2026/05/21

5/21 店日誌

ジャケットのアートディレクションは、『relax』誌のアートディレクターでもある小野英作。使う写真は、小野英作が100本ほどあるベタ焼きを見てセレクトした。/ラヴァーズ・ロックのアルバムにロマンチックな世界観を表わすハートのマークや花のイラストといったヴィジュアルではなく、ルードボーイとかサウンド・システムという要素が強調された写真を使うことが的確なメッセージになっていた。(*1)

5月21日、木曜日。先週入荷した、石田昌隆『Struggle Reggae meets Punk in the UK』を読んではっきりと認識。今も続く人気シリーズ『Relaxin’ with Lovers』は藪下晃正さんと小野英作さん、石田昌隆さんによる三位一体の発明なのだ。2001年にはじまった同シリーズが25年後も続いているのは、この3者の力が大きいはずなのだが、小野さん不在の今後はどうなるのだろうか。

製作陣にケチをつけたいわけじゃない。石田さんの写真はCDもいいが、アナログ盤でこそ映えるのはわかってる。どうもうまく言葉にできないのは、自分も、レコードが好きだからだ(プレス後の即プレミア化はどうも辛いところもあり……)。

音楽を聴くということは、音楽に込められているメッセージを受け取って、自分の中にあるおぼろげな世界地図に具体的なデティールが描き加えられて、少しずつ世界が見えてくることにほかならない。(*2)

ピーター・バラカンさんのラジオ番組やイベント開催、映画上映なども、上記した石田さんと同一の見識の上で行われているのだろう。ピーターさんの活動すべてを追っているわけじゃないし、熱心なファンでもないのだけど、はっきりとそう思う。

*
朝から雨。空気もひんやり。きのうまでの暑さ、湿度はどこいった! なんて言ってもどうしよいもない。このくらいの温度が過ごしやすいし、店には居やすい。18時の短縮営業にして様子を見てみます。

今日も通常営業。新譜レコード、2タイトルの入荷があります。

(*1)p.96 (*2)p.314

2026/05/20

5/20 店日誌


一癖も二癖もある、誰一人としてほかに代わるもののいない演奏者たちとの化学反応を経て生まれた、篠田以外には生み出し得ない、篠田そのもののような音楽。当事者とその周辺にとっては、それは日々生きていくために必要な、生涯変わることのない自身の表現であり、音楽運動であった。(川村恭子)

個性豊かなメンバーが、それぞれの自立性を持ちながらそこで共闘しているようなジャケット写真からも、メンバー個々人の意識を押し除け、肝から湧き上がるような“このグループの意思”が強く感じられるのです。(田口史人)

5月20日、水曜日。今朝いちばんで針をおろしたのは、篠田正巳『COMPOSTELA』。きのうの『1の知らせ』の解説にもあったけど、この時点でのコンポステラってのは表題で、アーティスト名は篠田正巳ユニットであると知る。川村恭子さんによる公式解説、田口史人さんの手製ライナーノーツを読んで、ジャケットをしげしげと眺めつつ耳を傾けていると、いわく表現しがたい厚みを感じる。A面6曲目「カディンカ」における今井次郎の「ヒドイ、ドイ、ド、ドイ!/ド、ドイ、ド、ドイ!」の節まわしは実にお見事。独創的と言うほかない。

ふと思ったのは、今月末30日(土)の「パスカルズ つくば公演」、来月13日(土)の「NRQ祭り」に参加するならば、この2枚はうちの店で売るべきじゃないか……ってこと。時流に乗るようでなんとなく腰が引けていたのだけど、勢いづいたままレーベルに連絡。在庫があれば、今週中にも売りはじめられる。

*
「Revisited ───NRQつくば再訪」というコピーが付くと、新たな見え方がある。天久保1丁目の地下スペース〈aNTENA〉で、6月13日(土)に開催される「NRQ祭り」に向けて企画者・猿田なつ奈(natunatuna)さんへのインタビュー記事を制作中。パッと打ち上げて、消えていくだけの催事にしたくないよねーっていう共通認識を基にして言葉を交わしているところ。

