2013/12/02

“水牛地下茎”より


“都市貧民は使われていない空間を占拠する。隙間に入り込んで自由にうごきまわり、もとめて関係をむすび、またこわしていく。立ち止まらないで変化しつづけるために、ほころびを残しておく。目立たない一箇所だけ模様を違えたり、端は閉じないで編み残す、それが「魂の出入口」。完成、完結、それは袋小路の別名。壁の手前で向きを変えて立ち去る。角を曲がれば別の道。デザインされたものはしごとの痕跡だが、変更可能なものとして留めておく。使うためのデザイン、関係をもとめて出ていくための道具は、単純で最小限のもの、手描きの時代はペン一本、パソコンになったら、限定されたソフトでなんでもやってしまう。コウガグロテスク、グロテスクは地下洞窟グロットの壁画、石に刻まれた文字、筆の細かい装飾のない縦横の太い線だけのサンセリフ字体、ありえないような字。”
-高橋悠治(“水牛地下茎” / 『アイデア』345号)

「平野甲賀の仕事展 1964-2013」の図録でみつけた、最高に格好良い散文詩。
ボクも創造的な都市貧民であろうと思う。

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