2021/11/26

『頁をめくる音で息をする』

こういう商売はいいなと思えることもある。それは古本屋ではなく、飲食店など他業種だったりする。店の素朴さや美しさだったり。身のこなし方がかっこいいと憧れる。稼げたらいいという商売は嫌だ。(七月十八日((日))

藤井基二『頁をめくる音で息をする』が届きました。
広島県尾道市で〈古本屋 弐dB(にじゅうでしべる)〉と〈古書分室ミリバール〉をいとなむ藤井基二さんのエッセイ集。店で出会う人や本、詩、酒などを綴る飾り気のない文体、言葉の具合がちょうど良い。藤井さんの目線を切り取ったような写真ページの構成はさりげなく、詩的な雰囲気。手にしてページをめくっていくほど、いい本だなあと感じ入りました。

2021年8月の日記であり深夜の朗読の記録でもある「二〇一二年 2」が詩人・詩集の紹介にもなっているところが、本の奥ゆきをつくっているように思います。いわく「詩は情報ではない。データではない。今すぐ役に立つ便利なものではない」(見えない手)。

販売価格は1540円(税込)。表紙の装画(版画)は保科敏将によるもの。

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