2016/06/19

『ブルースと話し込む』


“おれのブルース 真夜中のおれのブルース
それからおれのブルース 明け方のことだって
ずっとおれに付いて離れない おれのブルース

おれのブルース 一晩中ずっとおれん中
そんでブルース 家に居座って
おれのブルース どこまでずっと追っかけられ”

土曜社の最新刊『ブルースと話し込む』。この本にはグッときました。
原書は1965年にロンドンのカッセル社から刊行された『カンバセーション・ウィズ・ザ・ブルース』。「話し込む」というタイトル通りに本書の中でのブルースは音楽の一ジャンルではありません。米国南部の虐げられた黒人たちのハートの中にある人格で、心の叫びでもあり、霊的な何かとして語られるブルース。ある男にとっては神経を休めるためのもの。ある人たちにとってはダンスのための起爆剤。百人百様のありさまです。

販売価格は2035円(税込)。いい事ばかりはありゃしない。そんなこと、当たり前なんですが。

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“音楽とそれを作り出す人々に関しての最高の研究だ。回想と持論から、どうやってこの音楽底流が発展し広がったかという、思わず引きずり込まれてしまう歴史が現れ出る。もしブルースについて知りたいのであれば、あるいは、もう知っていると思っているのであれば、この『ブルースと話し込む』を入手するとよい”

ーマックス・ジョーンズ『メロディ・メイカー』

“きっちり明らかにしているのは、本物の形、中身、そしてすごい詩的な力である。本書――ジャズに関するものとして今まで出されたものの中でも最高の一冊――の持つ大きな価値は、批評家や歴史家の視点を要約したものではなく、実際のニグロ・ブルース・メイカーたちのスピーチを読ませるものであるということだ。情報源は名も無きといってもよい男たちだが、その考えや感情、衝動を、愛着を込め、まっさらの状態で書きとどめている”

―ピーター・クレイトン『サンデイ・テレグラフ』

“本の中からブルースが、生命力いっぱいに雄々しく、声をかぎりに叫んでいる。歌がどこかに押しやられてしまった作為音楽ではとても叶わないような安らぎと、見聞に彩りを添えながら”
―R・F・D・グリーン『デイリー・テレグラフ』

1960年、英国人歴史家ポール・オリヴァーが米国に渡り、採録したブルースの生の声。世界から隔絶した、当時の米国南部の黒人音楽の躍動をつたえる本書は、80枚の貴重写真を添えて、5年後の65年にロンドンはカッセル社《ジャズ・ブック・クラブ》の一冊として世に出た。「読者はブルースがブルースとして歌い演奏される現場でブルースがどのようなものなのかということをたっぷりと、ブルースを体現するひとたちから語られる」。Pヴァイン・レコード創業者が半世紀ちかく座右に置く名著中の名著の、本邦初訳。
http://www.doyosha.com/


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