2026/04/29

4/29 店日誌


終わりもはじまりもなく、特別なものは何もない、だから聴こえてくる音がある。真っ白い絵画から見えてくる風景があるように。/すなわち、音楽をジャンル、年代、国別などで分けるのではなく、そうしたものを超越した点と点を繋ぎながら静かに広がる海として。(野田努)

4月29日、水曜日。散歩がてら、買い物ついでにのぞくリユース店で『In C』(Shanghai Film Orchestra/Wang Youngji,Condauctor)のCDを見つけたのは数年前。普段なら目をやらないクラシックのコーナーをしつこく追っていたら、テリー・ライリーの名前を見つけた。おお、この人の音楽は聴いたことないな〜って感じで買って、店で再生するも、まったく意味がわからない。どんどん表情が変わって、変な楽器も出てくる上にやたらに長いしで、そのまま棚にしまったまま。それが先週? 片付け中にひょいと出てきて、聴いてみると、以前とは異なる感触があった。

先々週だったかな。ちょい遠方の別店で『ele-king』2024年冬号を見つけると、特集は「テリー・ライリーの“In C”、そしてミニマリズムの冒険」。表紙もいい。ぱらっとめくると興味深い。とりあえず買っておいたのが、大正解。今朝、なんとなく読みはじめて、冒頭のインタビューにぐぐーっと引き込まれる。

この曲にとっての理想的な演奏のようなものはありません。様々な人びとが集まってこの曲を一緒に演奏し、色々なアイディアもそこに集まります。もしも、何らかの理想を目指して始めてしまったら、そういう考え自体が“In C”に反する気がします。(テリー・ライリー)

何かが分かったわけじゃないし、“In C”の聴こえ方が急に変わるわけでもない。脳みそがマッサージされたような感覚があり、心地よい。セッティングが整ったのだろうか。今なら、テリー・ライリーの音楽が自然に耳に入ってきそうな気がする。

今週もよろしくお願いします。新着入荷がたくさんあります。

2026/04/28

4/28 雑記

午前中、荒川沖での用事を済ませたあとで〈きらく〉に入店すると、大リーグ中継が静かに流れてる。なんともいい具合。小生ビールでひと息ついて、いざネギミソラーメンと真っ向勝負。……いやあ、正直言ってあれは死闘だった。どうにか食い切って、車に乗るとエネルギーゼロ。そのまま14時過ぎまで動けなかった。

オレからいわせると、「ファスト動画」だ、「タイパ」だっていうのはズルしている感覚なんだ。本来なら、避けてとおることができないものごとや出来事を効率よくスルーして、少しでも平坦な道を進もうとしているようにも見える。/でもさ、無駄に見えるようなことにも、意外なお宝が埋まっていることはよくあるし、たとえそれが失敗だとしても、それによって引き出しも増えるし、深みも増す。(玉袋筋太郎)

いやあ、そうですよねえ。オレもほぼ全く同じことを思ってる。玉袋筋太郎『美しく枯れる。』はここ最近で、いちばん強く同意した本である。この人、なんか好きなんだよなァ。

2026/04/27

4/27 店日誌


4月27日、月曜日。いきなり連休モードに入ったのか、お客さんがわっと同時に入ってくる。3人、2人、また2人……となったところで声をかける。「スミマセン! 今いっぱいなので、またあとで!」飲み屋のオヤジみたいなノリである。そんなやり取りの中でも、よく棚をみて、本を選んでくれる人もいて救われる。どれだけとっ散らかってても、自力で欲しいものを見つける人がいてくれれば、店を開けてる意味はある(マジで、本当に、ありがたいです)。

レコードをみて「〜くん! ヤベー」みたいな話をしながら、あっちこっちをガサガサ、触ったものは元に戻さず、仲間とガハガハ笑い合ってたりする人がくるのは、ただただ辛い。ひたすら耐えるしかないのだが、そういうときに限って思いは伝わらず、数十分。ゔぁぁぁ……と声が出そうになる。