では、今週もよろしくお願いします。5月24日(日)は諸事情により終日休業です。

2026/05/19

5/19 雑記

午前中、郵便局で発送を済ませたのち〈Bespoke〉に向かう。思い付いて〈ベッカライ・ブロートツァイト〉に寄ってみるとちょうどよく空いていて、パンをいくつか買って、また自転車を走らせる。予約していた10時45分ぴったりに到着。ちょっと話して髪を切りはじめて……店を出たのは13時30分! どんだけ話してんだよ! って感じなのだが、やっぱり羽山さんは面白い。今日はカット4:おしゃべり6くらいの割合だったかな。

コンポステラの残したものは未だ成長を続け、日本のインディペンデントな音楽の世界に浸透し続けています。その巨大な流れのメルクマール作として、本作「1の知らせ」と篠田ユニットの「コンポステラ」の2枚は、そこから連なる人脈を追い、歴史を追い、遡り、今を噛み締め、その周囲を確認し、先を見つめることでよりその存在の大きさを確認することができると思います。(田口史人)

帰宅後すぐにシャワーを浴びて昼食、ちょびっと午睡をしてから、コンポステラ『1の知らせ』に針をおろす。円盤/山の湯の田口さんによる手製ライナーノーツ(〈山の湯〉購入分のみの特典)を読みつつ、耳を向ける。「反射する道」「くつやのマルチン」「箱の中の風景」「1の知らせ」「アジールのマーチ」など、曲名が秀逸。どこか乾きのある風景が頭に浮かぶ。

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コンポステラのメンバー、中尾勘二さんが所属するNRQを迎える「NRQ祭り」は6月13日(土)開催! 出演はNRQ、牧野琢磨トリオ・パッカサタン、みたらし団子ズの3組。ただいまご予約受付中。

2026/05/18

5/18 店日誌


5月18日、月曜日。ああ、サイコーに爽やかで、健やかだった! 長年の友人であり尊敬するギタリスト、小池龍平さんが誘ってくれた「みんなで集まって春の日を楽しんじゃおう! Ann Sally LIVE!」はタイトル通りの催しだった。流山市周辺から来たであろう老若男女がホールに集まって、音楽に耳を傾ける。主催者の主張は皆無、装飾は最低限。いい音、いい声を聴衆の耳に届けるための工夫のみ。この手数が絶妙で、アン・サリー(Vo)、小林創(P)、小池龍平(Gt)のトリオを引き立てる。客席からの手拍子が自然だったのも良かったなァ。

つくばエクスプレス、流山おおたかの森駅直結の〈スターツおおたかの森ホール〉もちょうど良い大きさ。広すぎず、狭すぎず、客席からステージがよく目に入る。なんといっても! 音響担当の内田直之さんの技術あってか、音がとても良かった(適度な照明も◎)。終演後、龍平さんたちに挨拶をして外に出ると、まだ明るい。これが何より嬉しかった。

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直近のつくば市内で関わりのある催事は、30日(土)「パスカルズ つくば公演」と31日(日)「棕櫚 開店4周年パーティ」。後者の同日には天久保1丁目〈Club OctBaSS/Bar DISCOS〉で「GoodNears」、同区画〈aNTENA〉では「知久寿焼ソロライブ」もあり。方々が盛り上がってきているので、ご注目を。

今日は通常営業! オンライン・ストア〈平凡〉もどうぞよろしく〜!

2026/05/17

5/17 店日誌


5月17日、日曜日。ブッカー・ティー&ザ・エムジーズ、コンガス、エレクトロ・ヒューマンゲル、タッチ、スカル・スナップス、グレゴリー・アイザックス/キング・ジャミー、ウィッキド・ウィッチ、トミー・ゲレロ&ガジェット、ハービー・ハンコック。常連のイシワタさんが持ってきたレコードたち。ちょっとだけ検索して、ご本人からも教えてもらって、ざっくりと値付け。買い叩くのではなく、当店なりの精一杯の金額を伝えると毎度こころよく了承してくれる。

