2026/02/15

2/15 店日誌


2月15日、日曜日。大盛況だった「シリシリ器、祭り」を中途で抜け出したこともあり(とは言っても23時)、朝はけっこう爽やかな目覚め。身支度を整えて自転車で走りだすと、なんともいい天気! あったかい! こうなると身体が求めるのはベン・ハーパー、ジャック・ジョンソン、ドノヴァン・フランケンレイター。世代が隠しきれないのだが、この辺りの音楽をきっかけに色んなものが聴けるようになったのは間違いない。朝霧ジャムとかフジロックを一番楽しんでいた頃だ。

店に着いてすぐ現状復帰をするべく手を動かす。その間に電話、メール、来訪など用事も絶えず、ばたばたしつつも作業終了。その足でコンビニに向かって、割引シールのついた2種を選ぶも意外に高い。うーむと思いながらよく見ると「20円引き」だった(「20%引き」と勘違いしてた……)。

てなわけで、定時に開店! 天気がいいので、気分よし。

2026/02/14

2/14 店日誌


2月14日、土曜日。朝、ウィークエンド・サンシャインが休止と知り、Augustus Pablo『KING TUBBYS MEETS ROCKERS UPTOWN』に針をおろす。手に入れた直後よりも今、この音楽がしっくりくる。低速かつ低空のダブ・サウンド。鋭いか鈍いのか、判然とはさせない刃がギラリと光ってる。暗い部屋で両眼だけがバッキリと浮かび上がる……「ゲットーを覆う厚い黒雲、赤茶けたトタン屋根、街角にたむろする連中、ゴミだらけの道、わだち、水たまり……そして、光と影。社会のさまざまな現実の隠された実態を見事にあばき出し、考えさせ、行動することをうながす」。(*)

いやあ、それにしても。五輪出場の選手たち、話は上手いし、英語も喋れて、ユーモアもある。若いのにしっかりしててビックリ。「ふなき〜〜〜(泣)」みたいな無防備さは、今の時代にフィットしないってことなのかな。あれはあれで思い出深いんだけど。

*
今日の前半、11時〜13時は植田、後半13時〜15時は森本が店番担当です。その後、15時半からは天久保一丁目〈Club OctBaSS〉で開催される「シリシリ器、祭り」で集合しましょう。てきとうにきても楽しめるので、気軽に足を運んでください。

ではでは、今日も開店! 天気もいいし、あったかくてよかったね〜。

(*)『STRICTLY ROCKERS 訳詞でみるレゲェの世界』より

2026/02/13

2/13 店日誌


2月13日、金曜日。テンテンコ、NAT000、かれーらいす、CHIYORI×YAMAAN、チャーハン、Pottmann、tegadeteru、THE PARK BOYZ、二木信、PEOPLE BOOKSTORE、Staple Coffee、シリシリ器、棕櫚、沖真秀。いやあ、すごい並びだ! つくば市吉瀬にある〈シリシリ器〉が企画する「シリシリ器、祭り」はいよいよ明日開催。とりあえず天気は良さそうだし(なんなら、めちゃ暖かいみたい)、オモロい人たちが集まるし、普段とは異なる磁場が生まれるのは間違いない。

会場になる〈Club OctBaSS/Bar DISCOS〉のある天久保一丁目もとい、つくば市内において、こんなにも鋭い催事は他にあったかなあ……たぶん、なかったんじゃなかろうか。「鋭い」ってのは、出演/出店の人たちの新味さもある。力を抜く点、抜き方の角度でもあり、ふざけ方の作法でもある。ああ、ようやっと、心から行きたいなーっと感じるパーティーが現れた。

企画者が見て、面白いと感じた人たちを集める。超! 根本的なことを当たり前にやるのがラディカルなのだ。どうも大袈裟に書いちゃったけど、きやすい催しので、かまえず遊びにきてほしい! 予約不要! 

今日は通常営業です。オンライン・ストア〈平凡〉にもご注目を。

2026/02/12

2/12 店日誌


2月12日、木曜日。年が変わってから東京の街に出ていない……? ディスクユニオンにも行ってないんじゃないだろうか。今のところはそれでOK。家にはじゅうぶんなレコードがあって、店にも買取分を中心にしたCDがたっぷりある。とはいえ、近所のブックオフで音源は色々買っているし、仕入分のサンプルもあるから積み上げた山はどんどん高くなる。こんなに聴けるわけない! そう感じることも多々あるのだが、けっきょく止められないのもわかってる。まだまだ、知らない音楽ばっかりなのだ。

トレジャー・アイルのだれまくった安っぽい音と違い、妙にポップで軽薄で内容の薄っぺらさにかけては超一流! とはいっても、バックの演奏はいい!(やっぱ、ジョー・ギブスの商魂よね、問題は……)

今朝、聴いていたのは『AFRICAN DUB chapter two』。王冠をかぶった牛のジャケットが印象的な本作をレビューした『STRICTLY ROCKERS 訳詞でみるレゲェの世界』が痛快だ。1983年時点で、よくもまあ、これだけのレゲエを聴いていたなーと驚きつつ、好き嫌いがはっきりと出た(ゆ)さんの筆さばきに好感をもつ(書き出しが「フンガァ〜〜〜」なのも最高)。

明後日14日(土)は天久保一丁目〈Club OctBass〉での「シリシリ器、祭り」に出店するため、11時〜15時の短縮営業。後半、13時〜15時は森本友さんが店番してくれます。

今日明日は通常営業! オンライン・ストア〈平凡〉もよろしくどうぞ〜!

