2018/07/31

『山の上の家』


その文章の正確さ。家族にたいする愛情。
庄野潤三のような作家は、ほかにいません。
読むと、あたたかくなる本です。


夏葉社の最新刊『山の上の家』が届きました。
題名の上に「庄野潤三の本」とある通り、この本は作家・庄野潤三のガイドブック。それにしても、あたたかい。愛がある。冒頭のカラーページ「山の上の家」に並べられた写真群(撮影・白石和宏)をながめるだけで、ため息が出ます。ここまで綺麗に切りとってくれたら被写体も喜んでいるでしょう。この川崎市生田の庄野潤三邸は今年から年に二回、一般解放されるとのこと。

販売価格は2376円(税込)。仕切り直した感のある夏に、ゆっくり読んでほしいです。

***

庄野潤三は、戦後「第三の新人」の一人として
登場しますが、自分のまわりにある身近なテーマに
焦点を絞って、早くから自身の文学を確立しました。
初期の「プールサイド小景」、「静物」などの
味わいは格別ですが、傑作「夕べの雲」以降の、
長い創作活動を最後まで見ることで、はじめて、
庄野潤三という作家の大きさがわかります。
本書は、作家が長く暮らした家をカラーで
32ページにわたって紹介しています。
その他、
・巻頭文/佐伯一麦
・私のお父さん/今村夏子(庄野潤三 長女)
・父の思い出/庄野龍也(庄野潤三 長男)
・庄野潤三が家族を描いたスケッチ
・単行本未収録随筆(「わが文学の課題」)
・単行本未収録中編小説(「青葉の笛」)
・庄野潤三とその周辺 /岡崎武志
・「山の上」という理想郷/上坪裕介
・全著作案内/宇田智子・北條一浩・上坪裕介・島田潤一郎
・短編・随筆リスト
・山の上の親分さんとお上さん江/今村夏子(庄野潤三 長女)
などで構成されています。
http://natsuhasha.com/news/yamanouenoie/

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