定休日。はじめて訪ねた小山市〈円盤ペニンシュラ〉で感じたのは、店主オカくんの書く字がいいってことで本人にそのまま伝えると「字を書くの好きなんですよー」と応えてくれて納得。値札に添えられた数行の解説であっても、彼の文字があるかどうかで、客側の印象はだいぶ異なる。買ったのは、デニス・ボヴェルとダブ・スペシャリスト。どちらもこの夏に愛聴するだろう。
(メモ:小山市の図書館、雰囲気よし。静かで棚が低くて、蔵書も気が利いていた。)
6月27日、土曜日。ワールドカップ、地震、台風。もう店を開けないほうがいいんじゃないかって出来事が重なる。実際、開けてから数時間だれも来ない。気配も感じられない。そこにまたドン! と震源地の縦揺れがくる。あわててCDの山を抑えてふーっと一息、こりゃ参ったなあ。午後はやい時間に馴染みの方から本を買い取り(90’sカルチャー雑誌)、コーヒーブレイクの15時ちょうどにソニックさん、サイン本蒐集家のナカヤマ先生も。気がつくと夕方、カフェスタッフの仕事が終わるころ、雨足が強くなってくる。
18時過ぎ、そーっと入ってきた方は音楽が好きそう。遠方からですか? ピンときて尋ねてみると、なんと松本から。「popeye web」の連載コラムを読んでくれたらしく、同じロックステディ愛好家とわかり、やあやあ盛り上がる。山名昇『寝ぼけ眼のアルファルファ』ともう1冊、会計を済ませて「またどこかで!」と送り出すと、土田店長と仲間たちが……。
ザーザー降りのなか、近隣回遊バスに乗り近所まで。ドラッグストアに寄り、ちょいちょいと買い物を済ませて、歩き出す。スニーカーはずぶ濡れ。湿度があって汗がじわり。不快な気分につかまらないように足を運んで、21時過ぎに帰宅。朝からコケてCDがバリっと割れたり、妙な1日だったが、悪くはなかった。
さあ、今日の天気はどうなりますか! 天候次第で、早く閉めることもあり得ます。
これまで楽しかった旅は、すくない。不快だった旅もすくない。/旅嫌いのわりには、これまでずいぶん旅をしたが、たいていの旅は、今、想いだそうとしても、消しゴムで拭いたように頭の中では白紙になっている。(草森紳一)
6月26日、金曜日。おととい、阿佐ヶ谷の古書店〈コンコ堂〉で買ったのは、草森紳一『旅嫌い』ほか数冊。お目当ての15周年記念トートバッグをいただき、店主天野さんと立ち話。急に値段が上がりはじめた翻訳書、驚くほどの値段で売れていった写真集、不要な本をどうするべきか……なんて事柄をざっくばらんに伝え合う。わかるー! ってことがあれば、知らなかったです! ってこともある。ネットじゃ得られない感覚を共有できるのは、すごく貴重だ。コンコ堂はいつ行っても整ってて、読みたい本がたくさん見つかる。いいお店なんだよなあ。
そのあと、西荻窪の喫茶店〈JUHA〉に入ると「えっ!」と声をかけられ、横をみる。なんと、つくばの友人夫婦とはちあわせ。ユハはいいよね、好きなんだよね〜と話したこともあるから納得だけど、このタイミングには驚いた。
明日からの天気はどうなりますか。とりあえず、今日は通常営業です。
6月21日、日曜日。先週末の「NRQ祭り」を主催した猿田なつ奈さんは「natunatuna」名義でイラストレーター/画家として活動していて、夏前に京都市左京区の〈gorey cafe〉で個展をするのが毎年恒例になっている。今年は6月23日(火)〜7月12日(日)の会期で、その間にライブがなんと6本(7公演)! すべてにライブペインティングで参加……って、かなりすごい! 演奏家は全10組。それぞれ色が異なるわけで、音に絵を乗せるのも簡単じゃないだろうし、相当なエネルギーを使うはず。一体なぜ? そこまでやるの? って聞くのは野暮だけど、そのうちにじっくり話してみたいなーと思ってる。