2026/02/11

2/11 店日誌

2025年に一日だけ復活したという話は聞くものの、長らく休眠状態にあるバンド、ノアルイズ・マーロン・タイツの7インチ・オンリー2014年作。(…) ノアルイズの志したような音楽を演奏するバンドは絶滅しており、彼ら自身が復活するより他はないと思われます。

2月11日、水曜日。再入荷した、NOAHLEWIS’ MAHLON TAITS with TOMOKO KANDA『TENDERLY c/w DREAMBOAT』が素晴らしい。神田智子をゲストヴォーカルに迎えた両面ともに高品質。夢見心地の5分弱。両曲とも7インチでプレスされてこそ、意味がある。レコードが回ってるあいだ、なにもせず、流れでる音に身を任せていればいい。楽器の旋律と歌声、録音された空気感、ぜんぶの具合がちょうどいいから、何度も聴ける。針をおろすたびにウットリしてしまう……。

本盤はリリース元・Em Recordsの倉庫で発掘された在庫分。「海外の7インチでは珍しくないエラーで、再生自体には問題ないのですが、念のため販売していなったストックですという状態のため、安価で販売しています。ご理解の上でのご購入をお願いします(当店でも返品不可)。

上記作をはじめ、COMPUMA『jimoku』Hanu Hansa『Bangkok Blues』の新譜が入荷。買い取ったばかりの古本も、いつも以上のハイペースで上げているので、オンライン・ストア〈平凡〉にご注目を。

ではでは、今日も開店! 今週もよろしくお願いします!

2026/02/10

2/10 雑記


午前中、買い物に出たついでにワークマンまで明日を伸ばす。ちょうどいいサコッシュ(出店で使えるやつ)と手袋、長靴があればいいな〜って感じで行ってみて、びっくり。手袋128円! 靴下や長靴もメチャ安い! ウワァァァ……こりゃ何か変だぞ……。幸いにもサコッシュでいいものは見つからず、手袋のみ購入して、すぐに装着。外出時に重宝すると思うが、あまりの安価に複雑な気持ちを抱えて帰路についた。

午後、1時間ちょっと店で作業して、オンライン・ストアに商品を何点かアップしたのち帰宅。レコードを何枚か聴いて本を読む。落ち着いてから、さあもういっちょ! 外に出て、〈つるばみコーヒー〉から〈椿野〉へと流れて、蕎麦と日本酒。ビールもちょこっと。徒歩圏内は豊かである。

2026/02/09

2/9 店日誌


2月9日、月曜日。戦争反対、戦争反対、戦争反対って言ってりゃいいんだろ。買い物がてらの散歩中、頭ん中で流れてたのは銀杏BOYZの「人間」だ。一度だけ観られたライヴでもこの曲がいちばん凄かった。遠藤賢司さんの何十周年かを祝うエンケン祭りってイベントで、会場は〈渋谷AX〉だった(懐かしい! ここで観たベン・ハーパーとかハローワークスもよく覚えてる)。峯田は足の骨が折れてて車椅子。エンケンさんは神輿に担がれて登場したような記憶がある。

山口「《戦争反対って言ってりゃいいんだろ》っていうのはすごいショッキングな言葉だったな、俺」 峯田「あれね、自分でもいまいち意味わかってないんだよ。『どういうことなの?』って言われても、わかんないんだな、自分ではあんまり」

そんなんで思い出したのが、『bridge』2005年7月号所収の「峯田和伸 × 山口隆」と題された対談。それぞれへのオススメCD、本のコーナーがあったりして面白かったな。この号、ずっと店にあって、高くないはずだけど売れないまま。「曽我部恵一の10曲」もあっていい号なんだけどなー。

注文していた本を取りに書店にいくと、ポパイが出てる。迷わず手にとり、タクトくんの「軽妙通信」を探してみると……いやあ、今回はスゲエ! ものすごい情報量にクラっときて、いったん棚に戻しておいた(後でゆっくり読みます)。

では、今日も開店! オンライン・ストア〈平凡〉もよろしくどうぞ!

2026/02/08

2/8 店日誌


2月8日、日曜日。いやあ、すごい雪! 投票所に行って帰ってくるだけで、まあまあ難儀した。雪が顔に舞ってくるし、一面真っ白で距離感が掴めず、歩きづらい。普段よりエネルギーを使って徒歩で往復、家の前を軽く雪掻き。こたつに入ったのが10時頃。そろそろ止みそうかな〜と思ってたけど、なかなか弱まらず。出かけるタイミングがうまくつかないまま、外を眺める。

家を出たのが11時ちょっと前。雪が降るなか、長靴でがしがし歩く。いつもの風景が真っ白だ。筑波大も雪景色。見かけたのは、雪遊びをする子供、ランナーの集団、自転車でそろーっと走る人。買取分の入金と発送を済ませて、店にくると、両隣は開いている。店前の雪掻きも済んでいて、ありがたい。

鳥取県で開催予定だった「のど自慢」は中止。代替なのか、伊藤政則の番組が始まった。最近、マサ伊藤の声を聞く機会が増えた気がするのは、オレだけか。

オンライン・ストア〈平凡〉に入荷多数! ぜひ覗いてほしいです。

2/8 営業案内


本日は、降雪のため13時開店です。

2026/02/07

2/7 店日誌


2月7日、土曜日。う〜〜〜寒い! 明日、投票日だってのに雪が降るのか。もちろん投票しにいくけど、このタイミングでの解散、選挙ってのは受け入れがたい。どうせ自民党が大勝、単独過半数、野党第一党に暗雲、みたいな結果になるんだろうなあ。どこに、だれに入れるかを消去法でしか選べないのも、もどかしい……が! 小選挙区は唯一、候補者本人の声が聞けた人に票を投じる。比例はいまも悩んでいる。さあ、どうするべきか。

