ここで畸人というのは「変わり者」という意味ではなく、尋常ではない、素敵な面白い生き方をした人ということである。(中略)機能と効率・管理といった近代の毒にそっぽをむいて、むしろ趣味や飄逸に生きた自在な人が多く、なかには近代化に乗り遅れた人もいる。–森まゆみ(「路上の肖像–あとがき」)
6月28日、火曜日。坪内祐三『慶応三年生まれ 七人の旋毛曲がり』の次に手に取ったのが、森まゆみ『明治東京畸人博』。『慶応三年〜』を読んで、にわかに興味の増した幸田露伴が住んだ谷中、かつて建っていた五重塔、同居していた滝沢羅文(通称:ブラ八)のことが知りたかった。だが、該当の章「露伴が谷中にいた頃–五重塔の話」でいちばん鮮烈な印象を残したのは、斎藤緑雨の風貌だった(p.213)。
文中で「おしゃれでやせた斎藤緑雨」と書かれる通り、なるほどシュッとした面構え。これまでに全く縁もなく、興味を持ってもいなかった斎藤緑雨にもじわりと関心が増してきた。当てずっぽうに本を読んでいけば、また出会うこともあるだろうか。
今日は15時開店。間借り中の〈平凡〉も営業再開! ぜひご利用ください。
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