この本はエッセイであるが、文学である。その一点がわからなくては、色川武大は浮かばれない。−小林信彦(「命をかけたサブ・カルチャーエッセイ」より)
2月4日、土曜日。ちょっと前に読み終えた、小林信彦『日本人は笑わない』所収「命をかけたサブ・カルチャーエッセイ」内での一節に触れて、色川武大『唄えば天国 ジャズソング』を手に取った。昨年末に買ったまま、読むきっかけがなかった本。読み始めたら止まらず、夜になる頃に読み終えた(その文庫巻末の解説として、小林信彦のテキストが収録されている)。
私にとって愛しい曲というのは、普段着で居る、というか、その普段着が一張羅で、着たきり雀でいるような曲だ。野に咲く花なのだけれど、やっぱり独特のいいものを持っていて、普段着でもなんだか目立ってしまうような。(「コケット」)
上記のような感慨をはじめ「ジャズメンはいい。楽器を持ってきて騒いで送れるから。小説書きの葬式に、同業が集まっても、沈痛なるだけでなんにもできない」(「アム・アイ・ブルー?」)なんて呟きが、とてもいい。その後、店の棚から手に取ったのは、田村隆一『半七捕物帳を歩く ぼくの東京遊覧』。ページを開くと、いきなり永井荷風の言葉が引かれていて、驚く。
家に帰って読み始めたのは、森まゆみ『千駄木の漱石』。小林信彦『うらなり』から流れていくのに、ちょうど良い。読むべき本はひとつひとつ繋がっている。てなわけで、ここ数日の読書メモとして記しておく。
今日明日は13時開店! オンライン・ストア〈平凡〉もどうぞよろしく。
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