アートが無力な時代。失意の中、一番の足もと、自らの生活に見つけた小さくもたしかな光。本書は、瓦解する地球を前にして、日本から世界に差し戻す、小さくも、大きな一歩だ。(有太マン)

一昨日の入荷後すぐに売れてしまった、有太マン『生活の実践 「足るを知る」で世界が治る』はおそらく今日再入荷。初回注文が少なすぎたのを悔いつつ、改めてしっかり告知する。小さいけれど中身のつまった本。そのほか、Sapporo Posse『HYPERTEXT #1』も届く予定があり、こんなに注文してて大丈夫か? 少々不安を覚えている。

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引き続き、本の買い取りが沢山あります。どんどん出しているのですが、クリーニングなどの作業もあり、堆積本が増えていく……。催事にも出たいなーと思っているけど、なかなかタイミングが合わず、悩ましい。

今日は10時〜14時の変則/短縮営業です! ご都合合えばご来店ください。

2026/05/16

5/16 店日誌


プリンス・バスターは「アフリカの魂から生まれた文化的革命がスカだ」と書いていたが、スカは、60年代のイギリスで、モッズという、ちょっと不良なワーキング・クラスの白人の若者たちの気持ちを捉えた音楽でもあったのだ。(石田昌隆)

5月16日、土曜日。抗うことが、生きること。なんて秀逸な惹句だろう。石田昌隆『STRUGGLE Reggae meets PUNK in the UK』を読みだして、冒頭から引き込まれる。クラッシュ、ロード・キチナー、プリンス・バスター、ジョージィ・フェイム、エディ“タンタン”ソートン、リコ・ロドリゲス、アーネスト・ラングリン、ボブ・マーリー、デニス・ボヴェル……彼らの音楽と思想、時代の状況が併走して語られるからたまらない。なるほど! へー! とか、いちいちうなずき驚きながらページを繰っている。

ザ・クラッシュのデビュー・アルバム、UK盤『The Clash』の方向性を決めた決定的な2曲、〈White Riot〉とカヴァー曲〈Police&Thieves〉は、いずれもノッティングヒル・カーニヴァルとジャマイカからの移民の存在が大きく関係していた。

って書かれる箇所でゾクリ。ジョー・ストラマーやポール・シムノンが出かけた76年のノッティングヒル・カーニヴァルで「Police&Thieves」が爆音で流れまくっていたらしく、クラッシュがカバーした理由がわかった気がして嬉しくなった。意味よりも衝動、共感、連帯。1976年、時代の震動あってのパンクロックなのだと再確認した。

上記『STRUGGLE』と同時に入荷した有太マン『生活の実践 「足るを知る」と世界が治る』はあっという間に完売! 早ければ明日には再入荷する予定なので、しばしお待ちを。Type Slowlyからはリコ・ロドリゲスのTシャツも届きます。

今日も通常営業! 明日17日(日)は10時〜14時の変則/短縮営業です。

2026/05/15

5/15 店日誌


5月15日、金曜日。ジム・ジャームッシュ、デヴィッド・バーン、こだま和文、佐伯誠、矢内原伊作、エリック・ホッファー、梶谷いこ、ハン・ガン、リチャード・ブローティガン、小野和子、都築響一、小林エリカ、菊地成孔、佐野元春、藤本和子、ヨーゼフ・ボイス、小西康陽、などなど。きのうも沢山の本を買い取りました。今日明日で値付けして、棚に並べていきます。

お隣カフェでは「手差ユニッツ『メザメザメ 春』刊行記念展」がスタート! 大小の作品に加えて、Tシャツやトート、ZINEといったグッズも色々あって楽しいです。会期は6月1日(月)まで。

今日明日は通常営業。明後日17日(日)は短縮営業(11時~14時)です。

2026/05/14

5/14 店日誌


5月14日、木曜日。朝イチで見つけて、びっくり! DETERMINATIONS『I’ve Got You Under My Skin/Lone Gazer』と『Ska Champion/Love Me Do』の7インチ・リリース! Gary Panter『Pray Fot Smurph』と一緒に予約注文を済ませると、OVERHEATの石井淑子さんから「ゲイリーの作品、カッコいいんですよー!」とメッセージをもらって心が弾む。う〜ん、嬉しい! デタミネーションズのリリースはもちろん、ゲイリー・パンターの名前がこんなにも身近になったのは石井さんご夫妻と佐藤拓人くんのおかげだ。

