10月1日、金曜日。来店が少ない平日は読書にかぎる。今、読んでいるのは、小林信彦『夢の砦』(新潮社)。読み出したのは数日前。同著者の『袋小路の休日』にはじまり、常盤新平『片隅の人たち』、生島治郎『浪漫疾風録』を経過して身体があたたまった状態で、手に取った。
この物語が進行しつつある1961年は、日本のテレビ史上、たぶん、もっとも活気がある、面白い時代だったはずである。テレビというメディアは、ようやく草創期の模索を脱して、脂が乗ってきた。(「第八章 巨大な玩具」)
主人公は新興ミステリー雑誌の編集長。とうぜん、雑誌業界の内部が描かれる。だけれど、この小説の味わいどころは当時、勢いを持ちはじめたテレビ業界の描写なんじゃないだろうか。第八章「巨大な玩具」を読みながら、そう考えている。
雨の金曜日。ご都合に合わせて、ご来店ください。
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