追い求めていたものは「有名な店」ではなく「面白い店」だったはずだ。
8月31日、火曜日。先週何となく手に取った、堀部篤史『90年代のこと 僕の修行時代』(夏葉社)に感じ入った。そのうち多くは共感、もう少しは驚嘆–その冷徹な筆致に–だ。同じ書店主として仰ぎみる存在ではあれ、そういった目線を好まない堀部さんのたたずまい方、〈誠光社〉にかいま見える確かな意思に触れると、自分も「これでいいのだ」と安心してしまう。
昔は良かったなどと言うつもりはないが、もうこれ以上はいらないとは強く思う。これ以上美味いビールも、(略)さらに画素数の高いカメラ付きスマートフォンも、(略)土地や時間に縛られない新しい働き方も、(略)より多くの「いいね」もフォロワーも、これまでになかった新しい本屋もいらない。
以上の吐露のあとにつづく、「せめて〜」とはじまる文章にこそ、堀部さんの意思を感じる。ただ、この本『90年代のこと』は版元品切れ。当店にも入荷予定はなし。〈誠光社〉のオンライン・ストアで購入可能。気になったのなら是非読んでみてほしい。
明日から9月。いくつか臨時休業日があるので、追ってお知らせします。
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