今日もどーんと買取本が届いている。ここのところ、とにかく沢山の本を触ってる。査定して確認、承諾してもらって支払(この数日で何ターンしたんだろ)。これこそ古物商の醍醐味、ヒイヒイいいながら喜んでいる。買取は常時大歓迎なので、今後ともどうぞよろしく。

てなわけで、今日も開店! 天候によっては早じまいの可能性あり。

2026/02/06

2/6 店日誌

2月6日、金曜日。買い物ついでに立ち寄ったリユース店で『CALYPSO SOUNDS OF THE CARIBBEAN ISLANDS』を発見! なんと10枚組。地獄のカリプソ天国……と意味不明なことを口走ってしまいたくなる約200曲。いま聴いているDISC3は「CALYPSO HIGHLIGHTS & RARITIES 1958/1959」と題されていて、ロード・キッチナー、マイティ・スパロウといった有名どころから、マイティ・テラー、ザ・リグラーズ、ハーバート・ポーターなども入ってる。読み方が判然としないのだけど、LORD IVANHOE & HIS CARIBBEAN KNIGHTSって人の声、めちゃくちゃ良いなあ。

大量の古本入荷に伴って、オンライン・ストア〈平凡〉にも動きが増えている。ちょこちょことアップしているので、気が向いたときに覗いてみてほしい。

てなわけで、今日もよろしくどうぞ〜! 暖かいんだか、寒いんだか、つかみづらいっス。

2026/02/05

2/5 店日誌


2月5日、木曜日。朝、なんの気なしに聴いていた寺内タケシ『エレキギターのすべて』に驚く。B面4曲目の「キャラバン」たるや、なんという解釈だろうか! 解説によれば「エコーマシーンの効果を十二分に活かした演奏」ってことだけど、エキゾ表現が極まった先にはダブがあった……なんて言葉が浮かぶ独特の揺らぎ、溶けるような深みがある。当店の推薦作『ROCK ‘EXODELIC’ STEADY』を好む人ならきっと気にいる(ってか、ビックリしますよ)。当たり前なのだが、音楽表現って底が知れない。まだまだ未知の演奏があると思うとワクワクしつつもゾッとする。

でも音楽を熱心に聴いてるときにすごい思ったんですけど、ギャンブルするやつは自分の好きなコンテンツにたどり着ける確率が、しないやつより圧倒的に高い。(津村記久子)

こんなこと書いてたら、また『ふつうの人が小説家として生活していくには』でのやりとりが頭に浮かぶ。引用しまくるのも野暮なので、短くしておくけど、ここで語られることにも共感した(注:ここでの「ギャンブル」ってのは賭博行為ではなくて、結果が確約されないことを試してみるってことです)。

ここのところ買取が爆増中! 本、雑誌はもちろん音源も混ざっていて、聴いてみてはどんどん出している。「いいなあ」「面白いなあ」と独りごとばかり言いながら、店でも音楽を聴いている。

ではでは、今日も開店! ご来店お待ちしております〜!

2026/02/04

2/4 店日誌

四十七歳のおばはんとして思うのは、大人になって好きなことを仕事にしたいと思ったら、とにかく自分のいま好きなことを掘ったほうがいいって、それだけです。他人がぜんぜん好きじゃないものを自分が好きでも臆さないこと。才能も努力もいらんから追った方がいい。ものにならなくても、その後何かにはなるんです。(津村記久子)

2月4日、水曜日。津村記久子『ふつうの人が小説家として生活していくには』を読んで、つよく共感した。実体験として積み重ねてきたものの、言語化できていなかった感覚が、こんなにも明瞭かつ簡潔に語られるとは……驚きながら、何度もつよく頷いた(「そうだァ!」と手を叩きたくなるほどに)。何事も本質をつかむには時間はかかる。失敗もする。それでも、止められない。ついつい目や耳が向いてしまうものがあるならば、大切にしたらいい。他人にとやかく言われれても手放さずにいたらいい。

ぼくはたまたま、運がよくて自分のやりたい仕事ができていますが、果たして「何者かになれる」というメッセージはほんとうだったのか、たんに騙されただけではないかとも思うわけです。ぼくはいまの時代を見ていると、なにかとても暗い気持ちになります。(島田潤一郎)

夏葉社代表であり編集者の島田潤一郎さんがぐいと前にでる最終部「夢をもつということ」「Perfumeのあとに」で話される内容はズシっと重たいけど、この本の山場だと言える。島田さんの話す「あの二〇〇〇年前後に生き方のモデルみたいなものが一回壊れて、それがそのまま再構築されることもなく今にいたる」ってのは、たぶん本当のことだろう。

あちこちで見かけてもスルーし続けてきた『君は永遠にそいつらより若い』とか『ポースケ』、次にあったら手に取ってみようと思う。『ディス・イズ・ザ・デイ』、『つまらない住宅地のすべての家』あたりも読んでみたい。

では、今週もよろしくお願いします! オンライン・ストア〈平凡〉にもご注目を。

2026/02/03

2/3 雑記


予定ゼロの節分、小春日和につられて近所を歩きまわる。郵便局からマクドナルド、近くの公園を経ていったん帰宅。居間で休んだのち、古着屋〈may〉を覗いたのちに自店で作業をして〈つるばみコーヒー〉まで自転車を走らせる。いったん帰宅後、すぐさま散歩に出て、大穂周辺を散策してあらたな道を発見。桜の巨木や老舗の食堂、かつての街道沿いには、まだまだ見所が残ってる。