*
ひと息ついて、Jackie Mitoo『In London』に針をおろすと、なにかおかしい。……こんなアルバムだったか? 首をかしげて、先に持っていた盤に針をおろしてみると、ん? 曲が違う。ってか曲順が全く別だし、ジャケットには1曲多く書いてあるしで大混乱。なんなんだ、これは(泣)。

整理すると数年前に買った『In London』は片面6曲ずつなのだけど、先月預かった盤は片面に7曲入っているにも関わらず、レーベル面には記載なし。では裏ジャケの表記が正しいのかといえば、そうじゃない。ぐちゃぐちゃな曲順で、聴きながら書いていても把握できない。

こればかりは1人では把握は不可能。誰かしらと一緒に1曲ずつメモりつつ、曲の正誤も確認しながら聴いてみないとダメだ。先に持っていた盤は6曲ずつの12曲収録、曲名と曲順も合っている(はずだ)から参照盤にできる。

ではでは、今日も開店! お隣カフェでは「メザメザメ」の展示がはじまります。

2026/05/13

5/13 店日誌


5月13日、水曜日。今朝のレコードは、Sol Hoopii『Master of the Hawaiian Guitar』。何年か前に魅惑のオンライショップ〈パライソレコード〉で買っていたのをなんとなく気が向いて取り出して、針をおろしてみると、これがまぁ! すばらしいじゃないか。A面冒頭はジャンゴ・ラインハルトみたいなジプシー・スウィング、続く曲はエキゾチックかつストレンジな気配が漂うハワイアン、歌が入ると軍歌っぽく聴こえたりして面白い。

パライソレコードの紹介ページをひもとくと「ジャズ〜ラグタイム〜ブルーズなど米国本土でも演奏活動した彼による幅広い選曲からなる超絶プレイはジャンゴラ・インハルトなどのオールドタイムスウィングとして聴くこともできます」とあって、納得。こんなにも丁寧で適切な紹介文、しっかり読んでいなかったのか……。

急に駆け足になったり、そうかと思えば道草をしたり、近道を選んだつもりが行き止まりで、もと来た道へ戻らなければならなかったり、振り返って見れば、私の人生はそんなことの繰り返しであった。(永井龍男)

出先で目に入って買っていた永井龍男『東京の横丁』を読み出すと、不思議と心が安らぐ。東京神田駿河台での少年時代、文学との出会い、文藝春秋の会社員時代、鎌倉で迎えた終戦、作家として独立。大袈裟な表現を用いずに綴られるから、読むうち親しげな気持ちが増してくる。

今日も通常営業。オンライン・ストア〈平凡〉もどうぞよろしく。

2026/05/12

5/12 雑記


定休日。どこに出かけるわけでなく、午前中は店でトートバッグの到着を待つ。午前中指定にしたものの、なかなか届かず、その間にいくつかの連絡ごとを片づける。電話、メール、ダイレクトメッセージを使って声を交わす。おおむね順調。ちょっと先の約束があれば、しばらくはやり取りが続くであろう話もある。できるかぎり丁寧に。小さなことも誤魔化さずに進めていく。

11時55分に荷物を受け取り、車を走らせる。今年はじめての〈かつ善〉でも大リーグ中継が流れていた。食したのはロースA(130g)。付き出しの漬物とお茶、味噌汁がちょうどいい。次は夜にきて酒が飲みたい。

2026/05/11

5/11 店日誌


5月11日、月曜日。う〜〜〜ん、やっぱりスゲエ! 来週18日(月)発売のEXODELIC『Kind a Little Stupid/Life On the Planet』に針をおろして、唸ってしまう。カセットテープでリリースされた『ROCK ‘EXODELIC’ STEADY』からのシングルカットのわけだから曲は知っていた……のだが、体感が大きく異なる。7インチ用のアレンジが加わっているのもあるけど、これは何だろう。より宇宙的に、曲線状に曲のスケールが大きくなったと書くと伝わるだろうか。もはやロックステディとか、そういう括りでは説明できなくなっている。

