのあたりまえを更新していく。そのひとだけにしか感じ取ることができない悟りを共有してもらったような気持ちに。

バックパックブックスに集う人たちがデザイン、編集、校正もして完成させたそう。

ほかのどこにもない、そのひとだけの物語。そんな物語に触れたとき、生きる力がわいてくる。

バックパックブックス


『2021年を振り返る』を読む。地下BOOKS小野寺伝助氏の文章のなかに

心を込めて書かれた紹介文や、SNS等に書かれた読後の感想に幾度となく感動する


同じ景色を見ている人がいる。紹介文や感想から心を感じ、感動をわかち合える。なんてありがたいことだろう。

わたしも本を通して、未知のせかいをたくさん見せてもらっている。本をキッカケに連れていってもらった場所、そこで出会った人たち、暮らし、ありかた、一人一人の物語。振り返ると出会いに恵まれた2022年だった。

自信がないことだと、自分を薄めて他者の意見を優先させたくなってしまうことがある。しごとや音楽、文章は、自分の軸を太く育てていくやりとりになっている。対話へのツールでもあるような気がする。2023年も、さまざまな対話をしていけたらいいな。

これから生きているあいだに何が起こるかはわからないけれど、生活のなかで ちいさなかくめいの実験を繰り返しながら、可能性を育ててみたい。

2022年、お世話になりました。
よいお年をお迎えください🐇

しいねはるか

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