小島流の美学が反映された「物言わぬ」編集術により、一切の煽りめいた言辞も宣伝もなく、テキストがそこにある意味も、それぞれの筆者が選ばれた理由も、読者は自分なりに解釈し、理解できなければできるようになるまで温めるしかない。(p108-109「家族」)
5月19日、水曜日。北沢夏音『Get back,SUB! あるリトル・マガジンの魂』を味読している。文字通り、噛みしめるようにじっくり読み進める。先月初頭に約7年ぶりの再入荷を伝えたときの自分は怠慢だった。かつての興奮、感情にまかせたきり、現在の自分が感応する箇所、理由を再点検することなく紹介してしまっていた。今朝、上記のテキストに触れて、ようやく温まりつつある自分に気がついた。
今、付箋がわりの紙片を挟み込むページと、かつての自分が付箋を貼った箇所が重ならない。繰り返し読み解けて、おのれと並走してくれる書物。音楽、映画、芝居でもいい。そういうものに出会う経験の有無で生き方は変わってくると思う。
さえない天気が続きますが、店はいつも通りに開けています。
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