くだんのカセット『ROCK ‘EXODELIC’ STEADY』は今週中には再入荷予定。こういう作品がリリースされてるってのは大きなこと。自主製作で当たり前。大きな広告、キャンペーンがなくても、届くべきところには着地するのだ。

*
それにしても、きのうはヒマだったなァ。隣のカフェ、近所のメイも同じだったようで、「まあ、こんな日もあるっすね〜」と慰め合い、にこやかに帰路についた。ぶうぶう、あちこちに悪態をついてる場合じゃないだろ! とツッコミが入りそうだけど、本音なのだから仕方ない。

さあ、今日はどうなりますか。オンライン・ストア〈平凡〉もどうぞよろしく。

2026/05/10

5/10 店日誌


5月10日、日曜日。埼玉、千葉、伊勢、あとはどこだっけ……そんなに沢山ではないんだけど、わりに遠方から足を運んでくれる人が増えている。お会計時に「お近くですか?」と聞いてみると「いや、まあ×××です」「⚪︎⚪︎⚪︎からきました! 遠かった〜!」とか色んなふうに応えてくれる。驚きつつ、お礼を伝えて、求めがあればお薦めの場所を教えたりもするのだけど、当方には選択肢なし。食事は大成軒。古着ならメイ。レコードならばグッドニアーレコーズ。ぜんぶ天久保地区である。

とある雑誌からの依頼は、旅にぴったりの本。当店ならば茨城県、もしくはつくば市で。なんなら行くべき場所も挙げてほしい。って、そんなの無理でしょ! 行くべき場所は各自が勝手に見つけるべし。迷って、落胆してもなお訪れたい街があるならば粘って、歩いて、ピンときた店に入ってみたらいい。

とか言いつつ、なんとか1冊紹介したのだけれど採用されるか不安はある。掲載無しならばそれでよし。この10年くらいで広がってる「個人的街案内」が苦手だし、「行くべき」「回るべき」だのってのは正直わずらわしい。スタンプラリーじゃないんだから。

今日も通常営業! 在庫確認、予約、通販などのお問い合わせはお気軽に。

2026/05/09

5/9 店日誌


「ビッグウェンズデイ」の文庫本がある。デニス・アーバーグとジョン・ミリアスによる映画が有名だが、自分は文章になった「ビッグウェンズデイ」を愛読している。大好きで何度も読んだ冒頭のシーン。酔いどれマット・ジョンソンが海辺でまるで浮浪者のように倒れている。金髪に古びたハワイアンシャツ、あちこちが破れたリーバイスに裸足だった。(松浦弥太郎)

5月9日、土曜日。松浦弥太郎『くちぶえカタログ』のブルース・インターアクションズ版が刊行されたのは2005年2月。横長版系の随筆集で衣食住に加えて職、本、旅がテーマになっている。扉ページにサインが入っていて、カバーはボロボロ。若い自分なりに読み込んだのは間違いない。このなかの「本」で紹介される「ビッグウェンズデイ」を読みたいと思ったまま、約21年。安く見つけたいなーと、あちこちの文庫棚で目を皿にしても見つからず、探していたことすら忘れかけていた数日前、ネット書店で見つけて注文した。

読みだすとすぐマット・ジョンソンのシーンになるのだけど、松浦さんのテキストを基に、自分なりにイメージしていたのとはちょっと異なるものだった。マットは酔いどれ爺かと思っていたけど、まだまだ若くて無茶のきくサーファー。両脇にはジャックとリロイ───この本は彼らを中心にした青春小説で、とても面白い。「うまくいってないんだな。そうだろう。子供から大人になるってのは、やってみるとけっこうたいへんだろう」って台詞が、腹に応える。

端端で、ジャック・ケルアック『路上』を思い出して、久しぶりに読みたくなる。青山南訳の『オン・ザ・ロード』じゃなくて福田実が訳した、河出文庫版『路上』を手に取りたい。あの本をはじめて読んだのも20年前だった。