どうして、みんな同じタイミングで入ってくるのか。先に人が入っているのが安心なのか。その動きを否定したいわけじゃなく、とにかく不思議だ。せまい店内に、どんどこ人が入ってくると、何もできない。暇な時間はいくらでもあるのに、営業時間中の一点にぎゅーっと人が集中するのは、なぜなのだろう。

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開店当初からのお客さんが本を2箱、売りにくる。アイヌ、マタギ、サンカ、香具師、宝島、スペクテイター、スチュアート・ブランド、玉袋筋太郎。しっかり値をつけて買い取る。いろいろ話を聞かせてもらって、近道はせず、まっとうに迷ってきた人なんだなあと納得した。

朝から雨、ざんざん降り。いつも通りに開けてます。

2026/04/26

4/26 店日誌


4月26日、日曜日。オンライン・ストア〈平凡〉で売れた品々をピックアップ、それぞれにフライヤーなどを添えた上で持ち帰る。干してあった布団を取り込み、ローランド・アルフォンソのレコードを片面聴いたのち、ふたたび店に向かっているとキャップにポタッと何かが落ちる。もしかして……と確認すると、ああやっぱり! 鳥のフンがついていた。これで運がついたぞーっと思えるわけでもなく、店についてサッサと洗って干している。気まぐれにキャップをかぶって出かけてよかった。

もう世間は連休なのかな。きのうは久しぶりに会う人、はじめての人、いろんなお客さんが来てくれて終始賑やか。すごく嬉しいし、喜びが大きいのだけど、3人以上の来店が重なると、どうもソワソワしてしまう。外で待ってもらう仕組みをうまく作れればいいんだけどなァ。

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届きたてのGRINGOOSE『Prillmal Spring』、再々入荷のKEN KEN『TUTTETTUTETTE MIX』vol.2がめちゃくちゃ気持ちいい! 新緑の季節、陽の落ちる前にぴったりのミックス作品。どちらもおすすめです。

では、今日も開店! お知らせ通り、17時までの短縮営業です。

2026/04/25

4/25 店日誌

表現とは作品に限らず、対話や教育、制度設計、日常のふるまいを含む社会的プロセスそのものである。PEPPER LANDは「店」というかたちでこの発想を「実践」し、音楽、美術、演劇、映画、批評、思想といった異なる領域を交差させながら、表現を通じて社会に作用しようとしてきた。(能勢伊勢雄)

4月25日、土曜日。(昨日の話)客足の少ない昼下がり、『能勢伊勢雄入門』を唸りつつ読み終え、うーむ、自分にできることはなんだろうか……。やや放心しながら考えているときに〈gallery Y〉のホソタさんがきて、12月に企画している写真展の進捗を伝えてくれる。店としての全面協力を約束し、お互いの考えを共有すべく言葉を重ねる。おなじ天久保地区に書店/ギャラリーを構える関係性を前向きに捉えて、時間がかかっても、いい環境をつくるべく協働していきたい。基本的な役割は下地作りなのだけど、ときに前に出て、明確な意思表示が必要になるときもあるだろう。

少し時間を置いて、顔を出したのは絵描きのナツナさん。ちょうど昨日、〈Cox〉の2人からライブの話を聞きましたよー! そうそう、そうなのよー! って感じで話がはじまり、現状の手応え、足りていないものなどの意見を交わす。互いに性質は異なれど、会話のなかで共通部分を見つけ出せれば、それを頼りにやり取りが進められる。まずは6月。NRQ祭りに向けて準備を進めていく。

夕方にそろーっと入ってきたのは学ラン姿の男性。高校生? なんて感じで話しはじめて、音楽のことを中心にいろんなことを聞かせてもらう。わかるわーってことは多くないけど、ひとまず聞く。好きにやればいいんだよー! と言うのは抑えねば……そう思っていても、けっきょく口をつくのはその言葉。反省。でも、ああいう若者がいるのが嬉しいのだ。

