6月8日、木曜日。芦沢一洋『原野を楽しむ』に入った短文「散歩の楽しみを教えてくれた本」を読んで、ちいさく驚いた。自分と同じことを感じている人がいる。書き出しはこうだ。「歩くとはどういうことか、私はそれを三人の男から教えられた気がする」。そのうちの一人、ヘンリー・デヴィッド・ソローに学んだことを著者がしるした部分を以下に引く。
とにかく、目的や時間といった、縛りつけてくるものから自分を解放して、ただ歩く。心に浮かぶ出来事をただ反芻しながら、楽しんで歩く。それこそが散歩なのだと、私は納得した。
そう! ひとときの安息にひたるために自分は歩く。消費カロリーだの移動距離、歩数など関係ない。イヤフォンはもちろん音楽もいらない。脳内で自動再生されるメロディ、言葉を繰り返しながら歩を進めるのが楽しいのだ。散歩のときくらい、数値化から自由でありたい。
目的がなければ歩けない、というのでは、あまりにも淋しい。大勢でなければ歩けないのは、もっともっと淋しい。
大勢で歩くのは苦痛でしかない。自分のペースで、行きたい道をゆく。それが心身の栄養になる。ひとりで、好きなように、静かな道を歩ければいい。
今日も書籍に入荷あり。オンライン・ストア〈平凡〉にも動きあり。
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