*
きのう、顔をだしてくれたのは草加に住んでるダイキくん、絵描きのナツナさん。ぱらぱらとひやかし客。「ここは何屋さんですかー?」と聞かれたら、そのままシャッターを閉めたくなる。高望みしてるわけじゃないのだけれど……。

今日も通常営業! オンライン・ストア〈平凡〉にもご注目を。

2026/05/08

5/8 店日誌


ボブ・ディランは革新者になったが、高田渡は取捨選択のセンスのあるイミテイターもしくはインタープリターである。だがぼくはディランよりも高田渡を愛している。(*1)

高田渡という人は昔から稀代のスタイリストだったのだ。その音楽も、仕事を選ぶのも、酔って人にからむのも、もしかすると何もかも計算しつくした果てのように見えてくる。/ギターはギルド。暮らすのは吉祥寺。飲むのは「いせや」。服の着こなしも、映画を観ていればかなりの洒落者だったことが判る。(*2)

5月8日、金曜日。小西康陽『ぼくは散歩と雑学が好きだった。 小西康陽のコラム 1993−2008』を読んでいる。序盤で好きなのはミッシェル・ガン・エレファント、チャック・レイニー、モータウンから山名昇に繋げるところ。これぞ、テキストでのDJ! なんともグルーヴィ! かつ、モッドなのが最高に洒落てる。「モーツァルトは天才だが、『モオツァルト』を書いた小林秀雄はおそらくモッド。ここは短く笑いを取るところだ」(*1)なんて書ける人、他にいないでしょ。

高田渡に触れた部分を繋いでみれば、酔いどれの好々爺みたいなイメージとは異なる姿がくっきり浮かび上がる。「とりわけ詩に対して、言葉に対しては、まさしく目利きだった」(*2)と始まる節を継ぎ足せば、よりはっきりと輪郭が立つと思う。

*
何曜日だろうが休みの日の過ごし方は大体似ていて、昼前までに用事を済ませて、夕方にはビールを飲みだし、だらだらレコードを聴いている。きのうの昼食は牛久の〈大勝軒〉。ご夫婦の働きぶりが気持ちよく、普通の中華が、普通の量で出てくるから安心できる。数年ぶりに行ったけど、なにも変わっていなかった。

ロゴ・ステッカーのプレゼント、連休中のサービスと書きましたが、好評なので続けます。オンライン・ストア〈平凡〉との共同企画。都合のいい方法でお買い物してくれたら嬉しいです。

今日もちょっと蒸していて、身体が重たい。無理せずお出かけください。

(*1)「身だしなみに無頓着であることが許されるのは」
(*2)「ある日、音楽が大嫌いになっている自分に気付くこと。」

2026/05/07

5/7 休業

今日は休みます。

2026/05/06

5/6 店日誌


5月6日、水曜日。今朝のレコードは『PICK UP HITS』と題されたオムニバス。コーネル・キャンベル、ジャネット・ケイの曲を中心にしたラヴァーズロック・コレクション、これが絶品なのである。ほどよい低音、やわらかく弾むリディム、スムース&メロウなヴォーカル。各面ラストには小品のダブが入ってて、演者はそれぞれ「Ranking Superstar」「Paul」って、テキトー過ぎ! なのだけど、ひたすらに気持ちいい。適温、適度に揺れるジャグジー感。ああァ〜〜〜、今日はこの中にずっと浸っていたいよ。

近頃ちょっと忙しくて、そういうときはプイと仕事場からエスケイプして喫茶店に入ったりします。/いまもちょうどそんな気分で、どこかの喫茶店に逃げ込みたいところ。(小西康陽)

植草甚一から小西康陽へ。クールなようで誰よりもホットな小西さんの文章に、何年ぶりかでハマってる。今日は『ぼくは散歩と雑学が好きだった。 小西康陽のコラム 1993-2008』で見つけた「茶話」がキラリと光った。やあ、ドラえもん。って遊び心がなんとも洒脱。短いものほど素敵に感じる。

