2026/08/21

8/21 店日誌

歩くことは、大変だけれど、元手はそんなにかからない。別に遠くまでいかなくていい。宮本常一の父親が教えたように、急いで先へ先へと進んでゆく人たちが見逃してしまうものを見つける、見て考える。/もちろん、誰もが急いでいる時代に、ゆっくりする事は難しい。/それでも、我慢してゆっくりしていれば、誰も気がつかないものが見えてくる。(福田和也)

8月21日、金曜日。連休中に図書館で借りてきた、福田和也コレクション1『本を読む、乱世を生きる』は極厚824ページ。ただでさえハイカロリーな福田氏のテキストに窒息しかけ、いくつかの章を飛ばしてたどり着いた最終章「人間の器量」にご褒美のようなことが書いてあった。器量を培うための技術として提案される5箇条の一つに「ゆっくり進む」という項があり、宮本常一を例にしながら進められる論がとてもいい。

ゆっくり進むというのは、一人で進むという事です。孤立することです。孤立した人間ほど、世間とのつきあい方を考えなければならない。冷静に自分を認識し、世間との距離を精確に見極めなければならない。

世間とおなじ速度で進まず、自分なりのペースで道を選び、歩んでいく。すごくシンプルなことなのだけど、実践する人は多くない。例えば、戦争反対! って叫ぶ前によく考える、自分なりの意見、言葉が出てくるまで時間をかけてると、孤立しそうな気がする。「そんな場合じゃないだろ!」と怒られそう(補足:戦争反対に反対してるわけじゃないですし、誰かをおちょくる意図もありません)。

あと歩きがいいのは、考えごとしながら歩ける。これもアイディア練ったりするのにはいいです。オレ今、手帳持って歩いてますから。(…)歩きだと面白そうな店とかあったらすぐ入れますしね。(杉作J太郎)

なんとなく買ってみた、杉作J太郎『杉作J太郎が考えたこと』がメチャ面白くて、びっくり。杉作氏の考え、実践、結果についてが率直に書かれていて好印象。で、この本にも「歩きゃイイじゃないか!」ってところがあって、とてもいいのだ。「やっぱりね、歩いている人に太ってる人はいないですよ」って着想にはじまって……

あと、異常によく眠れるようになりましたね。目覚まし時計をかけても全然起きないぐらい。だから、どこへ行くのもひたすら歩くというのは……ものすごく反社会的な行為ではあります。

ここで、おお! 鋭いっと感じたのは先の「孤立」と「反社会的」ってのが響き合ってるから。本を読み、歩くってことについて考察してみたら、世情の本質というか、いろんな場面で孤立を避けたいって気持ちがつよく働いてるんだなーっと感じられた。雑読ってやっぱり大事だな。

今日も長くなりました。店はいつも通りに開けてます。

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