2024/11/21

11/21 店日誌

11月21日、木曜日。ここ数日かかりっきりだった『大友良英のJAMJAM日記』を読み終えて、手に取ったのは田村隆一『退屈無想庵』。「退屈隠居をきめこんで猫と一緒に日がなゴロゴロ/そんなボクが日記を書いた! 初公開、詩人のボクの鎌倉日記」と帯にある通り、平成2年12月5日(水)にはじまる日記帖。飄々としながらするどい知性も漂わせる。いい加減なようでいて、言葉に対する観察眼は真似ようがないほどに独特で正確だ。

大晦日、大晦日とあんまり云って貰いたくないのである。こう云う事は、なるべく、そっとして置いて、無闇に騒ぎ立てない方がよろしい。恐ろしく切迫つまった事のように、世人が考えたがるのは、迷信である。或いは為にする輩の手なのである。小生は滅多にその手に乗らないぞと考えている。(内田百閒)

入院中の田村氏がベッドでひもとくのは内田百閒。百閒先生の金銭(借金)論を語りつつ、明治5年から6年にかけての明治政府の強引な太陽暦の採用を紹介する。そのなかにあったのが上記の一節、年末年始のかけ声が迫ってくるのを恐れる自分をスッとさせるものだった。筋のとおった人の言説に触れると、妙に嬉しい。多少無茶であるくらいがちょうどいい。

筑波大学の学生を中心に結成された「つくば現代短歌会」の機関誌『つくば集』第四号に要注目。誌面一新大躍進号! といって大袈裟でない内容と分量。初回分はすぐに売り切れ、週明けに補充済み。オンライン・ストア〈平凡〉でも購入可能。

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