お隣のカフェでは、さとうさかな個展「Slow Dry」が開催中。ぱっと見て「いい」とか「すてき」とか言葉にできる作品じゃないから面白い。じっと観察したり、暮らしの場に置いてみたり、長い時間をかけて付き合ってこそ感知できる要素があるのかな。
今日も通常営業! オンライン・ストア〈平凡〉もよろしくどうぞ。
6月20日、土曜日。小林信彦『袋小路の休日』所収の短篇「隅の老人」を再読。話の中心に置かれるのは、狩野道平───大正末期〜昭和初期の伝説の編集者、真野律太をモデルに造型された人物であり、世の中と完全にズレてしまった老人として描かれる。狩野いわく「読者なんてものは保守的だから、食いつかせるのに時間がかかる」「都会趣味ということよ。……『新青年』のカラーを創ったのは二代目編集長のヨコセイってことになってるが、私に言わせりゃ、助手の渡辺温の力が大きかった」。
小林信彦が江戸川乱歩の誘いに乗り宝石社に入社、『ヒッチコック・マガジン』編集長に就任したのは1959年。26歳のとき。その経験を基にして小説化された「隅の老人」では主人公・上村宏の感慨として、著者自身の雑誌観の肝が語られる。「雑誌が生き物だということ(…)それは、編集の中心になる人間の生理の反映であった。その人間が少しでも疲れれば、誌面に疲れがあらわれる。まして、時代からズレてしまえば、誌面は現代の読者とは関係がなくなってしまう」。
この一冊におさめられた人も、モノも、街も、一九六〇年代半ば以降、われわれの生活から失われた、あるいは無用とみなされるようになったなにか───といってよいように思う。書物もまた、同じことである。(小林信彦)
いまも雑誌が編まれ続けるのはなぜなのか。情報を得るだけならスマートフォン、SNS、サブスクリプションがあれば充分なのに。自分はなにを期待して、今も雑誌を手に取っているのか、改めて考えてみる必要がある(ポパイに不平を言ってる場合じゃないのだ)。
なにせ、いろんな人間が自由に編集部に出入りできていた時代は、何かこう猥雑なエネルギーが編集部に満ちていたからだ。/そんな雑多な空気は、記事作りにおいて有利に働くこともある。企画のアイデアをひねり出す時も、名前も知らない業界筋の人が打ち合わせに突如乱入し、なかなか鋭い意見を述べ、風のように去って行くこともしばしば。(佐々木徹)
6月19日、金曜日。いや〜これはめっけもん! 先週末に買い取った、佐々木徹『週刊プレイボーイのプロレス』は有名レスラーの内にある葛藤、誇り高き哲学を知らしめるプロレス本にして、1980年代後半〜2000年代初頭の編集者の在り方、仕事術を伝える重要資料でもある。読みながらビビッときて付箋を貼ったのは上記箇所に加えて「読者に伝えられるのは、よくてたったひとつ。そのひとつを伝えるためだけに全力を尽くしなさい」っていうところ。
ポパイが50周年、気合いの入った号をつくったらしいと聞いて書店に赴き、立ち読みするも「う〜ん、これじゃ買えねえ!」とガックリくる。かつての名記事、先人への敬意は伝わる。書影が並ぶページはワクワクもする。だけど、背中を押すだけのパワーがないのは何故だろう。編集者個人の自発性の欠如か? 広告主への配慮なのか? 各方面への目配せが上手いだけじゃ、読者は掴めないと思うのだ。
そのあとで届いた『Sb』46号に興奮させられたのは、誌面全体に関わる人(編集長/編集者/ライター)それぞれの好奇心が反映されていたから。有名か無名か、ルーキーかベテランか、売れているか否か。そんな線引きとは異なる熱源で各コーナーが作られているから、読み手も自然と引き込まれる。安全策だけじゃないからドキドキする。
