2016/01/21

発酵という抵抗運動


“発酵と腐敗を見極め、食べていいのか、いけないのかを判断する感性ですね。誰かが決めた賞味期限じゃなくて、自分の感覚で見極めるってところで、人間としての生きていく力が、発酵食品のなかにも秘められているんじゃないかと。”
-寺田優 (“自然酒づくりと発酵ムーブメント”より)

“本来は、町ごとにブリュワリーがあって、自分の贔屓の味を仲間と楽しみながら消費する。遠くから自分の街へ帰ってきたときに一杯飲ると「あぁ、帰ってきたな」って思えるのが良いと僕は思っていて。そういう意図もあって、うちは「DRINK LOCAL(ローカルなビールを飲もうよ!)」というスローガンを掲げているんです。”
-吉瀬明生(“世界一ちいさなビール工場”)

発酵とは抵抗運動なのだ! と『Spectator』を読んでいてそう思った。
抵抗って誰にだ? 何にだ? そんなの決まってるだろう。際限なく効率を求め、どこもかしこも平板にして、世界中を同じ色に染めようとしてる連中に、だ。誤解してほしくはないけれど、本号はこんなに鼻息は荒くない。わりと冷静に(好奇心には旺盛に)、日本や世界のどこかで現出している発酵ムーブメントに携わる人たちをレポートしてくれている。それでもやはり言葉の底に静かな炎が宿っているのは間違いない。季節や場所を問わず、いつもどこでだって同じ味が食べられるなんておかしいのでは? と、青野編集長はじめ編集に関わった人たちは首をひねってみたのだろう(でもそうなると、これまで恩恵を受けてきた便利さから解放されるための発酵、というほうが合点がいく。抵抗と言うと大袈裟かもしれない)。

これはなにかおかしい。変だぞ。といった違和感に敏感でありたいとボクは思う。先人が示した道ではなく、別の道を選んでいい。歩みはみんなと同じ速度じゃなくてもいい。他人より余計に時間がかかっても平気の平左だ・・・と、思い込むようにしている。前にも同じようなことを書いたような気もするけれど、ボクが『Spectator』をひも解く喜びはそんな気持ちをまっすぐに肯定してくれることにある。キミの気持ちのままに、まずは試してみたらいい。彼らは、そんな風にさらりと話してくれる年上の友人のような存在なのだ。月日をかさねれば、人は変わる。その変化を当たり前に体現しているこの雑誌を、出来るかぎり追いかけていきたいと思っている。

長くなってしまった。言いたかったことはひとつだけ。
今号も『Spectator』は面白いっす!これは変種のフード・ジャーナリズム誌です!

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