日々「変わりつづける世界」への疲弊と、無情にも「変わらない世界」への絶望。あなたやわたしを取り囲む孤独が氷のように固まってしまっても、寺尾の音楽は、人がこの世界にひとしく生まれ落ちた事実を希望として浮かび上がらせ、そのこわばりをゆっくりと溶かしていく。
寺尾紗穂『余白のメロディ』が届きました。
文筆家としても知られる歌い手、寺尾紗穂の10枚目のオリジナル・アルバム。収録された全10曲、それぞれの声、言葉、旋律に丁寧に耳を傾けると楽曲ごとの世界がしっかりと立ち上がる。さらっと聴けば、グッド・ミュージック。じっくり味わえば文芸作品。振れ幅と奥ゆき、余韻が含まれていて、ゆたかな体感を得られます。
本人の作詞/作曲の「たしかなことはなにも」での冒頭のやり取り、「あなた」と「わたし」の言葉の行き交い。流麗なエレピ、ドラム、ベースの生むリズムがクール。松井一平、MC Sirafuの歌詞にもご注目を。
販売価格は3300円(税込)。もれなく、エッセイ『取り戻せないことの上に』が付きます。
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