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今朝のレコードは、『太陽への賛歌───中南米、オセアニアの民族音楽 バハマ音楽の真髄 第1集』。先日のトークイベントにきてくれた浦和のコーヒー豆店〈Michelle〉の小沼さんに教えてもらったレコード。短時間のやり取りで、矢吹純、ジョセフ・スペンス、オクノ修と話題が移っていったのが嬉しかった。もらった豆はビシッと定まった味がした。

今日は通常営業! 明日26日(日)は11時〜17時の短縮営業です。

2026/04/24

4/24 店日誌

基本的にいい演奏者はいいリスナーなんです。だから演奏するより一番大事なことは、ちゃんと音が聞き分けれるかどうか。聞くことが重要です。新しい音にずっと触れ続けて自分の音の感覚とともに生きてるかどうかということが大切です。(能勢伊勢雄)

4月24日、金曜日。能勢伊勢雄(聞き手・軸原ヨウスケ)『能勢伊勢雄入門 MAKING OF ISEO NOSE on OKAYAMA』がめちゃくちゃ面白い! けど、書かれてること、語られてることの半分も理解できてない気もする。それでもいい。まずは能勢さんの話に耳を傾けることが重要。ネタにするのでなく、カルト扱いでもなくて、好奇心のままに言葉を追っていく。そのなかにピンとくる節があれば、付箋を貼るか、メモしておけばいい。上記引用は「4|ペパーランドの始まり 1974-1988」の233ページで見つけた。

読んでるなかで、能勢さん? 伊勢さん? 能勢雄さん? いやいや、能勢伊勢雄さん! と頭の中で何度も確認している。副題も「MAKING OF NOISE on OKAYAMA」と読み違えたり、撹乱させられつつ、どうにかくらいついている。

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今朝のレコード。『CREATION ROCKERS』のサイドDに針をおろすと、Gregory Isaacs「BAD DA」が流れだす。心地よくモコついたダブ。土っぽさよりも泥っぽい。水分多めの地面に足をとられる感じが、不思議とクセになる。

さあさあ、快晴! 今日も新着入荷がたくさんありますよ〜!

2026/04/23

4/23 店日誌


4月23日、木曜日。朝いちばんで針をおろしたのは、Willam Tyler『Music From First Cow』。ケリー・ライカート監督作品『ファースト・カウ』のサウンド・トラックは曇天にぴったり。主にギターのみ、音数少なく、這うように紡がれるフレーズが身体をそっと撫でていく。この映画を観たのは2024年1月、〈シネプレックスつくば〉のいちばん早い上映会。8時だったかな? 客席はガラガラ。序盤の暗い画面に引き込まれるようで何度か眠りに落ちそうになった。観賞後につどったオガワくん、タロウくん、ツチダくんといろんな話をしたのも楽しかったな。

シネプレックスはいよいよ閉館するらしい。そりゃそうだ。いつ行っても劇場は空いていた。公開間もない『カモン・カモン』、『ワン・バトル・アフター・アナザー』ですらそうなのだから。いい環境で、いい映画を観られてありがたかった。はっきり言えばさみしい。……が、そこまで足繁く通ったわけでもないので、口はつぐんでおく。

でも! 信じられるかな? 2002年に『ピンポン』が公開されたときは長い行列ができてたし(並んだ!)、『スナッチ』を観たときも劇場にはけっこうな人がいた(友人7~8人で観た!)。上のボーリング場、ゲームセンターはいつも賑わってて、行けば誰かしらに遭遇してた気もする。あれだけの資金が投じられた場にしても、盛り上がりは10年くらいだったのか。無情なり。

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繰り返しのお知らせですが、26日(日)は11時〜17時の短縮営業。現状、それ以外の日は通常通りに開けるつもりです。ゴールデンウィーク中、5月5日(火)は営業予定。その日に行くよ〜なんて人がいたら、お声がけください。

今日も開店。雨が降りそうだし、本を読みつつ、のんびりやります。