6月18日、木曜日。6大会連続出場のメッシがハットトリック、かたやクリスティアーノ・ロナウドは空振。後者には少なからず批判もあるらしい。はてさて、日本代表の長友佑都は5回目の出場で役割はチームを元気づけること。さらに吉田麻也にも同じような役割を期待されていて、南野拓実はメンターとしてチームに帯同。ニュースに耳を傾けながら、どうも腑に落ちないのは、今時の選手ってそんなに支えが必要なの? と思うから。若い選手でもたくましく見えるし、試合ぶりも堂々としていたと思うんだけどなァ。
なんだかんだ言っても試合があれば気になるわけで、ワールドカップやサッカー選手を揶揄するつもりは全くない。だけど、日本代表をとりまく雰囲気になんとなく馴染めないのは、安易な物語化が行われてると感じるからか(グループリーグでそんなに感動しないでしょ……)。
朝から雨、本格的な梅雨模様。今日もいつも通りに開けてます。
6月14日、日曜日。某ラジオ番組でNRQ関連の曲が流れたみたいですね。そう言葉をかけると、吉田悠樹さんの眼が光る。「よくぞ聞いてくれました! その件は隣にいる中尾さんに話してもらうといいんですよ!」と中尾勘二さんに水を向けると「いやあ、あれはたぶんね……」なんて感じで笑いながらことの顛末、推測をいろいろ話してくれる。流れのままコンポステラのLPについても質問すると勿体ぶらず、あれこれ教えてくれて、びっくり。話しながら笑いだしちゃう感じが北沢夏音さんとダブって、言葉を交わすほどに親近感が増していく。なんとも味のある方なのである。
コントラバスを持つ服部将典さんを見ていたら、不意にガンジーさんを思い出して、声をかけてみる。「ベース弾きのガンジーさん、知ってますか?」「ああ、学生のころ聴いていましたよ。シネマ・ダブ・モンクス」って返してくれるだけで、ジーンとくる。そりゃ知ってて当然かもしれないけど、飾らずに話してくれるのが妙に嬉しい。
2度目のつくばとあってか、メンバー(NRQ・牧野琢磨トリオ・みたらし団子ズ)の方々はちょうど良く力が抜けていて、会場にも自然に馴染んでいた。今回もステージはあんまり観られなかったけど、片岡敬さんの音響あってか廊下でも音がよく聴こえて、不満なし。いい夜だった。
数あるリー・ペリー・プロデュースのアルバムの中で、僕が最も愛する1枚。/全編にフィーチャーされたドン・ドラモンドJr.こと、ヴィン・ドーゴンのトロンボーン。このトロンボーンは、リー・ペリーの手による乾きまくったリディムに乗ることで哀愁度が急旋回して聴く者の鼓膜にがっちり食い込み、強烈なアクセントを心に残す。(武田洋)
6月13日、土曜日。先週日曜にオザワさんに託された、リー・ペリー&アップセッターズ『ミュージカル・ボーンズ』を聴いてびっくり。こりゃ、めちゃくちゃ良いじゃないか! 所蔵しいる『定本 リー・“スクラッチ”・ペリー』をひもとくと、上記した武田洋さんによる解説が掲載されていて、作品と同じくらいに素晴らしい。続く箇所をそのまま引くと───「悠々としながらも情感豊かなフレーズでメロディを奏で、枯れたドラムとの見事なコンビネーションを見せるヴィンのトロンボーンは、男気や武骨といったものを音で表現したものの最高峰に位置するだろう」。
干涸びたドラムと、絶妙なタイミングで顔を出すキーボード、センチメンタルなメロディが絡み合った「5 Cardiff Crescent」と「Voodoo Man」の極上な2曲を是非直感で味わってほしい。
