2013/07/16

孤独な散歩者


セロニアス・モンクの偉大さはひとつには孤立した人間だということにある。だからパーカーやサッチモのように、おおくの弟子を生んだため、ジャズ・クラシックの人物になるかどうかは、いまのところ判断がつかない。彼自身が未完成であることを知りぬいているから、たえず心のなかで動揺している人間だということにもなってくる。
モンクの過去を振り返ってみると、いろいろな間違いをやってきている。だが、それだけ大胆になることができたという意味で、この点が非常に高価なものとして、ぼくの眼にうつってくる。彼は孤独な散歩者であり、行きずりの人たちが振り向くようなことはない。彼自身が、友人などいないと考えているのかもしれない。
-植草甚一 (『モダン・ジャズの発展—バップから前衛へ』)

本間健彦氏による『60年代新宿アナザーストーリー』(名著!)より孫引き。
ここで語られる「孤独な散歩者」という肖像。ボクはものすごくそれに惹きつけられている。
なので、『ソロ・モンク』のレコードをひっぱりだす。

そのジャケ裏にはモンクの履歴が記してある(日本盤だけ)

1945〜 これより約10年間 半失業状態 
1954     クリスマス・イブにマイルスと喧嘩、以後共演していない

ああ、豊かだなあ。

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