2026/02/02

2/2 店日誌


2月2日、月曜日。朝、5時20分に玄関を出ると大きな月がぼや〜んと浮かんでる。懐中電灯を手に歩きだすと、なんとも寒い。むき出しの顔、頭はひんやりした空気に刺されてるみたいで、たまらない。それでも10分、20分と経つうちに身体が暖まってきて、ずんずん歩ける。筑波大の池はカキーンと凍ってる。暗い芝生に人が座ってる。たま〜に自転車、車も通り過ぎる。聞こえる音は多くない。考えごとに集中するうち店に到着、オンライン・ストアで売れたものを回収したのち自転車に乗って走りだす。

徒歩以上の速度になると空気がキーンと鋭くなる。 耳がちぎれそうなほど痛くて、手袋ごしでも指先が冷たくなる。シャカシャカとペダルを漕いでいるとき、雲間から覗いている月が目に入った。どうやら今日は満月らしい。

では、今日も開店! お暇があれば、ご来店ください〜!

2026/02/01

2/1 店日誌


意識が朦朧としているなか、何をとち狂ったか、新シリーズが開始された『ストレンジャー・シングス5』を一気見。悪夢がずっと目の前で繰り広げられていて、アヤワスカで一番しんどい時を思い出した。治ってもしばらく虚無状態。

2月1日、日曜日。ハーポ部長が2025年を振り返る。下北沢にあったブックカフェ〈気流舎〉の追悼アンソロジー本のコミューン 対抗文化のイヴェント記録と通り過ぎた旅人たちの風』(略して『本風』)の編集作業と書店営業、告知催事に追われた1年を濃ゆ〜い密度で綴ってくれた。「正直、編集がわからない。校正がわからない。出版社などで編集者として実務経験を積んだことがない」と書きながらも、出来上がった本の完成度はかなりのもの。当店では今年もしっかり売っていくつもりなので、ご注目を。

自分で上級者向けのラスタ本の翻訳を始めた。Horace Campbell『Rasta And Resistance: From Marcus Garvey to Walter Rodney』。英語の勉強を兼ねての試作だけど、私家版にするだけでは勿体ないんで、翻訳権のこととかよくわからないけど、来年はこれを何らかの形にしたい。

ちらっと書かれる上級者向けのラスタ本がどんな風に刊行されるかが気にかかる。おそらくは自費出版になるのだろうけど、こうした本がしっかりとした出版社から出ていいと思うんだよなァ……。

*
夕方前に届いたマリヲの2作、『タクシーの黒は夜の黒』『リミックスライヴエディット』に瞬時に反応してくれる友人たちに、キミたちも「瞬間直角」な感覚を持ってるよ! なんて声をかけたくなった。意味よりも気分優先、感覚的に楽しんでくれる人がいて嬉しいし、頼もしい。

今日も通常営業! オンライン・ストア〈平凡〉もよろしくどうぞ!

2026/01/31

1/31 店日誌


アンダーグラウンドでもインディペンデントでも、オルタナティヴでもなんでもいいが、そこがメインストリーム予備軍の溜まり場だとしたら、僕にとってこれほどつまらないことはない。

1月31日、土曜日。森本英人が2025年を振り返る。近年、「ZINE」にはじまり「アンダーグラウンド」「インディペンデント」「オルタナティヴ」なんて用語を眼にする機会がとても多いのだけど、どうにもお飾りのように思えてしまう。自己発信のメディアをとおして声を上げるのは大事なのはわかっていても、なにか違う、ピンとこないときもある。流行ってるから悪いわけじゃない。みんな同じで、別にいい。そもそも、自分にとやかく言う権利はないし、違和感があるなら距離を取ればいいだけなのだが……。

どれもとてもローカルで、ときにとてもパーソナルなテーマ、歴史のエアポケットに落ちたまま忘れ去られてしまった出来事にフォーカスしているのに、時間をかけて丁寧にホコリや泥を取りのぞいたさきに見えてくるものに、一転して親密な、現在の自分とどこかで確実につながっているという感覚を覚える。

なにが正しくて、間違ってるのか? 真贋を見極める眼がない自分には、こうして実感を伝えてもらうのがいちばん確かだ。惣田さんが書いていた「実存を確かめ合って、それから少しだけ対等でいられる」ってのを実践するには、ソーシャルネットワーク越しでなく、対面で言葉を交わす機会を増やしていくしかないのだろう。

*
冷た〜い風の吹くこの数日、店はとても静か。その分、買い取ったものの仕分けや、値付け、棚出しが進んでいる。本を触って、棚を見てるときに浮かんだアイデアを試してみると見え方が変わる。それが何より面白い。

今日もいろいろ入荷あり。お暇があれば、ご来店ください。

2026/01/30

1/30 店日誌


紙やブログ、対面では話せることや受け取れることが増える。わたしは対面ではめちゃくちゃ顔に出るけど、SNSで見えてるところだけで理想を固められても困る。そこに辿り着くまでの移動を経て、実存を確かめ合って、それから少しだけ対等でいられる時間を過ごせるようになるのかもしれない。

1月30日、金曜日。惣田紗希が2025年を振り返る。昨年10月の「ASHIKAGA SOCILAL SPOT」で久しぶり(10年ぶり……かも)に顔を合わせた惣田さん。ノリがよくて話が早くて、やりとりが楽しい。とはいえあんまり馬鹿面してるとマズいかな〜と思ったりもしたのだけど、とくだん怖さは感じず、純粋に再開を喜べた。それにしても、昼間のイベント中から打ち上げまでずーっと飲みっぱなしだったなァ(後からくる人、みーんなビールを持ってきてて、無限のループに陥りかけた)。

打ち上げでは金井さんと植田さんがジジイぶりを発揮していてやかましかったけど、片付けを終えて合流した牧田さんがそのふたりの上を行くやかましさで全てを覆い尽くしてきたので、金井さんがおとなしくなっていた。

惣田さんが参加してくれたことで、例年とは異なる空気、ある種の緊張感が生まれたのも事実。参加者それぞれの持ち寄るものが合わさって生まれるものは、前もって予期できないから面白い。に、しても! 牧田さんって面白い人ですよねえ!

