2026/06/25

6/25 店日誌


戦争は泥棒をすることで、平和は乞食をすることだ。それはそうだな。イラクをみよ。石油泥棒のアメリカが攻めこんで、巻きあげて、あとはおこぼれで、イラク人民を平和で暮らせ。いまもごたごたしていますけれど、アメリカがいう中東地域の民主化とは、そういうことでしょう。(小沢信男)

6月25日、木曜日。小沢信男『捨身のひと』を読んでいて、上記箇所に付箋を貼る。著者は続けて「戦争が略奪なら、平和は搾取で、人民はどのみちたすからない。というありさまは、中近東、アジア、アフリカ、中南米にと、グローバルにひろがっている」、数ページのちには「朝鮮戦争のおかげで経済が息を吹きかえして「三丁目の夕日」の平穏がくるのだけれど。つまり、おこぼれをいただいてやってきた。泥棒の手下でいながら乞食のようなもので、それでのほほんとしてるのを高度先進国というのでしょう」と書いている(2006年に上演された『泥棒論語』パンフレットに寄稿したテキスト)。

ぼくは失業者で、下宿の一室でラジオを聞くか、貸し本を読むだけの孤独な生活だ。/東京タワー完成の噂はきいたが、池袋からは見えない。ぼくの昭和三十三年は夕日もなく、限りなく暗い。(小林信彦)

小沢信男を読んでいて、小林信彦を思い出す。一昨日手にした『昭和のまぼろし』で何度かゾクリとする。以下にそのまま引用する───「気づいている読者もあると思うが、日本の大衆は必ずしも権力者の命令だけで動くのではない。/時として権力が命じる前に、先走りして迎合するのだ」、「無邪気に浮かれていた日本の大衆は、あまりにも〈無邪気(イノセント)〉であった」。すべて2005年に書かれたエッセイから。

生きていることは、なにがなんでも崇高であり、めちゃくちゃに正しい───というような戦後民主主義の一つの売りものは、生命(ライフ)と生活(ライフ)を混同することから生じる。(平岡正明)

平岡正明『戦後事件ファイル 赤塚不二夫、安保、三島由紀夫、ひばりの死、他』の情報量、思想の厚み、言葉遊びのような解釈の数々にクラクラする。言葉に打たれ続けても、止まらず、一気に読み切る。わかる、わからないは二の次でいい。引用したのは1971年に書かれた「1970年三島由紀夫割腹自殺」で見つけた一節。本から本へと、記憶がつながり、好奇心が増していく。

今日は一日、雨なのでしょうか。鴨トート3色(ベージュ・ナチュラル・ブラック)が再入荷予定です。

2026/06/24

6/24 臨時休業

諸用のため、今日は臨時休業です。

2026/06/23

6/23 雑記


今月末で閉店との報を受け、いくべきか、いかぬべきかと迷っていた〈かつ善〉に足を向ける。着いたのは11時15分頃、店前の行列をみて挫けそうになるも、駐車を済ませたのち列につき開店を待つ。前後の会話を耳に入れつつ、こんな時こそ常連面は控えたい、我欲は抑えたいよな〜とか考えながら本を読む(小林信彦『昭和のまぼろし』がヤケにハマって、ぐいぐい読んでしまった)。

入店後、入口脇の椅子で15分ほど待って、奥の座敷に通される。ヒレカツを注文して読書再開。なんとなく顔見知りの感のある配膳担当の方と言葉を交わしたり、茶を啜ったりしながら、待つ。10分ほどで供されて、しみじみといただく。馴染んだ店が無くなるのはさみしいけれど、こればかりは仕方ない。ご馳走様でしたと伝えて、さっぱりと会計を済ませた。

2026/06/22

6/22 店日誌


6月22日、月曜日。さーーーて、時間がない! ただいま10時36分。ラジオでは国会中継が流れてて、「サナエトークン」なる暗号資産に関する質疑が行われている。時間を過ぎても応えがなされず、タイムアップ。双方ともにガーガー、ワーワーやたらにうるさく、瞬間的には話が掴めず。さて、いま飲んでいるのは某輸入食材チェーン〈K〉で買ってきた「アイスコーヒー 無糖/珈琲専門店用」(HOMER)なのだけど、これよりも、「DOUTOR 直火焙煎ブラック」(アサヒ飲料)の方が美味いと思う。前者にとくだん不満があるわけでなく、後者について書いておきたかった。

さあ10時43分! ついさっき出かけたスーパーで『&Premium』2026年8月号を発見。「旅と、本と」と題された本屋特集で、全国各地の書店が紹介されているなかで、当店オリジナルのトートバッグも掲載されていた(見本誌はまだ送られてこない)。矢吹純が描いた鴨がプリントされたトート3色は、今週中に再入荷する予定。

ここまで書けば、安心の10時48分。蒸し暑いけど、クーラーはつけずにいる。歩いてきたり、自転車に乗ってきた人は暑いだろうなァ……申し訳ない気持ちはあるものの、空調なし、ドアをばーんと開けたままで営業するのが好きなのだ。

