–へえ! 演奏をサンプリングすることで生まれたノイズだとは驚いた(一発録りに近いのかと思ってた……)。で、次の「SOULBIZ」でギヤチェンジ。つくばエクスプレスのアナウンスで身体の力が抜ける。イントロからSPRAって感じのユルさだよね。ほどよく黒みもあって。他の曲に比べて、言葉を置いていってるように聴こえるけど、意図的にやったことなのかな? リリックの圧を弱めにして、他の曲とのコントラストをはっきりさせる狙いがあるのか、乗りこなすのにやや苦戦したのか、気になるな。
ユルいですかね? 俺はあまりそうは想わなくて。ゆっくりだけど攻撃的なダンスミュージックというか。黒くて面白いビートっすよね! 気付いてくれてうれしい、あのワードの置き方は意図的で、新しいアプローチでラップしたかったんです。エスプラのビートは独特で変則的でつかみどころがあまりないから、最初は 「なんじゃこりゃ」って乗せ方に超苦戦して形になるまで時間かかったけど、つかみ始めたらスラスラと出てきてその勢いでRECで声を出したら案外ハマって、結果楽しめましたね。力入れずに新しい扉開けれた感というか。そして、つくばの香りと風景を。あなたの店もモロ(笑)。
エスプラは今回のアルバムの実はキーマンで、以前LIVEでつくば市天久保の〈Club OctBaSS〉に行った時に夜中に〈DISCOS〉(*Club OctBaSSに隣接するバー)で語ってる時に「俺にとって泰尊はワイルドなんだ。だからもっと作品に落とし込んでほしい」って急に言われて。ハッとなったし、あの言葉に背中押されたっていうか。今作は好き勝手やったり挑戦してるのはあの言葉のおかげでもあるんですね。よき戦友、親友。
–次の「YANAGIDARODEO」はイントロからヤーマンな気配が漂ってきて、自然と笑えてくる。この曲は最後に「実は……ヤナキタロデオ号」と告白するところが好き。接続するように始まる「リサイクルキャラバンのテーマ pt.3 feat,TONY THE WEED,MARIYO」には驚いたな! 泰尊くんの代表曲がまさかのレゲエチューンに! この辺りの展開は音が広がっていくようで、すごく面白かった。言葉の伝わり方も波みたいな揺らぎがある。この2曲のどうやって生まれたのかな?
ヤナギタロデオです(笑)。つい最近、元の持ち主の柳田さん(ウルトラ大工)がカミングアウトしてきてビックリしたんですよね(笑)。「え、今更?」って。 この曲も前々から作りたくて、モーターアンセムというか、笑える自慢というか。音楽の利益で買ったキャンピングカー乗って全国回ってるラッパーなんていないからこそ、これは唄にしたくて。ビートはPANICtracks、横浜の兄ちゃん達であるgnkosaibandの凄腕ギタリスト/エンジニア/屋台骨が担当してくれて。彼が以前出してたEPにこのビートが入ってて一目惚れして。で、無理くりお願いして快く使わせてもらいました。これはPANICtracksのエディットセンスに脱帽した楽曲ですね。一度ラップ乗せた状態とアカペラを送ったら2時間後に全く違う曲として返ってきて、それがヤバすぎてブチ上がって。そっから原曲のエッセンスをいい塩梅にいれて……感動したなぁ。トラックメーカーではないミュージシャンPANICtracksの底知れぬ狂気と才能をたっぷり知った曲になりました。まぁ何より、笑えて最高。
リサイクルキャラバンのテーマはバッチリですよね! シリーズ第三弾となる今作ではレゲエに挑戦したかったんです。レゲエのノリが好きで、生きてく上でもこれからの自分に必要な要素だよなぁって想ってて。ビートは盟友MAHBIEなんですが彼に注文して。したら彼は速攻で答えてくれて。元々彼がリサイクルキャラバンシリーズをめっちゃ好きで。「LIVEで常に唄うべきだよ!」って前から言ってくれてて。じゃあパート3はあなたでしょ!って。
で、イケイケなシャウトカマしてくれたMARIYOは鹿児島のレゲエシンガーで孤軍奮闘、長年活動してて。この唄には、そのジャンルでちゃんと活動をしてる人の声を載せたくてお願いしました。めっちゃ味が出てますよね。
TONY the WEEDことトニーさんはたまたま住む街日置に来てて。共通の友人宅に暫く世話になってたトニーさんに便利屋の仕事誘ったら来てくれて、一緒に仕事して。その時「いつか曲作りたいね」ってなり、じゃあ正にリサイクルキャラバンのテーマでしょう!って参加してもらいました。そして 各自が参加してまとまった後にMAHBIEのエディット、更に ミックスエンジニアのQuanata RecognizeのDUB魔術により生まれ変わりましたね。リサイクルキャラバンのテーマシリーズ、pt20ぐらいまでは作りたい(笑)。
–おーー! いいねえ、リサイクル・キャラバンpt.20! それは泰尊くんにしか出来ないよね。次の「ひかりのこみち」は旅を終えて、一度帰宅。子供たちの顔を見た場面なのかなと思ったり。前半ではいちばん暖かみのある曲じゃないかな。冒頭の声ふくめ、ここにこの曲を入れた理由はあるのかな?
