2024/02/19

2/19 店日誌

2月19日、月曜日。映画『スケアクロウ』の舞台は1970年初頭のアメリカ。主役はマックスとライオン。西海岸で出会った二人がそれぞれの目的地、デトロイトとピッツバーグを目指して旅をする。それだけの話なのだけど、ヒッチハイク、貨物列車を乗り継いでの移動のシーンに、時代が写りこむ。途中で出会うヒッピー風の家族が乗るのはフォルクスワーゲンのワゴン。今やお洒落気取りのアイコンに堕した感のある車に、能天気とはいえ、ある種の思想がただよっていた。

道中の二人を拾うのは、農家の女性やネイティヴ・アメリカンの夫妻。そう言えば、劇中ほとんど黒人が出てこない。これにも意味があるのだろうか。貨物列車での移動、果物収穫の短期労働のシーンではケルアックの小説を思い起こした。重ね着しまくるマックスのシャツの類、ライアンのニットキャップ、なにげないカットソーにも古着好きは注目するはず。

音楽もよかった! バーでのダンスのシーンで「ナチュラル・ウーマン」が流れていた以外ははっきりわからなかったけど、冒頭から絶妙な選曲。めちゃ短いエンドクレジットに乗せられる曲もごきげんなリズムで、皮肉だった(終わり方が好きなのだが、気持ちとしてはなかなかキツい)。

実体験はもちろん本や音楽から受けた影響が映画を観る目に反映する。年を重ねるほど、こうした文化の味が増していく。※この解説動画を参考にした上で書いてます。

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