長谷川健一さんと出会ったのは東京の小さなレコード屋。
たまたま店の人が好きで流していたのかもしれない。
僕もたまたま時間があまってなんとなくそのレコード屋に行っただけ。
でもそこで流れていた音は僕の心を一瞬で捕らえた。
いろんな偶然が重なって出会った音。
それに共感する仲間が集まって「夜明け前」が決まった。
-竹広喜郎 (WALKING IN THE RHYTHM/つくば音の森)
***
震える声、沁みる言葉
長谷川健一はうたを探している。 丁寧に積み重ねられた心像の断片 そこから立ちあがる情景は、 私たちの安らぐ世界ではない。 だからこそ、 ひとりであること、 私たちはひとりであるということを、 しっかりと抱きしめる必要がある。 ひとことで言えば 彼のうたは明日の幸福論なんだと思う。
-大坪茂人 (千年一日珈琲焙煎所)
***
長谷川健一は詩人だ。
とにかく言葉と声なのだ。
詩と書いて「うた」と読む。選ばれた言葉がうたっている。
言葉に声が寄添い、音楽になる。それに伴うあらゆる演奏は伴奏でしかない。
そう、これは一つの実験なのだ。言葉と音の新しい組み合わせだ。
***
選び抜かれた言葉、かすれる歌声。即興性あふれるアレンジ・・・
はっきり言ってしまえば、彼の音楽は心地よくないし、聴きやすい音楽でもない。
だけれど、五感を使って、その「うた」に身を任せたくなる。詰まるところ、一人で聴きたくなるのだ。
車の中で、真っ暗な部屋で、聴きたくなる。
感情的でもなく淡々と、共感できる歌詞でもなく。
どこか抽象的な風景を切り取る。
彼のうたに耳を傾けるあいだ、ぼくらはいつもと違う世界を生きる。
暗い夜。枯葉に北風。乾いた夏の日。雨上がりの夕方。
どこにでもあって、どこにもない。知らぬ間に通り過ぎた時間に身を委ねる。
-植田浩平 (PEOPLE)
0 件のコメント:
コメントを投稿