「なにかい、てえとオレ達のアルバム嫌いなのかお前。オーバー・プロデュースどころか、コステロはオレ達の音を録音しただけなんだ。たいした仕事はしなかったさ」と江戸弁みたいに話すのは、ジェリー・ダマーズ。
1980年6月のザ・スペシャルズの初来日時に行われた取材、インタビューをルポ形式で書き起こした「ルポ、ザ・スペシャルズ」。本稿は、山名さんご本人が「ほとんど失敗だったインタヴューをボツにさせないで、それこそスペシャルズらしさを伝えることになるじゃないか」(*)と意見を通し、『ミュージック・マガジン』1980年8月号に掲載されたもの。『寝ぼけ眼のアルファルファ』の中でも人気のある記事じゃないかと思う。
“奴らから見たら、スペシャルズなんてファッキン・グループさ。イギリスじゃオレ達の客はいつもステージに上がってくるし、それが理由で演奏やめるなんて考えたこともないね。”-ジェリー・ダマーズ
なるほど、ここで活写されるジェリー・ダマーズ、テリー・ホールのインタビューの受け答え、さりげない仕草(テリー・ホールの鼻歌がピストルズだったり)なんかに触れてみると、見慣れたはずのスペシャルズのジャケットの見え方が変わってくる。これぞルードボーイ・フェイス。白と黒の2トーンで構成された7人組のバンドの音がより生々しく伝わってくる。
同ルポ内で自らの来し方、音楽家としての遍歴を穏やかに語るリコ・ロドリゲスの存在も印象深い。リコとの心暖まる交流が記録されている意味でも、貴重なテキスト。
(*)『ブルー・ビート・バップ!』所収「リコ・ロドリゲス、インタヴュー」より
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