*
けっこう暇だった昨日は18時過ぎにきた〈つるばみコーヒー〉の店主に助けられた(グーグルマップに載ってるじゃん!)。名古屋帰りのツチダくん、居合わせたヒナちゃんとの会話には新鮮味があった。

さあ、今日も開店! オンライン・ストア〈平凡〉もよろしくどうぞ〜!

2026/01/29

1/29 店日誌


本を作ることも、障害のある方と向き合うことも、大切なのは具体性であり、AIやChatGPTの発展によって現実「らしい」映像や、人間「らしい」応答が蔓延るいまの世で、これからの自分が向き合わなければいけないのは「らしさ」の虚飾を剥ぎ取った圧倒的な現実と人間なのだと感じます。

1月29日、水曜日。土井政司が2025年を振り返る。大阪市東淀川区淡路でサイクルショップ〈タラウマラ〉を営む土井さん、という文言を添えて紹介してきたのだけど、インスタグラムで今年4月をもっての閉店が告知された(中古自転車の仕入が困難になったことが要因とのこと)。JR淡路駅からタラウマラに向かったのは去年の2月。途中で迷って交番で軌道修正、さらに道ゆく人にも教えてもらってどうにか到着! やっとこれた! 気合いを入れて入店すると「あ、植田さん!」と土井さんから声をかけられてびっくり。雑誌でみてたから〜とニコニコしながら話してくれたのをよく覚えてる。

あの街区の雰囲気、店内の空気、たまたま居合わせたキングジョーさんとシノさんがかけるレコードの音。土井さんの語り口。忘れられないなあ。まだ営業は終わってないし、この先どうなるかはわからない。感傷にひたるのも好きじゃない。だけど、やっぱり……この知らせには動揺した。

*
当店の支店であるオンライン・ストア〈平凡〉のロゴを新調! 広島のシンちゃんことシンタニユウタによる作字。看板を付け直したみたいで気分一新、引き続きのご愛顧よろしくお願い致します。

今後しばらくは通常営業。本の買取、在庫確認などのお問い合わせはお気軽に。

2026/01/28

1/28 雑記②

チェックアウトまでは無理せず部屋で休む。シャワーを浴びて、ベッドでごろごろ、うとうと。10時前にホテルを出て歩いていくと駅前では河村たかしが演説中。アクのつよい名古屋弁で威勢よく話すのを横目に〈ブラジルコーヒー〉を再訪問、モーニングを注文する(480円!)。店内の年齢層は50~60代、もっと高齢と思われる方がいたり、タバコを吸いつつ新聞を広げるオジさんもいる。音楽はロック、ジャズ、ワールドミュージック。朝の光が気持ちいい。お客さんはそれぞれ好きなように過ごしてる。いい店だな〜としみじみ感じ入る。ほぼ毎晩ライブがあるってのもすごいよな〜とか考えてると、ナツナさんが登場。ちょっと話して店を出る。

ホテルでざっくり調べた道順を頼りに歩き出す。目指す歩道橋を渡って路地に進むと、落ち着いた街区にある〈TOUTEN BOOKSTORE〉が目に入る。ガラガラ引き戸を開けて「なるほど!」とすぐに納得。10時から開けてる意味がよくわかる。アエラなんかの雑誌もある普通の書店(町の本屋ってやつ)をやってるんだな。京都の〈誠光社〉を思わせる棚をじっくり見て、1冊購入。せっかくだからとコーヒーも注文して2階にあがる。いやあ、よくできてる。こんな店が近くにあったら嬉しいよな〜とか、自分の店を顧みたりして、しばし沈思黙考。やっぱり、たまには外に出ないとダメだよなあ。

改めて金山駅まで歩き、地下鉄に乗車。栄で乗り換えて名古屋駅で下車。最後に時間をつぶすべく最寄りの三省堂書店に行って、またびっくり。なんせ、すっげー広いのだ! 当然ながら本もたくさん。お客さんもいっぱい。あちこちでフェアが開催されてて著者の色紙も目に入る。こりゃスゲエな……と圧倒されながら歩き回って気がついた。ここが三省堂の本店なのだ。そっかそっかと頷きつつ店を堪能。13時前までたっぷり楽しませてもらった。

13時半発の新幹線、15時半発のつくばエクスプレス快速と乗り換えて、16時過ぎにはつくば駅に着いていた。

1/28 雑記①


名古屋に行って、帰ってきた。(1/27→28)
昼間に新幹線で名古屋に着いて、地下鉄全線24時間券を購入したのち東山線~名城線と乗り継いで、自由ヶ丘駅で下車。数年来の知人であるフジタさんの店〈MOL〉を目指して歩き出すも……まったく見つからない! 手がかりゼロ。これは絶対違うと引き返して交番で道を尋ねると真反対。あそこの信号を右で次を左で〜と教えてもらって仕切り直す。それでもさらに迷って、フジタさんに電話で教えてもらってどうにか到着。わかっちゃいたけどピシッとした洒落た店。コーヒー豆を買って帰ると、なんとまあ! めちゃ簡単に駅に戻る(なぜ迷ったのか……)。

