2026/05/01

5/1 店日誌

5月1日、金曜日。本降り。家にいて雨音を聞いているのも悪くないなあ、とは思うのだが、店を開けなきゃはじまらない。こんな日だって本を売りにくる人がいたり、買いにくる人もいたりする。今日じゃないと、どうしても都合のつかないことだってあるだろうし、この付近まで出かける用事があるかもしれない。希望をこめた観測を重ねていけばキリがないのだけど、みんな、どこにも出かけない可能性もある。だーれもこないままポツネンとした時間を過ごすことになるかもしれないけど、開けるのだ。

てなわけで、今日も通常営業。オンライン・ストア〈平凡〉もどうぞよろしく。

2026/04/30

4/30 店日誌


4月30日、木曜日。今朝のレコードは『20th.Century DEB-WISE』。ラヴァーズ・ロックのリリースで知られるロンドン拠点のレーベル「DEB」によるダブ・オムニバスはデニス・ブラウンによるプロデュース、キング・タビーズ所属プリンス・ジャミーのミックス。バッキングには、スライ&ロビー、チナ・スミス、ウィンストン・ライトなどが参加している。曇天の朝にはUKのダブがぴったり……ジャケット、細かなフォントまで含めて、すべてがビシッと定まっている(“Dancing in the Street”、“Robbery in the City”とかって曲名も最高)。

アフリカ・エクスプレスの『In C Mali』も聴いていて楽しいです。カナダの作曲家、ウォルター・ブードローによるビッグ・バンド版の“In C”も気に入っています。チェロ奏者、マヤ・バイザーの“In C”はとても抒情的です。(テリー・ライリー)

テリー・ライリーのインタビューに誘われて、“In C Mail”を何度か聴いたのだけど、狭い店より空間的に余裕のある自室で流すと、響きが変わった。思わず踊り出したくなるようでワクワクさせられた。ライリーのつくった“In C”を誰か、どうやって演奏するかで得られるイメージは大きく変わる。要するクラシックみたいなものなんだなあ。うーん、面白いなァ。

基本的にいい演奏者はいいリスナーなんです。だから演奏するより一番大事なことは、ちゃんと音が聞き分けれるかどうか。聞くことが重要です。新しい音にずっと触れ続けて自分が音の感覚とともに生きてるかどうかということが大切です。(能勢伊勢雄)

この数日で、なんどこの発言を抜き出したか! 他にもグッときたり、ガツンと打たれる言葉が数多あるのだけど、音楽を聴きつつ本を読み、他者と共生していくには「聞くことが重要」って声を脳内に響かせておかなきゃいけないと思う。ビビッときたなら『能勢伊勢雄入門』をぜひ、読んでほしい。

大型連休、はじまってるのかな。いまいち実感がないまま、開けてます。

2026/04/29

4/29 店日誌


終わりもはじまりもなく、特別なものは何もない、だから聴こえてくる音がある。真っ白い絵画から見えてくる風景があるように。/すなわち、音楽をジャンル、年代、国別などで分けるのではなく、そうしたものを超越した点と点を繋ぎながら静かに広がる海として。(野田努)

4月29日、水曜日。散歩がてら、買い物ついでにのぞくリユース店で『In C』(Shanghai Film Orchestra/Wang Youngji,Condauctor)のCDを見つけたのは数年前。普段なら目をやらないクラシックのコーナーをしつこく追っていたら、テリー・ライリーの名前を見つけた。おお、この人の音楽は聴いたことないな〜って感じで買って、店で再生するも、まったく意味がわからない。どんどん表情が変わって、変な楽器も出てくる上にやたらに長いしで、そのまま棚にしまったまま。それが先週? 片付け中にひょいと出てきて、聴いてみると、以前とは異なる感触があった。

先々週だったかな。ちょい遠方の別店で『ele-king』2024年冬号を見つけると、特集は「テリー・ライリーの“In C”、そしてミニマリズムの冒険」。表紙もいい。ぱらっとめくると興味深い。とりあえず買っておいたのが大正解。今朝、なんとなく読みはじめて、冒頭のインタビューにぐぐーっと引き込まれる。

この曲にとっての理想的な演奏のようなものはありません。様々な人びとが集まってこの曲を一緒に演奏し、色々なアイディアもそこに集まります。もしも、何らかの理想を目指して始めてしまったら、そういう考え自体が“In C”に反する気がします。(テリー・ライリー)

何かが分かったわけじゃないし、“In C”の聴こえ方が急に変わるわけでもないものの、脳みそがマッサージされたような感覚があり、心地よい。セッティングが整ったのだろうか。今なら、テリー・ライリーの音楽が自然に耳に入ってきそうな気がする。

今週もよろしくお願いします。新着入荷がたくさんあります。

2026/04/28

4/28 雑記

午前中、荒川沖での用事を済ませたあとで〈きらく〉に入店すると、大リーグ中継が静かに流れてる。なんともいい具合。小生ビールでひと息ついて、いざネギミソラーメンと真っ向勝負。……いやあ、正直言ってあれは死闘だった。どうにか食い切って、車に乗るとエネルギーゼロ。そのまま14時過ぎまで動けなかった。

オレからいわせると、「ファスト動画」だ、「タイパ」だっていうのはズルしている感覚なんだ。本来なら、避けてとおることができないものごとや出来事を効率よくスルーして、少しでも平坦な道を進もうとしているようにも見える。/でもさ、無駄に見えるようなことにも、意外なお宝が埋まっていることはよくあるし、たとえそれが失敗だとしても、それによって引き出しも増えるし、深みも増す。(玉袋筋太郎)

