(平日の金曜日。古本屋の店主は営業中に大あくび)
ーどうしたの? ずいぶん眠そうじゃん。
いや、ここんとこ店がヒマでさ。
ーまあ、そういうときもあるよね。
うん、慣れてはいるつもりなんだけどさ。まあ、どうにも。
ーなんかよその本屋はTシャツつくってたりするみたいだよ。
そうね、ああいうのが受けてるみたいだね。上手くやるよなあ。
ーキミもやってみりゃいいじゃない。
うーーーーん。まあねえ。でも、俺にはあんなふうにはできないなあ。
ーじゃ、しょうがない。あくびしながらやるしかない。
ま、そうなるね。
ーそれにしても、段ボールの量がすごいね。買取り?
そう。最近、本の買取りが多くてさ。ありがたいんだけれど。
ー人が来なくちゃ買われないもんね。
そうそう! ね。まったくどうしたものか。
ーインスタグラムとか使ってうまく紹介したらいい。
ね、そう思うんだけど、けっこう難しいのよ。
ーと、いうと?
うーん、按配というか。写真と文章のバランスがさ、うまく取れないんだ。
ーできれば上手く見せたいもんね。
ね。かと言って上手い人の真似してもつまらないし。
ーそもそも、それだけの知識と技術もないし。
そうなんだよ。勢いだけだと、うるさくなるしさ。困るよ。
ーいいね! がほしい。フォロワーを増やしたい! って思う?
うん。思ってる。
ーそうか(笑)。意外にそこは素直だな。
まあ、そうでしょ。一応ゲームに参加してるわけだし。
ーじゃあ、Tシャツつくっちゃえばいい。トートでも、本でもさ。
うーーーん。だからさ、それはまた別の話でしょ。やりたかったらやってるよ。
ーじゃまあ、しばらくはあくびの日々か。
まあ、そうなるかあ……。しかし、いい天気だねえ。
ーあ、寿司屋さんは配達で忙しそうだ。
アイツ、友達でよく来るんだよ。暇つぶしに。
(信号がかわって、ブーンとバイクが走りだす)
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