2026/05/22

5/22 店日誌

6点や7点のような、当たり障りのない点数を付けても、人は誰も憶えてくれはしない。だが、0点やマイナス10点なら、人はその作品に興味を抱き、また採点者のことも忘れられなくなる。音楽に対して強い好奇心を抱かせることこそ、音楽評論家の仕事だと考えるなら、当然のことではないか。(小西康陽)

5月22日、金曜日。小西康陽『わたくしのビートルズ 小西康陽のコラム 1992-2019』を読み返して、192~248ページで展開される「軽い読み物など。」で膝を打ち、ときに唸った。なるほど、そんな見方と聞き方があったとはと驚き、まったく同意! と頷いたり。とにかく読みどころばかり。上記引用は中村とうようの逝去を受けて書かれたブログからの一説で、「彼がクロスレヴューで誰のアルバムに0点を付けた、とか、マイナス10点を付けたとか、そんなことを面白おかしく、あるいは苦々しく書いたのを読んだ」につづくところ。

感動した! って言葉を使わず、音楽のいいところを伝えたい。あの曲のあそこ、ちょっと間が空くところでグッとくるんだ。腹の底に響いてくるよね。そういった抽象的な情動にうまく言葉を与えたい。べつに自分は評論家でも批評家でもないのだけれど。

若い人にはたぶん理解してはもらえないだろう。けれどある日、海苔が旨い、海苔こそはラーメンにおける最も重要な具だ、と知る日があなたにもやってくる。そのとき、自分は伏し目がちに黙って頷くはずだ。

この「眼鏡の弦。」って文章も格別だ。眼鏡の弦の内側、イグジット・スルー・ギフトショツプ、加齢による味覚の変化と話題が移って、ラーメンの中の海苔の旨さを語って閉じられる短文。技巧に長けてて、ユーモアもある。されどエモーションには頼らない。この按配が実にお見事。

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オンライン・ストア〈平凡〉に入荷あり。篠田正巳ユニット『COMPOSTELA』Compostela『1の知らせ』の新譜に加えて、木村二郎、ヨーゼフ・ボイスなどの古本も。気が向いたら覗いてほしい。Pottmann『ふるさと』津村記久子『ふつうの人が小説家として生活していくには』など、再入荷もあり。

って感じで、今日も開店! 明日は通常営業、明後日24日(日)は終日休業です。

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