再度、地下鉄に乗り伏見を目指す。目的地は〈大甚本店〉。地上にあがるとすぐに見つかる。15時45分の開店前にはちょろっとした行列ができていて、最後尾につく。まもなく開店、活気のある店員さんたちに案内されて1人席でビールを注文。食事はずらっと並んだ小鉢から各自が手に取り卓につく(残った皿で会計する)。店内の声に耳を傾けつつ、大瓶2本。つまみを3皿。これで2000円ちょい。そりゃあ愛されるわけだと納得する。

店前の階段を降りて東山線から名城線、金山駅に到着してびっくり。街が大きい。人がたくさん。どことなく新宿っぽい猥雑さ。刊行案内所でホテルの場所を聞いてチェックイン。街をてきとうにぶらついたのち、〈ブラジルコーヒー〉に入る。展示開催中のナツナさん、旧知のイケさんとワーワー話して、ツチダくんにも挨拶。遠くまで来ちゃったよ〜って感じで話してるうち、演奏開始。ナツナさんのライブ・ペイントが確実に進化(深化かな?)していて、唸る。お客さんもけっこう来てて、いい雰囲気。ビールを飲み飲み、堪能してたらいつのまにか終わっていた。

やや酔いながら、ホテルに帰りつき、すぐに寝る。

2026/01/27

1/27 連休

今日、明日は連休です。

2026/01/26

1/26 店日誌


それもそうですわ。わたしはOctBaSSやGOOD NEAR RECORDSにばかり遊びに行くし、そっちの方に引っ越したらどこに出かけるのだってもっと簡単になりますわ。素敵ですこと。引っ越します。引っ越しました。

1月26日、月曜日。Kossi Caldwellが2025年が振り返る。こしのかんばい、なんとも個性的な人なのだけど、会うとなぜか安心させられたりもして不思議なんだよなァ。彼女の表現、というべきか音楽活動はこれまた言語化が難しくて、いまだに腑に落ちていないってのが本当のところ。まったく嫌なわけじゃないし、興味を持たせてくれる部分もたくさんある。だけど、まだ確かな手ごたえを得られてない。今年は意識的に彼女のつくるものに触れてみようと思ってる。

いやあ、それにしても! 昨夜のDJ PINのプレイには圧倒された。楽しい、面白い、とかじゃないんだ。目の前で生成する変異体音楽を浴びつづけて、声も出せずにいた70分(イエー! とか、ヒュウ! も発声できず)。エレクトリック・マイルスが進化を止めずにいたら、こうなってたんじゃなかろうか……つーか、これをマイルスにみてほしい。そんなことを考えていた。

DJ PINを招いて、パーティーを企画したエスプラくんに拍手を送りたい。なぜ、アイツがここまでこだわったのか、理由がわかった気がした。実験じゃないし、変態でもない。笑みをたたえつつプレイするピンさん、いい雰囲気だった。

さあさあ、これで今月の山は越えたかな。27日(火)・28日(水)は連休です

2026/01/25

1/25 店日誌


外国人著者による日本論から始まり、民俗学的な本、聞き書きの手法で書かれた本へと進み、最後はなぜか爆弾犯の本へ。音楽に例えるならば、民謡からフォークソングを経てアナーコ・パンクに着地という具合か。ちなみに、途中から左の方へ旋回しているのは、10月に映画館で観た、レオナルド・ディカプリオが急進的左翼を演じた映画『ワン・バトル・アフター・アナザー』の影響ですね。

1月25日、日曜日。青野利光が2025年を振り返る。ご存じ、『スペクテイター』編集長。事務所は当店から車で5分、家から歩いて10分ちょっと、まごうことなきご近所さん。最新号ができたときはもちろん、バックナンバーの注文にも直納品してくれる。誰よりも早く仕上げてくれた原稿の飄々とした語り口がなんともいい味。「なんともはや、ユルユルで場当たり的なチョイス」と表する読書MIXを作ってくれたのも嬉しかったなァ。

個人の行動が可視化され、管理が加速する現代において、定住を拒む「漂泊」という生き方は、いかなる意味を放つのか。日本の歴史と民俗を辿り、現代人が失った精神の根源を掘り下げる、あらたな旅への案内。

スペクテイター55号の特集は「にっぽんの漂泊民」。先に、京都の〈誠光社〉から刊行されていた島村恭則・畑中章弘『オルタナティヴ民俗学』と響き合う箇所も多いと思うので、合わせて読んでもらえたらなお嬉しい。

今日も通常営業! 本の買取り、在庫確認などのお問い合わせはお気軽に。

2026/01/24

1/24 店日誌


朝、白い天井。ついさっきまで、どこかにいたような感じがすると思った。まだ胸がどきどきしていて、ぼうっとしていたら、夢の内容を思い出した。悲しい夢は本当のことよりも息が長いと思う。振り返って残っているものはしみじみとあまく、戻っていくわけでも止まったわけでもなく、永遠になったふるさとなんだろう。あたらしいふるさと。

1月24日、土曜日。森本友が2025年を振り返る。わりに前から知ってはいるのだけど、なにを考えてるのかよくわからず、しばらく不思議な人(死んだ言葉をつかえば「不思議ちゃん」ってやつ)だなーっと思っていた森本さん。近年ちょっとずつ輪郭が見えてきたような気がしてきて、やり取りしやすくなったかな〜いや、いまだによくわからん! なんて感じでぐらつきながらも楽しく付き合えるようになった。彼女はいま、当店での「ふるさと」フェアに参加している。個展じゃなくて販売促進のための催事だったはずなのだが。

PEOPLE BOOKSTOREで個展開催中の森本友さんのアナザーサイドの展示がが本日より焙煎所で始まっています。詳細は後ほど。(*)

