2020/01/21

1/21 店日誌


マノ・ネグラの1994年作『CASA BABYLON(バビロンの家)』に封入されているライナーノーツ(書き手は、黒沢みこ)を読んでいて、「マノ・ネグラ」と「仕立て屋のサーカス」との近似性に気がついた。「その場に応じて柔軟、かつ臨機応変にプレイする」という主義を持っていたり、「キューバのように500人の所もあればメキシコでは7、8000人の観客を前に」するなど会場選びにこだわりがある点(逆か?)など、この二つの集団に共通することは多いと思う。

「マノ・ネグラは、いつでも変化してる。同じ所にずっと、とどまっているようなバンドじゃないんだ。ただ、その変化の方向性は当の本人の俺達でさえわからない。だから面白いんだけど」と語るのはマノ・ネグラのリーダー、マヌ・チャオ。これはまるで、仕立て屋のサーカスの中心人物、曽我大穂さんが日頃話していること、そのままじゃないか。ただ一点、付け加えるなら、仕立て屋のサーカスは今、どう変化するかに苦心している。次にどう動くか、自分たち自身で決めあぐねているように感じてしまうこともある。

「南米のように、すべてがまだゴッタ煮の大陸にいたら、俺達だってきっと変わっていくと思う。逆に、その半年後に何も変わってなかったら、俺達は何も見なかったし何も学ばなかったということになっちまう」とは、1992年の3月から7月までの約4ヶ月に渡る南米ツアー(移動はなんと大きな船!)に出る前のマヌの弁。昨年11月にフランス、スペインを巡った欧州公演から舞い戻った仕立て屋のサーカス。彼らの次なる変化がどう具現するのか、これを書いている今、とても気になっている。まさか、何も見なかったし何も学ばなかったということになっちまう、なんて事はないだろう。

仕立て屋のサーカス 東京公演は今週末の土曜日、25日からスタート。現状、完売の日もあるようだけれど、まだ席に余裕のある日もあるとのこと。予約完売の場合でも、ほぼ間違いなく当日券も出ると思うので、どうにかして会場まで足を運んでほしい。詳しくは彼らのホームページツイッターなど各種SNSでご確認を。

ちなみに『CASA BABYLON』はとても良い作品。曲間の音遊びが面白いし、カッコ良い。コラージュ的な仕掛けが多く、アルバム通して楽しめる。あっという間の54分。このバンドは、テンションの上げ下げ、火加減の調節が上手いんだな。

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