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先週火曜から休まず開けてみましたが、さすがにちょいと疲れたので、明日7日(木)は休みます。明後日もそのまま休んじゃおうかなーと思ってるけど、決めきれず。そろそろレコード屋に行きたいんだよなァ。

では、今日も開店! 18時までの短縮営業ですが、ひとつよろしく。

2026/05/05

5/5 店日誌


5月5日、火曜日。もはや曜日感覚は崩壊寸前、火曜に店を開けると混乱はますます極まる。ひとまず、早朝につけたメモ通りに作業を進めた。最寄り郵便局のポストで発送、ゆうゆう窓口にLPを預けたのち今朝までの通販購入分と忘れ物をひきあげて、いったん帰宅。店に向かう道中でいくつかの入金処理をして、古紙回収のゴミを出す。2週間で溜まりに溜まった段ボールを処分してスッキリ! 開店前にここまで済ませられただけで、充分でしょ! (もうビールが飲みたいよ!)

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山名昇さんの旧蔵書をご遺族、ご友人の許可を得て販売中。表紙に「山名用」と記されたリラックスや「山名」の蔵書印が押された単行本、「novo」「noboru yamana」と書かれたものもあり。特殊な古本であることをご理解の上、お求めください。

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今朝のレコードは『King of Dub Rock part2』。針をおろすと「ディス・イズ・レゲエ!」と勇ましい声、ジャー・ラスタ・ファーライ。これこそジャマイカ産のダブ、レゲエって感じのホカホカ具合。キーボードの音が変わってる。タイコの響きが気持ちいい。ひとまずホッコリ、慌てて進めることはなにもないのだ。

今日明日は11時〜18時の短縮営業。お暇があればお出かけください。

2026/05/04

5/4 店日誌


古本屋に行った帰りや散歩のついでに、ときどき私がいた晶文社の「ワンダーランド」編集部に寄っていくんです。「ちょいとおいしいものがある」と私たちを誘って、ごちそうしてくれるんだけど、これが大しておいしくない。でも頑固な方ですからね、自分の基準は揺るがないんです。(津野海太郎)

5月4日、月曜日。ちょっと前に買い取った、植草甚一スクラップ・ブック『カトマンズでLSDを一服』に挟まっていたのは、2008年4月20日(日)付の「朝日新聞」の切り抜き。「植草甚一は終わらない」と題された文化欄の特集で、これがめっぽう面白い。上記した津野海太郎さんの証言はもちろん(『したくないことはしない 植草甚一の青春』にも似たような記述があった)、小西康陽さんのコメントも気が効いている。いわく───

僕には『だった』という過去形が重要。年を取ったら、そう無邪気に宣言はしていられない。貫き通した植草さんには、かなわない。(小西康陽)

同年3月に刊行した自著『僕は散歩と雑学が好きだった。小西康陽のコラム 1993-2008』に関する、ささやかだけど重要な工夫が語られていて、ちいさく唸った。あの本に漂う、寂寥感の基がここにある。もう、若くはない自分に対するある種の諦念───と片付けるには、当時の小西さんは才気煥発なのだけど。

山名さんは別に偉大な人じゃない。/でもいまの、ありとあらゆる音楽のカッコいいところだけを聴き分けるDJみたいな感覚を、誰よりも先に身につけてた人だった。(小西康陽)

小西版『散歩と雑学〜』となれば、どうしたってこの話になる。この「山名昇氏を讃える。」ってのは前著『これは恋ではない 小西康陽のコラム 1984-1996 』にある「バカラックを讃える」が伏線になってる……わけないか。

*
今朝のレコードは、『JAH CHILDREN INVASION』。ニューヨーク拠点のレゲエ・レーベル、ワッキーズ(Wackie’s)が編んだ10曲のリディムはなんとも滑らか、ハイトーンのヴォーカルと相まって室内の空気を軽くする。湿度の高い日にうってつけ。

今日も通常営業! 明日、明後日は11時〜18時の短縮営業です。

2026/05/03

5/3 店日誌


5月3日、日曜日。ふーーーー! どうにか間に合った! オンライン・ストア〈平凡〉で売れたものを持って、数組を郵便ポストに投函。そののち、筑波学園郵便局まで自転車を走らせて、ゆうゆう窓口でレコードと本を発送(空いててよかった!)。帰路のドラッグストアで電球を3つ、昼食の菓子パンを買ってから店にきた。たくさんの空き缶を処理して、棚を整えて、定時に開店。はァァァ……朝っぱらから動き回って疲れた〜。