自分が盤から受けた印象を書き足せば、武田さんの書く「乾きまくったリディム」を堪能できるのは、主にB面。スウィートかつモンドな「5 Cardiff Crescent」「Four Of A Kind」「Voodoo Man」を通して聴いて、リー・ペリーのセンスとアイデア(霊感×音感×直感=創造性!)を思い知った。大袈裟じゃなく、キーボードの出てくるタイミングが絶妙すぎて、悶絶しそうになる。
さあ開店! 今週に入って古本の買取りが増えてきていて、ありがたいです。
6月12日、金曜日。午前中の用事があっという間に終わったので、予定変更! 11時に開けて、18時に閉めます(来週以降は11時〜19時の営業に戻るつもりなので、今週いっぱいはご勘弁ください)! 傷がどんどん癒えていく。あっという間に皮膚は再生して、かさぶたになり、腫れは引く。当たり前なんだけど身体ってすごいな〜と思ってる。
今日もよろしくお願いします。オンライン・ストア〈平凡〉もご利用ください。
6月11日、木曜日。目が覚めて軽くうがいをして鏡を見る。上唇の腫れが引いてきた。コーヒーが飲めて、細切りにしたパンが食べられる。ジャンプこそ思いっきりできないものの、ラジオに合わせて体操もできる。ちょっと前進。だいぶ安心。焦らず、少しずつ、元に戻していけばいい。日曜にオザワさんに託された『Studio One Classics ROOTS』はお約束というべきかレーベル面が真っ白で、ぱっと見じゃA/B面か分からない! ルーツ・レゲエという括りでも、地面から湧き上がるような低音、裏打ちのギター・カッティングは曲によって差異があるのを感じ取る。
「Popeye」ウェブ版での小さな連載が、今日から掲載開始。全4回。上手く書こうとせず、正直に、虚飾なく。まっすぐに書けたらいい。今月はいくつかの雑誌と縁があり、某達人誌、某プレミアム誌にも記事が掲載される。どちらも20日前後の発売らしい。どこかで見つけたら、ぜひ。
この本のなかで、草森さんが、《サブ・カルチュアなんて無かった。仮にあったとしても、政治や資本に全部絡めとられていく。》と言っているんだけど、本当にそうだと思いましたよ。七〇年のあの頃、若者が考えたこと、やろうとしたことが、今となってみるとほとんどが商業化して、日常化している。(本間健彦)
サブカルチュアに属した新劇や純文学の停滞は当然としても、政治や経済すらも、サブカルチュア化し、空洞化しはじめている。あたかも私が王道のように、それまで無視されたサブ文化を正面に据えて啓蒙してきたこと、ただ世界規模の愚民化に手を貸したに過ぎない。(草森紳一)
6月6日、土曜日。北沢夏音『Get back,SUB! あるリトル・マガジンの魂』を数年ぶりに読み返して、引き込まれる。もともと付箋が貼られていた箇所はもちろんなのだけど、時勢もあってか1973年のオイル・ショックに関して書かれたところが気になった。特に草森紳一の跋文のなかで上記引用部につづく一節───「オイル・ショックとその後の世の変化に対し、そう象徴化として考えるようになっていた。マクルーハンの指摘が、ロコツに現実化してきたのだ。世は不景気だったが、グローバル化の準備が着々と準備していた」。
最初のオイル・ショックから33年が経った現在にも似たような状況があるのだろうか。表面化されない領域で何が起きて、誰が暗躍しているのだろう? 過去の事象から学べることがあるのは間違いない。今こそ1973年が検証されるべきなのでは……そう感じている人は多いのかな。とりあえず、坪内祐三『一九七二 「はじまりのおわり」と「おわりのはじまり」』を読み直してみる。