いつのまにか、近所の〈千年一日珈琲焙煎所〉で展示がはじまっていた。個展じゃない催しが勝手に派生した「アナザーサイドの展示」。なんのこっちゃい。でも、それが全然嫌じゃないし、いい感じに盛り上がってくれたらいいなーと思う。

きのう届いた『Spectator』55号の特集は「にっぽんの漂泊民」。まず、丸尾末広による表紙画がビシッと目に入る。肝心の内容は、過去の名特集(「禅」「わび・さび」「日本のヒッピー・ムーヴメント」)を引き継ぐものになっていて、手ごたえあり。

今日もいろいろ入荷予定あり! オンライン・ストア〈平凡〉もどうぞよろしく。

2026/01/23

1/23 店日誌

『シビル・ウォー』『サブスタンス』『愛はステロイド』『スプリングスティーン 孤独のハイウェイ』と、残忍もしくは陰気で自意識こじらせたようなやつ、他人への共感能力に決定的な欠如のあるやつが出てくる映画ばっかり観てたように思います。

1月23日、金曜日。キングジョーが2025年を振り返る。いやあ、ジョーさんが参加してくれたのは嬉しかった! 映画を数多く観てる人はそれなりにいるけど、こんな風に言語化して、印象を伝えてくれる人は多くない。どれだけの数を観て、がんばって劇場に通ったかって話じゃなくて、個人的な興味を熱源にしながら静かに映画を観続ける。そんな人がまわりにもちょっとだけいて、彼・彼女の話を聞くのが好きなのだ。

あと大きかったのは、10年近く集めてたタイのレコードでミックスCDを作ったこと。アジア音楽と文化を“タムブン”の精神で伝えるメディア”てんぱりてんぷる”やタイ音楽DJのKO MEGさんによる活動を見て「おれもなんかしたい」と思い立ったことがきっかけでした。

昨年、当店でもたくさんの方が反応してくれた『THE GODFATHER OF THAILAND』。3部作構想だったとは完売してから知ったのだけど、ということは、たぶん今年も何かしらがリリースされるわけだ。そうなりゃ当然仕入れるし、ジョーさんを招いてなにかできたらいいなーとも考える。

午前中、理髪店〈Bespoke〉に行ってきたため、開店が遅くなりました。ちなみに、来週27日(火)・28日(水)は連休です。それ以外の日は通常営業。

てなわけで、今日よろしくお願いします! 新刊の入荷予定あり〜!

2026/01/22

1/22 店日誌


驚いたり悩んだり、違和感、徒労感とか。でもそれも結局のところ、突き詰めれば自分自身のもんだい。このままどんどん自分のあれこれを切り捨てていって、私の中の空洞がもっと広がれば、芸術のちょうどいい容れ物になれるかな。

1月22日、木曜日。河野友花が2025年を振り返る。河野さんのテキストが読みたいからこの「振り返る」シリーズを続けてるといって過言じゃない。だって、こんなこと書ける人、オレは他に知らないんだもの。感情を込めつつ、抑制の効いた言葉選びがされていて、スーッと身体に入ってくる。本、映画、音楽のリストを見るだけでもじゅうぶんに楽しめる。今年は息子の泰然くんも参加してくれたのも嬉しかったなあ! 河野さん、来年以降もよろしくお願いします。

ピープルでは、わたしのつくる雑誌の即売会をやらせてもらい、やはりピープルまわりの愉快な仲間たちが開催するイベントにも呼んでもらいました。そのほか、様々なイベントで商品について喋りまくりました。当たり前なんですが、ちゃんと説明すると売れるんですね。

つづいて、金井タオルが2025年を振り返る。受け取ったときに、この短さ! 淡白さ! 最高だなーと感じたのをよく覚えてる。泣いたり泣かせたり、心震わせなくていい。こういう人がいてくれないと、20人に頼んでる意味がない。テキスト・ウィズアウト・ソウル。ぱっと見、魂のこもってない文章だけど、金井さんって人がここにいる。

この時代、何かしらの危機感を抱かずにいるほうが難しい。ニュースに耳を傾ければ嫌なことばかり。SNSは余計な動画を延々と垂れ流す。だけど、危機感が高まり過ぎてエモーショナルになっていくのも危険だと思う。やたらにソウルフルな言説にも要注意。できるかぎり平静を保って、穏やかに暮らしていきたい(にしても、また選挙なんだもんなァ……)。

今日は通常営業! 明日23日(金)は13時〜19時の短縮営業です。

2026/01/21

1/21 店日誌


古本屋しかない時代だった。新本屋には売ろうにも商品がないのだ。戦争で版元が潰滅したので、新刊書が出ないのである。その空白を古本屋が一手に引き受けた。(種村季弘)

1月21日、水曜日。種村季弘『書国探検記』の冒頭に置かれた「シークレット・ラビリンス」は戦後まもなくの書店状況から語り出され、実感的な古本屋讃歌へと展開していく。種村氏いわく───「古本屋の書棚の蔭では何が起こるかわからない。能率的な本探しのための配置はない、とばかりも言い切れないが、整理しようにも整理のつかない本がある。すぐお隣に並んでいても、時代が二ケタ三ケタとんでいるのが珍しくない」。こんなお客さんがいるならば、とっ散らかった古本屋も悪くないと思えてくる。

ひとりの人間が長年買い集めてきた本を買い取ることは、その人の人生と向き合うことでもある。同年代の人生に向き合うことは、自分の人生とも照らし合わせることになる。

代々木上原駅のすぐそばにある古書店〈ロス・パペロテス〉店主、野崎雅彦が2025年が振り返る。 渋谷で用事があるときは大抵代々木上原駅で下車、20分ほどかけてちんたら歩いていくのがちょうど良い。必然的に野崎さんのお店に顔を出すことが増えて、去年はたくさんお話を聞かせてもらった(何冊かの探求書との出会いもあった……!)。数少ない同業の先輩。聞きたいことはいくらでもある。