個人事業主アンセム、これからも期待しててください。
"ひかりのこみち"、これは旅というよりは日々。父親としての変化と日常を描きました。家族の唄、子供たちの唄は1stアルバムから描き続けていて。前作で言うと"again"、"ごにんぐらし"の続編ですね。ただ、今までと大きく違うのは “家族”や”個”が対象だったのが 周りの”皆”を思い浮かべて描きました。このビートは、佐賀を拠点に活動するCogaAtsushi君が手掛けました。きづけば長い付き合いになってきたいい男なんですよ。
彼が結構前にこのビートを送ってくれて ずっとあっためていた。聴いた瞬間から、テーマもイメージも浮かんでいたが 時間をかけて創っていった。ホントに時間がかかった。同じタイミングで、長女が保育園から小学校に、次女も成長したり。四季を越えるまで熟成させていた。この楽曲は 〈森の子〉という近所の友人達が立ち上げた子供と親達の居場所創りコミュニティのおかげで出来上がったといっても過言じゃない。
小学校に入ると 色んな情報が入ってくるし、色んな子達がいること知る。いいこともそうじゃないことも。不登校だったり、世界はちいさな社会問題で溢れてる 学校がすげ〜楽しい子もいれば、勿論そうじゃない子もいる。ルールを守れる子もいれば、勿論違和感を感じる子もいる。
「なんで学校に行かなきゃいけないの?」
って言われたことだってあった。親っていっても親として子供と同い年だし、未熟だし、悩みや迷いは勿論ある。けど、おかげで色んなことを考えるキッカケになったし、友人達が向き合ってる姿を近いところで見たり、一緒に関わったり、現在進行形で無理なく一緒に楽しんでいる。
おかげでこの曲は "個" じゃなく "皆" を浮かべながら創り上げた。自分にとっても成長できたことを曲を通して気付けた。子供たちの声は、アツシ君からの提案で。森の子の子ども達の声。子ども達の前でこのウタを流す度に瞬間に 「この声、◯◯!」ってイントロクイズになってまして、めっさ愛しいんですよ。大切なウタになった。
この唄が前半を締める一曲になってくれましたね。ここだな、と。ちなみにこのタイトルは少し前につくばのシンゴスター(*つくば市小野崎の〈Cox/Shingoster LIVING〉)で展示した友人で熊本在住の陶芸家・北川麦彦の親父さんが作った詩集のタイトルから勝手にいただいたのです。ひかりのこみち。
–インタールード、中休み的な「u&mi」。ここまで来て、おー遠くまで来たなあって感じだよ! まだまだ旅は続くけど、いったん休憩。茨城在住のDJ、いけたらいく氏のトラックを採用したのは何かきっかけがあったのかな? のどかな空気があってやすらぎます。
いやあ、遠くまで歩きましたよね。 聞いてる(*読んでる)皆さんマジでありがとう。いけたらいく、ことエステンさん!つくばのOctBassで俺とこしのかんばいちゃんのリリパをしてもらった時に出逢ってリハから意気投合したんです。LIVEもしっかり身届けてくれて、感動してくれて。彼のバイブスは記憶に残ってて。なんか信用できるオーラというか。その後、すぐTAPEを贈ってくれて。
「ビートも作ってるから贈るね」って贈ってくれたビートがこれだったんです。ビートレスで、切ないけどあたたかくて、ビンテージな音で。なんかじわ〜って心に沁みて、いつかどこかで使わせてもらえたらな、と。そして制作を進めて行く中で、ボリュームがある程度見えて来た時に 「これはどこかにSKITが必要だぞ」って想ったんです。じゃなきゃ事故るというか。その時に思い出したんですよね、ああ あのビートがもしかしたらハマるかもって。
声や言葉が載らない「SKIT/インタールード」がしっかり立ってるフルアルバムが好きだし、理想で。映画のような。そこに見事にハマりましたね。理想に近付けた。何より作品自体の風通しを良くしてくれた。この曲があるとないでは作品の印象はきっと大きく違う エステンさんいい仕事してくれましたよね。
(④に続きます!)
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