土井政司『アリッサのこと』が届きました。
大阪市東淀川区のサイクルショップ〈タラウマラ〉店主による5冊目の著書。蟹の親子、ヤシガニの群れ、その蟹を調理する女性、妻に去られた男、家を飛び出した女、一匹のヤシガニ、夫と二人の娘と妻からなる家族……と描写される順に並べてみても、これらの繋がりを有機的には説明できない。でも、組み合わされた言葉に喚起されて生まれるイメージは、おぼろげではあれ、いくつかある。明確な意味を捉えようとせず、頭に浮かぶ風景を眺めるように楽しんでみてほしい。
表題作「アリッサのこと」と「市街地の犬」の2篇を収録。情報伝達のためではなく、現実とは異なる世界をつくるための文字の並び。貧相な語彙からひねり出すと、これを文学だとするのがもっともしっくりくる。繰り返し読むほど、イメージがふくらむような気がします。
販売価格は1760円(税込)。オンライン・ストア〈平凡〉でも販売します。
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