思いどおりになるかどうかわからない未来への投資より、思い出の反芻は目減りのしにくい娯楽だ。ベスト盤のCDが売れるのも道理である。この境地に辿り着けたら大成功だ。(ナンシー関)
ナンシー関の書く「思い出の反芻」がビッグ・ビジネスになって久しい。かつての人気バンドの再結成、大規模フェス、どれもこれもが「思い出の反芻」に絡めとられている。そういう自分も? どうしたって現行の音楽に付いていけてないわけで、反芻行為に陥っているのが実情なのである。
ニュールーツというわりには人懐っこいサイン派ベース+エレクトロ・ダブで、世界のダブ・アディクトたちの話題をかっさらったMERMAIDのLP『DUBMAID』。2025年のリリースから1年、早くも『DUB FOREVER』なる新作がここに。/カヴァー=ヴァージョニングの妙たるレゲエのうま味を出汁に使いつつ、これまた人懐っこいアシッドの熱風が低音とともにスピーカーから吹き出すダブ・アルバムに。(河村祐介)
6月4日、木曜日。発売日よりも一足はやく届いた、MERMAID『DUB FOREVER』に針をおろして、まず浮かんだのがPottmann(ポットマン)。音楽だけを聴いてれば、マーメイドとポットマンを横並びにするのは何の不思議もないはず。自宅の部屋で録音されたようなローファイ・サウンド。歌未満のヴォーカル。するりと耳をぬけるメロディ。心地良いんだか悪いんだか、簡単には判断させない感じが似てるのかな。A面ラストの「NO WAY」を聴いてたら、ロボ宙&DAUを真ん中に置くと分かりやすいかなーと思ったり。
B面冒頭の「BABY」「GAVOTTE」の可愛げ、人懐っこさはダブと言わずとも、多くの人の耳を引く気がする。後者はクラシックの有名曲(「ガヴォット ニ長調」は、フランソワ=ジョセフ・ゴセックが作曲した小曲)らしいけど、ここに「生き延びよう」って言葉を被せるセンス、チョイスに賛同。軽くていいんだよなァ。
-で、忘れちゃいけない! サポート陣のことも聞いておきます。今回もPA(音響オペレーター)として片岡敬さんが参加されますね。前回からの連続参加ですが、そもそもどんなきっかけがあったのでしょうか?
以前からNRQのイベントや音源でお名前をみていたり、〈senkiya〉のイベントで片岡さんがPAをしている時にご一緒する機会があり、お話をきいたりしていて、いろんな状況で最適に音を鳴らすことを得意としてるし楽しんでいるのを感じまして、この方なら一緒に1日を作ってくれるなあと思いお願いしました。
はじめは、NRQは自分たちでも音を作れるし、その規模なら自分がPAやらなくてもいいかもとおっしゃっていたのですが、ライブがたくさんはいりはじめた〈aNTENA〉で、プロにPAをお願いしたらどれくらいいい音できけるのか場所の可能性を知りたかったのもありお願いをしました。
2年前は、どれくらい人が来るかも未知数だったので、音のことをまるごとお任せできたのは本当に助かりました。
-では、会場となる〈aNTENA〉に関しても聞いていきます。今や焼菓子と名物店主あっちゃんのイメージが強いですが、どんな風に知り合って、どうやって関係が出来ていったか知りたいです。
あっちゃんとの出会いは、かなり変わってて。話すと長いんです。(聞き手の植田は)知っているとおもうんだけど、数年前にわたしはスパン子さんというピアニストの500枚手描きのCDというのをつくらせていただいていて、その完成記念の大阪のイベントで、「維新派」*の美術や舞台制作をしていた白藤垂人さんが、会場装飾をしてくださいまして。センスも熱意も、ものすごくて、勝手にかなり尊敬してる方なんですが、その後、映画のセットをつくったりするのにつくばに何日も泊まり込みできてるとおっしゃっていて、現場に覗きにいったりした流れで、夜みんなで飲んでる場に呼ばれまして。
