2018/07/27

『猫はしっぽでしゃべる』


車でほんの十五分の湖に行って、そよぐ風に身をまかせて、水の音を聴く。駅のホームで、微妙な方言の差に耳を傾ける。見知らぬ土地の酒場に入って、土地の肴で酒を呑む。そんなたわいのないことでも、その経験は血となり肉となる。そして、その色、音、感触、すべてが想像力を培う。培われた想像力が、本を読む楽しみをさらにまた増やしていく。

田尻久子『猫はしっぽでしゃべる』が届きました。
熊本で〈橙書店〉をいとなむ田尻久子さん、初のエッセイ集。自分が文芸誌『アルテリ』を毎号楽しみにしているのは、田尻さんの文章が読めるから。最新号を手にしたならば、まず田尻さんのページを探して読みはじめる。その端正な文字の連なりにうっとりする。言葉の力に感じ入る。という感じで、すごく好きな書き手の最初の著作。しっかりおすすめしていきます。

販売価格は1512円(税込)。伊藤比呂美、川内倫子、坂口恭平、渡辺京二が言葉をよせた、封入の小冊子もお見逃しなく。

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