2026/05/10

5/10 店日誌


5月10日、日曜日。埼玉、千葉、伊勢、あとはどこだっけ……そんなに沢山ではないんだけど、わりに遠方から足を運んでくれる人が増えている。お会計時に「お近くですか?」と聞いてみると「いや、まあ×××です」「⚪︎⚪︎⚪︎からきました! 遠かった〜!」とか色んなふうに応えてくれる。驚きつつ、お礼を伝えて、求めがあればお薦めの場所を教えたりもするのだけど、当方には選択肢なし。食事は大成軒。古着ならメイ。レコードならばグッドニアーレコーズ。ぜんぶ天久保地区である。

とある雑誌からの依頼は、旅にぴったりの本。当店ならば茨城県、もしくはつくば市で。なんなら行くべき場所も挙げてほしい。って、そんなの無理でしょ! 行くべき場所は各自が勝手に見つけるべし。迷って、落胆してもなお訪れたい街があるならば粘って、歩いて、ピンときた店に入ってみたらいい。

とか言いつつ、なんとか1冊紹介したのだけれど採用されるか不安である。掲載無しならばそれでよし。この10年くらいで広がってる「個人的街案内」が苦手だし、「行くべき」「回るべき」だのってのは正直わずらわしい(誰かを否定、批判したいわけじゃなく、自分はこう思ってるってだけの話です)。

今日も通常営業! 在庫確認、予約、通販などのお問い合わせはお気軽に。

2026/05/09

5/9 店日誌


「ビッグウェンズデイ」の文庫本がある。デニス・アーバーグとジョン・ミリアスによる映画が有名だが、自分は文章になった「ビッグウェンズデイ」を愛読している。大好きで何度も読んだ冒頭のシーン。酔いどれマット・ジョンソンが海辺でまるで浮浪者のように倒れている。金髪に古びたハワイアンシャツ、あちこちが破れたリーバイスに裸足だった。(松浦弥太郎)

5月9日、土曜日。松浦弥太郎『くちぶえカタログ』のブルース・インターアクションズ版が刊行されたのは2005年2月。横長版系の随筆集で衣食住に加えて職、本、旅がテーマになっている。扉ページにサインが入っていて、カバーはボロボロ。若い自分なりに読み込んだのは間違いない。このなかの「本」で紹介される「ビッグウェンズデイ」を読みたいと思ったまま、約21年。安く見つけたいなーと、あちこちの文庫棚で目を皿にしても見つからず、探していたことすら忘れかけていた数日前、ネット書店で見つけて注文した。

読みだすとすぐマット・ジョンソンのシーンになるのだけど、松浦さんのテキストを基に、自分なりにイメージしていたのとはちょっと異なるものだった。マットは酔いどれ爺かと思っていたけど、まだまだ若くて無茶のきくサーファー。両脇にはジャックとリロイ───この本は彼らを中心にした青春小説で、とても面白い。「うまくいってないんだな。そうだろう。子供から大人になるってのは、やってみるとけっこうたいへんだろう」って台詞が、腹に応える。

端端で、ジャック・ケルアック『路上』を思い出して、久しぶりに読みたくなる。青山南訳の『オン・ザ・ロード』じゃなくて福田実が訳した、河出文庫版『路上』を手に取りたい。あの本をはじめて読んだのも20年前だった。

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きのう、顔をだしてくれたのは草加に住んでるダイキくん、絵描きのナツナさん。ぱらぱらとひやかし客。「ここは何屋さんですかー?」と聞かれたら、そのままシャッターを閉めたくなる。高望みしてるわけじゃないのだけれど……。

今日も通常営業! オンライン・ストア〈平凡〉にもご注目を。

2026/05/08

5/8 店日誌


ボブ・ディランは革新者になったが、高田渡は取捨選択のセンスのあるイミテイターもしくはインタープリターである。だがぼくはディランよりも高田渡を愛している。(*1)

高田渡という人は昔から稀代のスタイリストだったのだ。その音楽も、仕事を選ぶのも、酔って人にからむのも、もしかすると何もかも計算しつくした果てのように見えてくる。/ギターはギルド。暮らすのは吉祥寺。飲むのは「いせや」。服の着こなしも、映画を観ていればかなりの洒落者だったことが判る。(*2)

5月8日、金曜日。小西康陽『ぼくは散歩と雑学が好きだった。 小西康陽のコラム 1993−2008』を読んでいる。序盤で好きなのはミッシェル・ガン・エレファント、チャック・レイニー、モータウンから山名昇に繋げるところ。これぞ、テキストでのDJ! なんともグルーヴィ! かつ、モッドなのが最高に洒落てる。「モーツァルトは天才だが、『モオツァルト』を書いた小林秀雄はおそらくモッド。ここは短く笑いを取るところだ」(*1)なんて書ける人、他にいないでしょ。

高田渡に触れた部分を繋いでみれば、酔いどれの好々爺みたいなイメージとは異なる姿がくっきり浮かび上がる。「とりわけ詩に対して、言葉に対しては、まさしく目利きだった」(*2)と始まる節を継ぎ足せば、よりはっきりと輪郭が立つと思う。

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何曜日だろうが休みの日の過ごし方は大体似ていて、昼前までに用事を済ませて、夕方にはビールを飲みだし、だらだらレコードを聴いている。きのうの昼食は牛久の〈大勝軒〉。ご夫婦の働きぶりが気持ちよく、普通の中華が、普通の量で出てくるから安心できる。数年ぶりに行ったけど、なにも変わっていなかった。

