2025/07/10

7/10 店日誌

彼は自分が既にプロデュースし、誰かシンガーのクレジットでシングルとしてリリースしたであろう、何年か前の曲のリズム・トラックを、ここで、平気で使っているのである。そんなことに気付くのに、10年以上もかかってしまったのだ。(山名昇)

同時期にレコーディングされた他アーティストのためのリズム・トラックを使い、彼独自の音空間が展開する。モコモコとした、霞がかかったようなサウンド、怪しげな効果音、時折登場するDJやコーラス、単にダブとしては括れない、アルバム全体としてのまとまりがすばらしい。(工藤晴康)

7月10日、木曜日。久しぶりで通して聴いた、リー・ペリー『スーパー・エイプ』に封入されたライナーノーツを読んで、納得。本作はコラージュで仕立てられたリー・ペリーの独創音源集なのである。当然ダブでありレゲエなのだけど、その括りをとっぱらって身体で受け止めた方がしっくりくる。情報と知識だけじゃ受け止めきれない、いわゆる芸術/アートに近いものだと言ってもいい。上記、工藤晴康の解説文はこう書き出される──「70年代中期のリー・ペリーが、いかにすごかったかを証明する1枚」(出典は石井志津男(編)『レゲエ・ディスク・ガイド』)。

ライナーノーツや解説書籍をひもときながら音楽を聴くのは楽しいし、体験としての強度も深まる気がする。もちろん、前知識や心構えなくバーン! とぶつかってしまうのも重要なのだけど、興味をもった対象により深く迫っていくのなら、時間をかけて手がかりを集めていく以外の方法はない。パーティーやイベント、ライブに出かけまくってもいいし、レコードを集中して聴いて、自分なりの感触を掴んでいくのもいいと思う。

日中は気温が高すぎて、通りから人がほとんど消えてしまう。気温が下がる夕方くらいから、ようやく動き出しの気配を感じる。1人、2人と店にきて、1冊か1枚、何かを買って行っていき、ああ、どうにか今日も成り立ったか……と安堵する。高温の時期、店はなかなかキビシイぞ。

今日も通常営業! 新刊にちょこちょこと入荷あり。

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