ではでは、定時に開店! 明日、明後日と連休にしようかなあと思っています。

2026/06/21

6/21 店日誌

6月21日、日曜日。先週末の「NRQ祭り」を主催した猿田なつ奈さんは「natunatuna」名義でイラストレーター/画家として活動していて、夏前に京都市左京区の〈gorey cafe〉で個展をするのが毎年恒例になっている。今年は6月23日(火)〜7月12日(日)の会期で、その間にライブがなんと6本(7公演)! すべてにライブペインティングで参加……って、かなりすごい! 演奏家は全10組。それぞれ色が異なるわけで、音に絵を乗せるのも簡単じゃないだろうし、相当なエネルギーを使うはず。一体なぜ? そこまでやるの? って聞くのは野暮だけど、そのうちにじっくり話してみたいなーと思ってる。

お隣のカフェでは、さとうさかな個展「Slow Dry」が開催中。ぱっと見て「いい」とか「すてき」とか言葉にできる作品じゃないから面白い。じっと観察したり、暮らしの場に置いてみたり、長い時間をかけて付き合ってこそ感知できる要素があるのかな。

今日も通常営業! オンライン・ストア〈平凡〉もよろしくどうぞ。

2026/06/20

6/20 店日誌

6月20日、土曜日。小林信彦『袋小路の休日』所収の短篇「隅の老人」を再読。話の中心に置かれるのは、狩野道平───大正末期〜昭和初期の伝説の編集者、真野律太をモデルに造型された人物であり、世の中と完全にズレてしまった老人として描かれる。狩野いわく「読者なんてものは保守的だから、食いつかせるのに時間がかかる」「都会趣味ということよ。……『新青年』のカラーを創ったのは二代目編集長のヨコセイってことになってるが、私に言わせりゃ、助手の渡辺温の力が大きかった」。

小林信彦が江戸川乱歩の誘いに乗り宝石社に入社、『ヒッチコック・マガジン』編集長に就任したのは1959年。26歳のとき。その経験を基にして小説化された「隅の老人」では主人公・上村宏の感慨として、著者自身の雑誌観の肝が語られる。「雑誌が生き物だということ(…)それは、編集の中心になる人間の生理の反映であった。その人間が少しでも疲れれば、誌面に疲れがあらわれる。まして、時代からズレてしまえば、誌面は現代の読者とは関係がなくなってしまう」。

この一冊におさめられた人も、モノも、街も、一九六〇年代半ば以降、われわれの生活から失われた、あるいは無用とみなされるようになったなにか───といってよいように思う。書物もまた、同じことである。(小林信彦)

いまも雑誌が編まれ続けるのはなぜなのか。情報を得るだけならスマートフォン、SNS、サブスクリプションがあれば充分なのに。自分はなにを期待して、今も雑誌を手に取っているのか、改めて考えてみる必要がある(ポパイに不平を言ってる場合じゃないのだ)。

*
古本はもちろん、新刊と新譜、中古音源にも入荷あり。オンライン・ストア〈平凡〉で紹介できるのは、そのうちのごく一部。もので溢れた店内ではありますが、興味を持って見てもらえれば、何かしらにピンとくるのでは? ご来店の上、お確かめください。

そうそう梅雨ってこうだよね〜って感じの空模様。湿度がないのが幸いでしょうか。

2026/06/19

6/19 店日誌

なにせ、いろんな人間が自由に編集部に出入りできていた時代は、何かこう猥雑なエネルギーが編集部に満ちていたからだ。/そんな雑多な空気は、記事作りにおいて有利に働くこともある。企画のアイデアをひねり出す時も、名前も知らない業界筋の人が打ち合わせに突如乱入し、なかなか鋭い意見を述べ、風のように去って行くこともしばしば。(佐々木徹)

6月19日、金曜日。いや〜これはめっけもん! 先週末に買い取った、佐々木徹『週刊プレイボーイのプロレス』は有名レスラーの内にある葛藤、誇り高き哲学を知らしめるプロレス本にして、1980年代後半〜2000年代初頭の編集者の在り方、仕事術を伝える重要資料でもある。読みながらビビッときて付箋を貼ったのは上記箇所に加えて「読者に伝えられるのは、よくてたったひとつ。そのひとつを伝えるためだけに全力を尽くしなさい」っていうところ。

ポパイが50周年、気合いの入った号をつくったらしいと聞いて書店に赴き、立ち読みするも「う〜ん、これじゃ買えねえ!」とガックリくる。かつての名記事、先人への敬意は伝わる。書影が並ぶページはワクワクもする。だけど、背中を押すだけのパワーがないのは何故だろう。編集者個人の自発性の欠如か? 広告主への配慮なのか? 各方面への目配せが上手いだけじゃ、読者は掴めないと思うのだ。

そのあとで届いた『Sb』46号に興奮させられたのは、誌面全体に関わる人(編集長/編集者/ライター)それぞれの好奇心が反映されていたから。有名か無名か、ルーキーかベテランか、売れているか否か。そんな線引きとは異なる熱源で各コーナーが作られているから、読み手も自然と引き込まれる。安全策だけじゃないからドキドキする。

*
ジョン・カサヴェテス、今野雄二、小林信彦、ダディ・グース。オンライン・ストア〈平凡〉にあげた古本への反応がよくて手応えあり。買い取りがあってこその古本商売ってことを改めて実感している。大事な本を売ってくださった方々に感謝、感謝。今後ともよろしくお願いします。

今日は晴れて、暑くなるのかな。いつも通りに開けてます。