ロゴ・ステッカーのプレゼント、連休中のサービスと書きましたが、好評なので続けます。オンライン・ストア〈平凡〉との共同企画。都合のいい方法でお買い物してくれたら嬉しいです。

今日もちょっと蒸していて、身体が重たい。無理せずお出かけください。

(*1)「身だしなみに無頓着であることが許されるのは」
(*2)「ある日、音楽が大嫌いになっている自分に気付くこと。」

2026/05/07

5/7 休業

今日は休みます。

2026/05/06

5/6 店日誌


5月6日、水曜日。今朝のレコードは『PICK UP HITS』と題されたオムニバス。コーネル・キャンベル、ジャネット・ケイの曲を中心にしたラヴァーズロック・コレクション、これが絶品なのである。ほどよい低音、やわらかく弾むリディム、スムース&メロウなヴォーカル。各面ラストには小品のダブが入ってて、演者はそれぞれ「Ranking Superstar」「Paul」って、テキトー過ぎ! なのだけど、ひたすらに気持ちいい。適温、適度に揺れるジャグジー感。ああァ〜〜〜、今日はこの中にずっと浸っていたいよ。

近頃ちょっと忙しくて、そういうときはプイと仕事場からエスケイプして喫茶店に入ったりします。/いまもちょうどそんな気分で、どこかの喫茶店に逃げ込みたいところ。(小西康陽)

植草甚一から小西康陽へ。クールなようで誰よりもホットな小西さんの文章に、何年ぶりかでハマってる。今日は『ぼくは散歩と雑学が好きだった。 小西康陽のコラム 1993-2008』で見つけた「茶話」がキラリと光った。やあ、ドラえもん。って遊び心がなんとも洒脱。短いものほど素敵に感じる。

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先週火曜から休まず開けてみましたが、さすがにちょいと疲れたので、明日7日(木)は休みます。明後日もそのまま休んじゃおうかなーと思ってるけど、決めきれず。そろそろレコード屋に行きたいんだよなァ。

では、今日も開店! 18時までの短縮営業ですが、ひとつよろしく。

2026/05/05

5/5 店日誌


5月5日、火曜日。もはや曜日感覚は崩壊寸前、火曜に店を開けると混乱はますます極まる。ひとまず、早朝につけたメモ通りに作業を進めた。最寄り郵便局のポストで発送、ゆうゆう窓口にLPを預けたのち今朝までの通販購入分と忘れ物をひきあげて、いったん帰宅。店に向かう道中でいくつかの入金処理をして、古紙回収のゴミを出す。2週間で溜まりに溜まった段ボールを処分してスッキリ! 開店前にここまで済ませられただけで、充分でしょ! (もうビールが飲みたいよ!)

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山名昇さんの旧蔵書をご遺族、ご友人の許可を得て販売中。表紙に「山名用」と記されたリラックスや「山名」の蔵書印が押された単行本、「novo」「noboru yamana」と書かれたものもあり。特殊な古本であることをご理解の上、お求めください。

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今朝のレコードは『King of Dub Rock part2』。針をおろすと「ディス・イズ・レゲエ!」と勇ましい声、ジャー・ラスタ・ファーライ。これこそジャマイカ産のダブ、レゲエって感じのホカホカ具合。キーボードの音が変わってる。タイコの響きが気持ちいい。ひとまずホッコリ、慌てて進めることはなにもないのだ。

今日明日は11時〜18時の短縮営業。お暇があればお出かけください。

2026/05/04

5/4 店日誌


古本屋に行った帰りや散歩のついでに、ときどき私がいた晶文社の「ワンダーランド」編集部に寄っていくんです。「ちょいとおいしいものがある」と私たちを誘って、ごちそうしてくれるんだけど、これが大しておいしくない。でも頑固な方ですからね、自分の基準は揺るがないんです。(津野海太郎)

5月4日、月曜日。ちょっと前に買い取った、植草甚一スクラップ・ブック『カトマンズでLSDを一服』に挟まっていたのは、2008年4月20日(日)付の「朝日新聞」の切り抜き。「植草甚一は終わらない」と題された文化欄の特集で、これがめっぽう面白い。上記した津野海太郎さんの証言はもちろん(『したくないことはしない 植草甚一の青春』にも似たような記述があった)、小西康陽さんのコメントも気が効いている。いわく───

僕には『だった』という過去形が重要。年を取ったら、そう無邪気に宣言はしていられない。貫き通した植草さんには、かなわない。(小西康陽)

同年3月に刊行した自著『僕は散歩と雑学が好きだった。小西康陽のコラム 1993-2008』に関する、ささやかだけど重要な工夫が語られていて、ちいさく唸った。あの本に漂う、寂寥感の基がここにある。もう、若くはない自分に対するある種の諦念───と片付けるには、当時の小西さんは才気煥発なのだけど。

山名さんは別に偉大な人じゃない。/でもいまの、ありとあらゆる音楽のカッコいいところだけを聴き分けるDJみたいな感覚を、誰よりも先に身につけてた人だった。(小西康陽)

小西版『散歩と雑学〜』となれば、どうしたってこの話になる。この「山名昇氏を讃える。」ってのは前著『これは恋ではない 小西康陽のコラム 1984-1996 』にある「バカラックを讃える」が伏線になってる……わけないか。

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今朝のレコードは、『JAH CHILDREN INVASION』。ニューヨーク拠点のレゲエ・レーベル、ワッキーズ(Wackie’s)が編んだ10曲のリディムはなんとも滑らか、ハイトーンのヴォーカルと相まって室内の空気を軽くする。湿度の高い日にうってつけ。

今日も通常営業! 明日、明後日は11時〜18時の短縮営業です。