そこで、紹介されたのがあっちゃんでした。あっちゃんと垂人さんは酒場で隣同士になって、垂人さんが関西弁で憂歌団の木村充揮**さんの話をしていたから声をかけたとのことでした。
多分天久保に出入りしていたら、出会うこともあったのかもしれないけど、わたしはもともと酒場に行ったりしないタイプなのでその日まで全くお互いに存在を知らず、あっちゃんもきっと謎だっだろうなと思います。お互いに共通していたのは、信頼する垂人さんの紹介だから、きっと大丈夫だろう、というところだったと思います。
-あっちゃんと乗人さんの出会いの話、いいですねえ! 天久保での木村充揮さんのライブを観にいく直前のことらしいですね。それもまた運命的。
その時にライブスペースを手作りしている話を聞きまして、場所を見せてもらうんです。スナック二軒をぶち抜いた広いスペースに木材やらなにやらが沢山あって、ステージの上で使う木材に色を塗っていました。本当に手作りで、地下にこんなところがあるなんて、しかもこれから始まる場所だなんて、と、ものすごくワクワクしました。
そこが、今のaNTENAです。まだコロナ前、2018年頃だったと思います。
-おお、貴重な写真! この時から比べて、現在のアンテナはどうでしょう? 最近はいろいろライブもやってて貴重な場所になってると思うのですが。
いやあ、かなり貴重な場所だとおもいますね。はじめこの場所を見た時には、コロナ前、他にもライブできる場所はたくさんあったので、さてどんな音楽がここで鳴らされていくんだろな?と思ってました。本人の中でも、どんな音楽をやることになるかはまだイメージ無かったんじゃないかな。
あっちゃんは、どんどん良くしてこう、というタイプの人で、ライブをしては改善点を次々と直していくんです。「誰も気づかない」と口癖のように言いながら。壁の色もその都度の課題にあわせてどんどん変わる。結果、今かなりいろんな方が使いやすい場所になっていると思います。
風通しがよくて、いろんなお店の店主も足を運んでくれるのはかなり面白いなと2年前にNRQつくばを開催した時におもいました。
-とにかく楽しいことなら何でもあり! 宴会やるよーみたいな漠然としていたところに形を与えたのがなつなさんの絵だったり、デザインだったのかなと思ってます。
チラシをつくることで、当時まだ始まったばかりの場所の、お互いの共通イメージを作れた気がします。すごいのは、ひとつひとつ現実になっていること。とうとう今度祭りの開催もあるということで、あっちゃんも張りきっています!
* 「維新派」:1970年に大阪で活動を開始。維新派の最も大きな特徴として、巨大な野外劇場を建設することが挙げられる。この作業は、役者、スタッフの総勢50名ほどが50日〜60日を費やして自分たちの手で行う。 何もない全くの更地の状態から、舞台、客席、宿泊場所までを作り、上演時はカーニバルの異空間を作り上げる。公演後は釘一本残さず、再び更地に戻すという徹底ぶりは、架空性への強いこだわりでもある。http://www.ishinha.com/ishinha/
**「木村充揮(きむらあつき)」:日本を代表するブルースバンド「憂歌団」のヴォーカル。独特のダミ声に乗せる情感は唯一無二。2018〜2023年にはつくば市天久保にあった〈FROG〉でライブを開催していた。https://www.kimuraatsuki.info/
-NRQ、2年ぶりのつくば公演をこのタイミングで行うのは理由がありますか? たまたま? それとも、満を持しての日程なのしょうか?
