2024/09/14

9/14 店日誌

9月14日、土曜日。アーサー・ライマンが好きだ。家で『Call of the Midnight Sun』のレコードを聴き、店にいる今はサブスクリプションで同じアルバムを流している。この人のことあんまり知らないなーっと気づいて調べてみると「アーサー・ハント・ライマンはハワイのジャズ・ヴィブラフォンおよびマリンバ奏者でした」(Wikipedia)とある。なるほど、ハワイの人なのか。だから暑い日に聴くと気持ちいいのかもしれない。ダラーっとして彼のつくった音楽に身を任せていると、とても楽だ。

今日から世間は三連休。まったく暑くてどうしようもないけれど、みんなどこかに出かけるのだろうか。人気のラーメン屋に並ぶ人たちは、どうやって猛烈な湿度をしのぐのだろうか。ちっこい扇風機みたいのじゃ、涼しさは得られないだろう。店が行列用に空調服でも配ったりもするのかな。ご苦労さまと言うほかない。

坪内祐三の日記を読み終え、次は西村賢太を読んでいくつもりなのだが、すぐには気分がかえられない。先週、図書館で借りてきた小林信彦『日本橋で生まれて』読み出すと、これがまあ! スルスルと読めて、コクもある。自分にとって、理想的な書物といっていい。

今日明日、明後日は13時開店。明日は18時までの短縮営業です。

2024/09/13

9/13 店日誌

9月13日、金曜日。今週にはいって、店が静かだ。その分、というわけじゃないとは思うのだが、オンライン・ストア〈平凡〉に動きがある。顔を知らないままの常連さんに気にかけてもらって、本を買われる。購入にいたらずとも、ちょこちょこと平凡を覗きに来る人が何人かいると思うだけで、少し気持ちが軽くなる。つくばにある実店舗では出会えない人がいて、動かない本もある。便利さだけでなく、確かに助けられている。みなさん、いつもありがとうございます。

いま読んでいる『昼夜日記』で坪内祐三の日記は7冊目。明らかに怒りっぽくなっていて、記憶を飛ばすことが多くなっている。亡くなった後で読んでもハラハラするのに、これをリアルタイムで追いかけていたら……。好き嫌いがここまでハッキリしている人とは今、なかなか出会えない。だから、自分は本を読むのか。どうなのか。

暇があるとインターネット(主にSNS)を見てしまって、重い気分になってしまう。そんな声をたまに耳にする。そんなときこそ、読書じゃないか。現実とは異なる時間に逃げこむのも大事だ。ほっとけば、キツい話ばかりが聞こえてくるわけだし。技術というと大袈裟だけど習慣さえ身につけば、本は読める。いい加減でもいいのだから。

9月25日(水)発売! Wool&The Pants『Not Fun in the Summertime』を当店でも販売します。待ちに待ったセカンド・アルバムは自主レーベルからのリリースで全9曲。いつかまた、つくばでも彼らのライブを開催したいなー。

今日は15時、明日明後日と明々後日は13時開店。ああ、またも三連休なのか。

2024/09/12

9/12 店日誌

ウガンダのタイコの合奏。エンテンガと呼ばれるタイコのサイズの違うもの15個のアンサンブルなっており、2オクターヴにわたるペンタトニック・スケールに正確に調律されている。タイコはバチで叩き、皮だけでなく胴も打つ。

9月12日、木曜日。朝なんとなく針を落としたのは、中村とうよう・監修『アフリカの音楽のルーツを訪ねて〈2〉アフリカ伝統音楽の楽器と合唱』。B面8曲目の“キュマ”がはじまると外の鳥の鳴き声が激しくなる。曲が変わって静かになったような気がしたので、繰り返して聴いてみると、特別なにも起きない。レコードの音に鳥が反応したのかも、という見立てはまちがいだったが、最初に鳴らしたときの状況はなかなかのものだった。

鳥たちにとってその囀りが完全無欠であることと等価な、人類にとって完全無欠な合唱の姿をここに見る。(山城祥二)

ライナーノーツをひっくり返すと、芸能山城組の組頭・山城祥二の檄文も載っている。「人類に似たもう人類でない生きものたちが、人類の歌に似たそうでない音列を、策謀の限りを尽くして血まなこでつむぎ競っているこの地獄に、あえて長居は無用というものだ」と締められるテキストの意味をつかめた気がしない。

入荷後すぐに完売したCHIYORI・YAMAAN・MARIAPEPINOS『OMEDETOU PARABIÉN EP』は今日、再入荷する予定。今週末15日(日)開催のリリースパーティーはきっと、つくば周辺ではこれまでになかった趣の催しになる。どんな状況が生まれるのかは足を運ばなければ、わからない。

今日も書籍、音源に入荷あり。お暇であれば、ご来店を。

2024/09/11

9/11 店日誌

9月11日、水曜日。目が覚めて5時5分。庭の草刈りはせず、本を読む。途中ですこしうたた寝をして気がつくと5時50分過ぎ。ラジオの気象情報を聞きながら、雑務を済ましてラジオ体操。暑い日がつづくけど身体の調子は悪くない。なんとなく目に入って針を落としたレコードは、KELLY HARRELL & The Virginia String Band『ST』(Self TitleってよりNo Titleっぽい)。今年4月に開催されていた展示の会場〈Coffee Ontario〉で矢吹くんから買ったもので、中身(1920年代のカントリー・ミュージック)もいいが、外見もいい。簡素だけれど工夫があって、地味ではない。

