旅のこと、出会った人たちのこと、哲学のこと、政治のこと、カフェのこと、ホテルのこと、墓地のこと、建築のこと、猫のこと、食事のこと、ロシア文学のこと、ファッションのこと、あらゆることがボソボソとした口調で語られる。失意や感情の行き違いや病気や引っ越しや、もちろん恋のことも控えめだけれど。まるで、スーパー8で撮った粒子の粗いフィルムの映像のような思いがけなく生々しい官能性にハッとする。
−佐伯誠「エレン・フライスの沈黙」より
90年代初頭に生まれた雑誌『purple』の創刊者であり編集長でもあった、エレン・フライスが2001年から2005年にかけて綴った日記をまとめたもの。エレン本人の言葉よれば「内省的な時期」とのことですが、本書に散りばめられた言葉、思考の軌跡は鮮烈です。「自分の欲求か、マーケティングか」という箇所は是非、多くの方に読んでほしい。
販売価格は2640円(税込)。翻訳を担当したのは、『here and there』を手がける林央子。
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