実は第一回目のNRQつくばをやった時に、次をどのタイミングで企画するかすでに考えていました。前回の直後からNRQははじめての半年間の活動休止に入ったので、1年後にやるのはちょっとはやいかも?とは思ってました。
去年(2025年)の冬ごろに、「来年旧作4thアルバム『Retronym』がLP化されるのでまたつくばでライブしたいです」と言ってくださり、そこから計画を練り始めました。〈aNTENA〉店主あっちゃんもNRQやメンバーそれぞれの活動を追っていたこともあり、なんとなく、みんなで企画を組み立てていくような気運を感じました。
ほどなくして、「前回とちょっとアプローチを変えて前座として短めに「パッカサタン」と「みたらし団子ズ」も加えるのは如何でしょう、とメンバーの吉田悠樹さんから(ブッキング発案は牧野琢磨さん)提案をいただき、これはもう祭りだね、なんてことをみんなそれぞれに思っていたと思います。
-なるほど! そんな流れがあったとは。企画名の「NRQ祭り」っていうのは、自然と流れのなかで生まれたわけですね。もうちょい詳しくタイトルのことを教えてほしいです。やはり「祭り」ってのは特別だと思うので。
さっきの続きになるんですが、バンドからの企画案を受けて、タイトルに祭りと付けたいな。あっちゃんは祭りが好きだし、提案してみようかな、とは思ってました。
今のNRQをみた上で、その「NRQ祭り」と銘打ってもよいですか?とお伝えできたらなと思い、ライブに足をはこびました。MCでギターの牧野さんが、「6月13日につくばでNRQ祭りをします!!!」と言ってくださったのです。とても嬉しく、ライブ後ダッシュで帰り、その日のうちにフライヤーを描き始めました。
−それはすごい(笑)! 神の思し召しみたいな話ですね。では改めて、今回出演の3バンド(NRQ、牧野琢磨トリオ・パッカサタン*、みたらし団子ズ**)の紹介をお願いできますか?
NRQは本当にバンドを組むために集まった個の集まり、みたいなバンドで、仲良しこよしから始まっていないし、バンドで一つの答えを出す、よりも、誰かの意見がでたらそれを100%尊重する、みたいに書いてあって、なかなかにすごい方々だなと思ってます。
わたしが何を紹介できるのだろう、プロフィールとはちがうよなあ、と。2年前も読んだんだけど、このインタビューに色々書いてありかなり面白いです。
−おお、ありがとうございます。(数十分、無言。インタビュー読む)このインタビュー、すごいですね……。これまでもっていたNRQ観がひっくり返ってしまいました。いやー、オレは何も知らなかったんだな(笑)。
* 「牧野琢磨・トリオ・パッカサタン」:2023年結成。NRQや湯浅湾、Summer Eye Sound Syndicateなどでギターを弾いている牧野琢磨のリーダートリオ。自身の好きな曲・演奏したい曲群、謂わば“人力プレイリスト”を演奏する。レパートリーはラテン、クンビア、ソウル、ジャズ、アメリカーナの名曲たち。https://www.youtube.com/watch?v=pY6zK8vjMIc
**「みたらし団子ズ」:吉田悠樹+服部将典のユニット。今回は中尾勘ニをドラムに迎え、NRQ4分の3。NRQとの大きな違いは歌心。NRQでは二胡のメロディラインが美しい吉田氏だが、みたらし団子ズではギター片手にボーカルをとり、服部氏も歌う。叙情的な味わい深い歌詞も必聴。名曲スプリングは前野健太氏作詞。
2026年6月13日(土)につくば市天久保1丁目の地下スペース〈aNTENA〉で、NRQのライブが開催される。前回2024年4月に同会場で行われたワンマン以来、約2年ぶりとなる企画は「NRQ祭り」。……って一体、どうゆうこと? 今回は何が行われるの? SNSを介して広がる情報以上のことが知りたくなり、企画者の猿田なつ奈(natunatuna)さんに話を聞いてみた。まずは2年前の企画に関することから───。
-なつなさん、こんにちは。6月13日(土)に開催する「NRQ祭り」に向けて、いろいろ聞いていこうと思います。よろしくお願いします。
朝イチのレコードは、JOEY QUINONES『INNA SOUL STEADY SITUATION』。ジャケットの雰囲気からしてフィーリンっぽいのかなーと思ってたけど、軽めのレゲエではじまる。スカラチャ、スカラチャ、リズムを刻んで徐々にペースが落ちてきて納得。そうそう、期待してたのはこの感じ。マテオ・ストーンマンに似たシルキー・ヴォイス、チカーノソウル特有のテンポ、深みのあるグルーヴ。これは梅雨から夏にかけての重宝盤になるだろう。