いま、読んでいるのは坪内祐三『続 酒中日記』。最新刊『日記から 50人、50のその時』を読み返したのをきっかけに同著者の日記シリーズの再読はじめたのは今月頭。6冊目まできて2011年3月11日(金)の記述にぶつかる。1998年からはじまる日記を追いかけるのは、なかなか大変だけれど、得るものも大きい。本の中では赤瀬川原平、松山俊太郎、小沢信男、中川六平なんて方々が存命で、その振舞いに触れられるのも貴重だ。

昨日の雑記に書いたM野さんからの買取を含め、古本の入荷多数。文庫と雑誌が中心だけれど、比較的安価で状態のいいものが多い。どんどん店に並べていくので、お暇があればご来店を。

今日明日、明後日は15時開店。オンライン・ストア〈平凡〉にもご注目を。

2024/09/10

9/10 雑記

店の前に赤い車が停まる。あ、これはと思うと同時にM野さんが買い取りの本を持って顔を出す。買い物かごいっぱいの雑誌と漫画、文庫本がたんまり入った紙袋がふたつ。食関連のポパイ、ブルータスをはじめとして、ジャズ、私小説や日記を特集した文芸誌にまざってあいみょん特集のギンザ、平野太呂さんが編集する『off the hook』などもある。うーん、シブい! と喜びながら査定をして、金額を伝えるとまよわず快諾。すぐに支払う。

趣味嗜好ってのは年齢に左右されるけど、瑞々しい感性は意識すれば保てるのかも。健全なミーハー感覚も大事だと感じる。大事なのは、渋みと軽みのバランスなのかな。M野さん、いつもありがとうございます。

(本といっしょに売ってくれたのは2枚のCD。ア・トライブ・コールド・クエストとナイトメアズ・オン・ワックス。ジャズとダブが好きだと話すM野さんとは波長が合うのも当然か……と納得させられた。)

2024/09/09

9/9 店日誌

9月9日、月曜日。お湯をたらして21秒。いーち、にー、さーんとゆっくり数える。にじゅういちで一拍置いて、お湯を注いでいく。豊田道倫「永遠の21秒」(都築響一・編『Neverland Diner』所収)を読んでから、コーヒーを淹れるときに意識して豆を蒸らすようになった。かつて学芸大学駅ちかくにあった喫茶店のマスターがこだわった秒数で、紙フィルターではなくネルを使うのが望ましいと話していたらしい。その店、もといマスターを描写した短文の味わいは深煎りコーヒーのようだった。豊田道倫さんの文章はとてもいい。

夜になって集った若者たち。水戸、市原、つくばの数人と軽く酒を飲んで、天久保を歩いた。牛久出身のやつはやたらに声がでかい。突然歌い出したり、近距離で電話をかけてきたり、とにかくエネルギーが有り余っている。ものすごい吸引力の台風野郎なのである。

朝、空気が乾いていると感じて店まで歩いてみる。先月までの灼熱状態ではないといえ、30分も歩くと汗がボタボタ落ちてくる。重たい荷物を持ってどうにか郵便局にたどり着き、発送をたのむと想定外の送料になる。ガーンと落ち込みはしないが、軽率なミスを目の当たりにして、言葉を失う。送料設定はむずかしい。

今日も通常営業。在庫確認、通信販売などのお問い合わせはお気軽に。

2024/09/08

9/8 店日誌

取り上げたものがどう論評されてるとかね、どう批判されてる、どう誉められてるとか、どんなふうに評価されてるとか、そういうことを読もうとすると、当てが外れるかもしれない。何をどう楽しんだか。それだけってのは変だけど、それがいちばん大きいですね。(片岡義男)

9月8日、日曜日。坪内祐三『書中日記』を読んでいてアッと思う。高平哲郎のラジオ番組をもとにして編まれた『植草さんについて知っていることを話そう』を読んだ気でいたけれど、巻末の座談会以外は未読だったかも。店にあったのは売ってしまった……が、あそこにはあるはず。ピンときて車を走らせると、やっぱりある! 新治にある小さな図書館(正式名は〈土浦市立図書館 新治地区分館〉)は静かで、きれいな時間が流れていた。本の量もちょうどいい。いい本が、普通にある感じで好ましい。

残されたものを見ていくと、彼の楽しんだ手作業が見えてきて、なかなか面白いですよ。まずとにかく、買って家へ持って帰って、部屋で自分の机の前に座って、そこでやおらひとつずつ手に取って、楽しむわけですよ。

いざ読み出すと、これが面白い。植草甚一という稀代の趣味人をメディアにして、関係者が語っていく。あれには困った、味覚はどうなのか、おしゃれだった、なんて話が主なのだけど、上に引いた片岡義男「植草さんの集大成を作ろうよ」がずば抜けて本質的。植草さんの実像を、敬意と共にまっすぐに表現する(彼は批評家ではない、というあたりが鋭い)。

開店前に天久保一丁目〈gallery Y〉で開催中のsasakure.個展「この夜の隅で」をのぞいてきた。ダイレクトメールやウェブでの画像より実物がよかった(日記のようなメモ帳も見応えあり)。会期は今日19時までとのこと。

今日明日は13時開店。オンライン・ストア〈平凡〉もどうぞよろしく。