いやあ、そうですよねえ。オレも全く同じことを思ってる。玉袋筋太郎『美しく枯れる。』はここ最近で、いちばん強く同意した本である。この人、なんか好きなんだよなァ。

2026/04/27

4/27 店日誌


4月27日、月曜日。いきなり連休モードに入ったのか、お客さんがわっと同時に入ってくる。3人、2人、また2人……となったところで声をかける。「スミマセン! 今いっぱいなので、またあとで!」飲み屋のオヤジみたいなノリである。そんなやり取りの中でも、よく棚をみて、本を選んでくれる人もいて救われる。どれだけとっ散らかってても、自力で欲しいものを見つける人がいてくれれば、店を開けてる意味はある(マジで、本当に、ありがたいです)。

レコードをみて「〜くん! ヤベー」みたいな話をしながら、あっちこっちをガサガサ、触ったものは元に戻さず、仲間とガハガハ笑い合ってたりする人がくるのは、ただただ辛い。ひたすら耐えるしかないのだが、そういうときに限って思いは伝わらず、数十分。ゔぁぁぁ……と声が出そうになる。

どうして、みんな同じタイミングで入ってくるのか。先に人が入っているのが安心なのか。その動きを否定したいわけじゃなく、とにかく不思議だ。せまい店内に、どんどこ人が入ってくると、何もできない。暇な時間はいくらでもあるのに、営業時間中の一点にぎゅーっと人が集中するのは、なぜなのだろう。

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開店当初からのお客さんが本を2箱、売りにくる。アイヌ、マタギ、サンカ、香具師、宝島、スペクテイター、スチュアート・ブランド、玉袋筋太郎。しっかり値をつけて買い取る。いろいろ話を聞かせてもらって、近道はせず、まっとうに迷ってきた人なんだなあと納得した。

朝から雨、ざんざん降り。いつも通りに開けてます。

2026/04/26

4/26 店日誌


4月26日、日曜日。オンライン・ストア〈平凡〉で売れた品々をピックアップ、それぞれにフライヤーなどを添えた上で持ち帰る。干してあった布団を取り込み、ローランド・アルフォンソのレコードを片面聴いたのち、ふたたび店に向かっているとキャップにポタッと何かが落ちる。もしかして……と確認すると、ああやっぱり! 鳥のフンがついていた。これで運がついたぞーっと思えるわけでもなく、店についてサッサと洗って干している。気まぐれにキャップをかぶって出かけてよかった。

もう世間は連休なのかな。きのうは久しぶりに会う人、はじめての人、いろんなお客さんが来てくれて終始賑やか。すごく嬉しいし、喜びが大きいのだけど、3人以上の来店が重なると、どうもソワソワしてしまう。外で待ってもらう仕組みをうまく作れればいいんだけどなァ。

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届きたてのGRINGOOSE『Prillmal Spring』、再々入荷のKEN KEN『TUTTETTUTETTE MIX』vol.2がめちゃくちゃ気持ちいい! 新緑の季節、陽の落ちる前にぴったりのミックス作品。どちらもおすすめです。

では、今日も開店! お知らせ通り、17時までの短縮営業です。

2026/04/25

4/25 店日誌

表現とは作品に限らず、対話や教育、制度設計、日常のふるまいを含む社会的プロセスそのものである。PEPPER LANDは「店」というかたちでこの発想を「実践」し、音楽、美術、演劇、映画、批評、思想といった異なる領域を交差させながら、表現を通じて社会に作用しようとしてきた。(能勢伊勢雄)

4月25日、土曜日。(昨日の話)客足の少ない昼下がり、『能勢伊勢雄入門』を唸りつつ読み終え、うーむ、自分にできることはなんだろうか……。やや放心しながら考えているときに〈gallery Y〉のホソタさんがきて、12月に企画している写真展の進捗を伝えてくれる。店としての全面協力を約束し、お互いの考えを共有すべく言葉を重ねる。おなじ天久保地区に書店/ギャラリーを構える関係性を前向きに捉えて、時間がかかっても、いい環境をつくるべく協働していきたい。基本的な役割は下地作りなのだけど、ときに前に出て、明確な意思表示が必要になるときもあるだろう。

少し時間を置いて、顔を出したのは絵描きのナツナさん。ちょうど昨日、〈Cox〉の2人からライブの話を聞きましたよー! そうそう、そうなのよー! って感じで話がはじまり、現状の手応え、足りていないものなどの意見を交わす。互いに性質は異なれど、会話のなかで共通部分を見つけ出せれば、それを頼りにやり取りが進められる。まずは6月。NRQ祭りに向けて準備を進めていく。

夕方にそろーっと入ってきたのは学ラン姿の男性。高校生? なんて感じで話しはじめて、音楽のことを中心にいろんなことを聞かせてもらう。わかるわーってことは多くないけど、ひとまず聞く。好きにやればいいんだよー! と言うのは抑えねば……そう思っていても、けっきょく口をつくのはその言葉。反省。でも、ああいう若者がいるのが嬉しいのだ。

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今朝のレコードは、『太陽への賛歌───中南米、オセアニアの民族音楽 バハマ音楽の真髄 第1集』。先日のトークイベントにきてくれた浦和のコーヒー豆店〈Michelle〉の小沼さんに教えてもらったレコード。短時間のやり取りで、矢吹純、ジョセフ・スペンス、オクノ修と話題が移っていったのが嬉しかった。もらった豆はビシッと定まった味がした。

今日は通常営業! 明日26日(日)は11時〜17時の短縮営業です。