10月7日、木曜日。荻原魚雷『本と怠け者』(ちくま文庫)を久しぶりに手に取った。通読するのは、これでたぶん三回目。初読時と同じかそれ以上に、本編後半に置かれた、批評三部作(限度の自覚・精神の緊張度・批評のこと)に発見が多かった。とくに「批評のこと」。自分は、間違っても、批評家づらはしたくはない。ただ、何事にも批判的であるよりも、批評的でありたいなあと思っている。
本でも音楽でも映画でも、自分がほんとうにいいとおもえるものに出あったとき、それをもっと深く理解したいとおもって言葉にし、誰かに伝えたくなる。批評の喜びは、そういう気持と無縁ではないと思う。(「批評のこと」)
批評は愛情だと主張した、小林秀雄は「味もそっけもない、ひとつおぼえの理屈や小器用な印象を並べただけ(略)の文章を批判した」らしい。このテキストに触れるたび、小林秀雄を読まなくては、と思う。とはいえ、今もまだ、まともに読めていない。
店がひまだと、本が読める。こういう時間があるから本屋はたのしい。
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