てなわけで、今日も通常営業です。お暇があればご来店ください。

2026/05/02

5/2 店日誌


ビートというのはリズムを刻むビートではなくて、ビートニクに関して英語辞書を引けば、「打ちひしがれた者」という意味がでてきます。つまり、乞食のようになっている者。ビートとはそういう意味です。だから僕は、社会の枠組みの外に出ることをビートニクは実践していたと思います。(能勢伊勢雄)

ビートとは単なる文学運動なのではない。それは、近代科学文明が突き進むデッドエンドの未来とは別の、もうひとつの未来を夢見た人間たちのヴィジョンであり、ビートからヒッピーへと引き継がれたオルタナティヴなライフ、そのすべてなのだと……。(久保田浩之)

5月2日、土曜日。能勢伊勢雄/聞き手・軸原ヨウスケ『能勢伊勢雄入門』を読んでから、ビートニク、ヒッピー、コミューン、サイケデリックといったカタカナ言葉の意味を再検証したくなった。ビートってのは50年代のアメリカで生まれたケルアック、ギンズバーグ、バロウズに代表されるアウトロー文学運動で、同時代よりも60年代以降のミュージシャン、クリエイターに大きな影響を与えた……ってな感じの把握じゃなく、ビートニクからヒッピー、サイケデリック・ムーヴメントの流れを動的に掴みたい。

ビートが、時代の最良の精神を持つ限られた天才たちだけのものだったとしたら、LSDによって誰もが天才の境地に達し、その精神を分かち合ったのが、60’sのサイケデリック・レヴォリューションだったのだと思う。(久保田浩之)

久保田浩之『オン・ザ・ロード、アゲイン』を読んでみようと思ったのは、そんな気持ちがあったからで、「21世紀のビートニックたちへ」なんて惹句のついた本の厚みにおののくよりも、内容への興味がはるかにまさったからだ。雑誌取材を目的にした著者がアメリカ西海岸に渡ったのは1997〜1998年、インターネット黎明期。ビート〜ヒッピーの末裔たちを訪ねた旅の記録は、想像以上に豊かなものだった。

2013〜2014年に刊行された『スペクテイター』の「ホール・アース・カタログ」、2021年の「パソコンとヒッピー」の序章として読めば、より立体感が増す。なにしろ、久保田氏の一行は存命だったケン・キージーに会っているし、ウェイビー・グレイビーと多くの時間を過ごし、共に〈シェ・パニース〉を訪れてもいる。

と、勢いよく書き出したのはいいけど、まとめられる気がしないので、止めておく。ひと息ついて、植草甚一のスクラップ・ブック『カトマンズでLSDを一服』を読んでいる(「まず自分自身になる意志をもつことが根本的なヒップの条件だ」ってところにビビッときた!)。

*
半年ぶりにロゴステッカーを増刷しました! 1000円以上のお買い物で2枚(白・黒)、1500円以上で3枚セット(緑・白・黒)をプレゼント! 連休中のサンキューフェアは店頭、通販の共通企画。ぜひご利用ください。

ようやっと快晴、いい気分。当店は今日も通常営業です。

2026/05/01

5/1 店日誌

5月1日、金曜日。本降り。家にいて雨音を聞いているのも悪くないなあ、とは思うのだが、店を開けなきゃはじまらない。こんな日だって本を売りにくる人がいたり、買いにくる人もいたりする。今日じゃないと、どうしても都合のつかないことだってあるだろうし、この付近まで出かける用事があるかもしれない。希望をこめた観測を重ねていけばキリがないのだけど、みんな、どこにも出かけない可能性もある。だーれもこないままポツネンとした時間を過ごすことになるかもしれないけど、開けるのだ。

てなわけで、今日も通常営業。オンライン・ストア〈平凡〉もどうぞよろしく。