5月25日、日曜日。クレム・ブシェイとカール・バートが手がけた「史上初のラヴァーズ・アルバム」とも言われる『Reggae For Lovers』に針を降ろすと、甘いヴォーカル、暖かなリディムが流れ出す。なるほど、こりゃ良いぞ……と聴き出すと何かおかしい。裏面記載の曲順とレコードに刻まれている曲がかなり違う。「Living In The Footstes」で、あれ? と感じて「Let’s Get It On」が始まって確信する。これじゃまるでシャッフル。素晴らしい内容だけにもったいない。じっくり耳を傾けて、正式な曲順に並びかえようと思い立つ。
A面1曲目は「Oh Girl」(クレジットではA3:以下、カッコ内表記が裏ジャケの曲順)。ボブ・デイヴィス、カール・バート、ジャッキー・パリスのコーラスはとろとろに溶けそうなほど甘い。名曲「Living In The Footsteps」(B4)でリズムが弾み、「Tears Falling In My Sleep」(A4)はドゥーワップ~ソウル。シマロンズをバックにカール・バートが歌い上げる、大ネタ「Let’s Get It On」(A1)はメロウ・レゲエ。やんわりとダブ感のある「Something Gotten Hold Of My Heart」(A5)は記載通りの曲順で、「A Simple Lover Of A Woman」(B5)は軽やかなロックステディ。
B面冒頭はジュニア・イングリッシュ歌唱の「Loving Girl」(B1)、『DREAD IN SESSION』ではブシェイが歌っていたキュートなロックステディ。続く「After The Storm」(B3)でジャッキー・パリスが再登場、タメの効いた渋いレゲエを聴かせてくれる。「Slipping Into Darkness」(B2)はキラー・リディムにコーラスが重なる名曲、うねるベースがカッコいい。これまたキュートな「Sha La La La Lee」(A2)がようやく登場。「Foot Steps Dub」(A6)は「Living In Footsteps」のダブ・インスト、反復するリディムに奇妙な味がある「Who Told You」(B6)で幕引き。
整理すると、A面は「Oh Girl」→「Living In The Footsteps」→「Tears Falling In My Sleep」→「Let’s Get It On」→「Something Gotten Hold On My Heart」→「A Simple Lover Of A Woman」という流れで、B面は「Loving Girl」→「After The Storm」→「Slipping Into Darkness」→「Sha La La La Lee」→「Foot Steps Dub」→「Who Told You」となる。
何度か聴くうちに確信したのは、本作はジャンルとしての「ラヴァーズ・ロック」をまとめたのではなく、言葉通りの「レゲエ・フォー・ラヴァーズ(恋人たちのレゲエ・ソングス)」なのだということ。甘いコーラスとダンスを誘う軽やかなリディム、メロウでスウィートなレゲエ&ロックステディがつまった12曲。悪いわけがないのである。
てなわけで、今日もレゲエを聴きつつ営業中! 暑くなるのかな……。