2021/11/13

11/6-12 本日誌

11月6日。『パリ・キュリイ病院』を読み終えて、本棚から『ユリイカ 総特集・野見山暁治 絵と言葉』を取り出す。「1956年(昭和31年)、陽子夫人と椎名其二氏」と注釈のついた写真を見つける。はじめて目にしたわけではないのだけれど、これまでとは見え方がちがう。

2012年のこの特集号副題は「きょうも描いて、あしたも描いて、90年」とある。そうなると野見山さんはまもなく100歳を迎えるわけだ。『パリ・キュリイ病院』内での「あなた、長生きするわよ」という陽子さんの言葉を思い出す。

午前中、映画を観たのち店を開ける。すぐにお客さんが来てくれて、ホッとする。その後もいいペースでご来店。ちょこちょこと話をする。岡本勝人『ノスタルジック・ポエジー 戦後の詩人たち』を読みはじめる。

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11月7日。午前中に散髪。昼食後に店に行くと、約束していたエスプラ君があらわれる。開店したての〈Good Near Record〉に寄付するCD、5箱を渡してビールで乾杯。ちょっと話して、それぞれ仕事に。自分の店は、そこから急に人が沢山やってくる。正直、どの人たちがどの順番で来てくれたか整理できない。

その中に混ざって買取希望の本を査定したり、バタバタするうちに夕方。ゆっくりコーヒーをのむ余裕もなかった。当然ながら本は読めず。買い取ったばかりの『Boon』(2014年以降)や『Eyescream』(スケートボード特集号)を拾い読む。

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きょうはどうもいけないぞ、という日は/いろんなものが哲学者に見える/大きな木/すわっている猫/ちいさい岩山/古い街灯/みんなこちらより思慮ぶかげに思える-北村太郎「路上の影」

11月8日。いつもより長めの電車移動で『ノスタルジック・ポエジー』を読み進める。11人の詩人論のなかでちょうど真ん中に置かれた石原吉郎、北村太郎の両者に関して、筆がなめらか。活き活きと書かれているような気がした。

読んでいる途中で、三木卓『若き詩人たちの青春』を再読しようと思い立つ。

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11月9日。朝、『ノスタルジック・ポエジー』のあとがきを読んでいたら「本書の出版をこころよく引き受けて下さった小沢書店社長の長谷川郁夫氏」という一節を見つけて、ドキッとする。長谷川郁夫は評伝『吉田健一』の著者、その人ではないだろうか。点と点とが繋がった気がして、あわてて荻原魚雷、内堀弘の本を取り出す。小沢書店にかんする記述があったような気がしたからだ。されど、該当部分はすぐには見つからず。

雨がザーッと降って、ピタッと止んでまた降り出したりと落ち着かない空模様ではあったけれど、お客さんは来てくれた。日曜日に買い取ったスケートボード関連の雑誌、作品集、ZINEの値付けをして、店に出す。

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11月10日。開店早々、今日発売のKID FRESINO『20 Stop it.』(LP)を求めるお客さん。なんでも遠方に住む先輩に頼まれたとのこと。何とも言えない気持ちを抱くが、店に来てくれたのなら売らないわけにはいかない。その後、店では混乱なし。安心する。

古道具や、冷蔵庫、ガスレンジ、電気スタンド、家改装のために取壊された材木のたぐいが、ネズミの死体と共に、道路わきに、山積になって捨てられている光景は、ニューヨークが、いかに世界最大の消費都市であるかを、如実に物語っている。-篠原有司男「ロフトの大家はマフィヤであった」

その後、合間をぬって篠原有司男『ニューヨークの次郎長』を読みはじめると、これがすごく面白い。荒唐無稽な設定ではあれ、描かれるニューヨークの細部が妙にリアルで説得力がある。序盤からぐいっと掴まれる。

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11月11日。買い取った本に入っていた、椎名誠・沢野ひとし『私広告』が軽く読めて、ちょうど良い。なかでも「ビールを飲む人生は美しい」というパートがすごく好き。サントリー・モルツの広告に使われたものらしい。椎名さんの短文と沢野画伯の挿絵の軽みが絶妙。ああ、ビールがのみてえなあという気分が増して、黒ラベルを開ける。

それにしても、サントリーのビールは不味いのに(プレ・モルってやつは特に!)、広告には比較的いいものが多い。このねじれがいつも気になる。

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11月12日。ひきつづき『ニューヨークの次郎長』を読む。店はしずか。来月に予定している催事の告知準備をすすめる。陽がとっぷりと暮れてから、ちょこちょことご来店。音源を中心に売れていく。街の先輩、ヨシユキさんが持ってきてくれた缶ビールをのむ。わいわいと音楽談義。

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