9月5日、火曜日。「ひとつの歴史が、こうやって今ぼくたちの前にある。ビニール袋からふいにこぼれた汁のように流れ出している。衣服に染ったそれを、ぼくたちは洗うすべも知らない」。これは昨夜、安西水丸『手のひらのトークン』で見つけた一節。ニューヨークの語学学校で遭遇したタイ人女性から「パールハーバー、アンフェア」と詰め寄られた後での場面だ。
終始淡々とした筆致で描かれるから、感情的な動きは少ないように見える。だが主人公の内面には動揺がある(実際にその後、学校に行かなくなる)。
引用箇所に触れて、『オフショア』3号の巻頭言が頭によみがえった。いわく「自らの過去を知ることは、自らの今がどうしてこうなっているのか、要因を探ることでもある。なぜ日本は、このような現在地にいるのか」。自らの過去と向き合うことは、なかなかにしんどい。でも、それをサボっていては、先が見えない。
今日も書籍、音源に入荷あり。オンライン・ストア〈平凡〉にも動きあり。
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