2020/01/14

タカツキ宇宙実験棟体験記②

 寝床のソファーと寝袋。くもる窓がちょうど良い。

実験棟のフェンダーローズ。

この場を守護するのはセロニアス・モンク。

1月10日の金曜日。仕立て屋のサーカス・京都公演が行われる〈京都精華大学〉までタカツキさんが車で送ってくれて、とても助かった。遠く見える山並みに夕暮れが映える。大学のまわりには店は何もない。あるのは、食堂のそばにあるコンビニだけ。これはこれで、慣れてしまえばいいのかな。学内を散策したり、学外のカフェで麦酒をのんだりするうちに、開場時間。お客さんが入ってくる。本に興味持ってくれる人が多い。説明をせずとも自主的に手に取り、ページをめくって気に入れば買ってくれる。本屋として、これはとても嬉しい。

急遽遅くなった開演を経て、休憩を挟んで終演。片付けも終えた。その頃は、頭の中は実験棟のことでいっぱいだった。ストーブはつくのか。夜間の周辺はどんな様子なのか。そもそも、あそこで寝て大丈夫なのか。そんな心配をしつつ叡山電車を乗り継ぎ帰路につく。コンビニでビールを買おうか迷ったけれど、小用のことが少々不安なので、着火用の道具だけを買って帰る。あっけなくストーブ点火。ぼわーっと暖かくなる。でも寒い。パーカーを着て、ダウンジャケットも身につける。その上に寝袋、持参したブランケットを重ねてみるとちょうど良い。何とかなりそうだ思い、ラジオ深夜便を聞いているうちに眠っていた。

無事に目が覚めたらいいな。そう念じながら目をつむったのだけど、あっさりと朝がきた。よかった。近くのコンビニに用をたしにいき、コーヒーを買う。お店の方々もいい感じ。やさしさに触れ、さらに安心。実験棟に戻り、落ち着いたところで改めて横になる。このときに聴いた「ウィークエンド・サンシャイン」が素晴らしかった。ほんのりと差す日差し。半分眠ったような状態で耳にするバラカンさんの声。身体をやさしくマッサージされているような感覚をおぼえた。

番組後半に流れた、女性が歌うトム・ウェイツの「Ol’55」。ザ・バンドのロビー・ロバートソンのソロ楽曲。これらを聴いているとき、なぜか映画『イントゥ・ザ・ワイルド』の主人公のことを思い出していた。彼は昇天するとき、どんな気持ちだったんだろうかと考えていた。

ここまで、1月11日の朝の話。

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