今週は23日(金)のみ13時開店、その他の日は通常通りの営業予定。古本はもちろん、新刊書や新譜にも動きが多くなりそうなので、ご注目を。オンライン・ストア〈平凡〉やインスタグラムとも連動して紹介していきます。

店内暖かくして営業中。本の買取、在庫確認などのお問い合わせはお気軽に。

2026/01/20

1/20 雑記

滋賀県彦根市〈山の湯〉に向けて古本を一箱発送したのち、久しぶりで〈かつ善〉へ。口開けで入店すると、最後まで他の来店はなく、テレビの音を聴きながらゆっくり食した。市内のとんかつ屋ではここがいちばんちょうど良い。

そのあと、夕方前に買い物に出た以外はほとんどコタツの中にいた。種村季弘『人生居候日記』はダシの味が染みこんだ煮物みたいな本。「不景気でも、不景気でなくても、しみじみ不景気に飲みたがる人がいる。そういう人が、小出しに、かつ濃密にしみじみと、片隅のお店を猫みたいに膝にのせて撫でている」と閉じられる「片隅の飲み屋」がとてもいい。ああ、飲み屋に行きてェなあ。

2026/01/19

1/19 店日誌


1月19日、月曜日。知人があげていた写真をみて、老けてるな〜洒落てないな〜とちょっとショックを受ける。まあ、実際42歳で若くないし、日頃からオシャレしてるわけじゃないし、酔ってたわけだし……言い訳めいたことを頭の中で転がしてみても、それなりに落ち込む。自分は確実に年をとったのだ。知り合いの美容師さんに「そのままでいいんじゃないか〜」と言われたのは嬉しかったが(別件だけど)、うーん。やはりこのままじゃダメだよなぁ。

筑波大学のなかを歩くのが楽しい。武道場あたりからズーン、ドシーンと音が聞こえる。相撲場では機械音。別のところではチア? かなにかのダンスの音楽。サッカーボールを壁にあてたり、ラグビーボールをパスしていたり。ジロジロと見ないように注意しつつ、あちこち観察しながら歩いてきた。

今日は通常営業! オンライン・ストア〈平凡〉もよろしくどうぞ〜。

2026/01/18

1/18 店日誌


またはじめて、手製本をした。ミュージシャンにたないけんさんの「いかだで銀河」という作品。彼の詩の中にみつけた一文「ちいさな景色にならないか」という言葉にとても救われた一年。実際はその詩はわたしが思う意味合いとは少し違うかもなのだけど、そうさせてくれる自由さがある。抜き出しておまじないのような気持ちでポッケにいれてる。

1月18日、日曜日。natunatunaが2025年を振り返る。つくば市に住む絵描きのナツナさん、ひょんなことで知り合い、やり取りがはじまってから20年。まさか、こんなに長く関係が続くとは……と書いて、違うんだよなー。そんな簡単な言葉ではまとめちゃいけない。ただの仲良しじゃないし、モヤモヤを抱えたこともある。それなりに歳を重ねるとエモーション&ソウルだけでは先に進めないときもある。それでも! どうにか、なんとか、できるだけ率直なやり取りを重ねて、今もこうして関係がつくれてる。

そんなナツナさんに誘ってもらって「安藤明子 と にたないけん」に出店するため、今日は16時までの短縮営業。会場はつくば市東光台〈キッチン ソイヤ〉。ソイヤは開店から20年とのことで、なんともまあ、ここにも書くべきことが沢山あるのだ。周年ナントカってのは好みじゃないのだけど、何かやれたらいいな〜と考えている。

(ライヴのイベントに本って必要なのか? みんな読みたい? そんな疑問を消しきれないまま、いくつか出店しているけど、ハッキリしてるのは手を抜くと反応もヌル〜くなるってこと。なのでしっかり真面目にやります。隣で〈つるばみコーヒー〉店主がコーヒーを淹れてくれるので、暖かくなると思います。)

というわけで、開店! オンライン・ストア〈平凡〉もよろしくどうぞ!

2026/01/17

1/17 店日誌


1月17日、土曜日。EXOTICO DE LAGO、LAKEの中核メンバーであり、曽我部恵一ランデヴーバンド等のギタリストでもある長久保寛之のソロ名義=EXODELIC『ROCK ‘EXCODELIC’ STEADY』が再入荷! 音のこもったロックステディ~エキゾチックなインストゥルメンタルに、不穏なビートが被さってくる……。息を飲んで耳を向けていると、異国調のギターリフが裏打ちを刻みはじめて、遠くで女性ヴォーカルも聴こえ出す。独自の揺らぎかたをするカセットテープは、2025年を象徴する作品のひとつ。

画像解像度とは、画像を構成する点の密度を表す数値で、自分がCDサイズのデザインを納品するときがだいたい400dpi(通常)なんですが、ごくたまにロックコーナーをゴソゴソ漁っていると、それを大きく逸脱しているであろう解像度おそらく72dpi(ネットにあげる画像くらいの解像度)くらいのジャケに出くわすことがあるんですが、とんでもない違和感と、同時に、自分たちは解像度というクオリティーコントロールに縛られていたことに気づくことが出来たんです。

TACT SATOが2025年を振り返る。常連メンバー、タクトくんの記事には厚みがあって、読みがいがある。わかりやすい形でソウル、エモーションが表明されないからスルスル読めるのだけど、よーく文字を追っていくと激アツのパッションが漏れ出している。毎年参加してくれるのが、とても嬉しい。

今日も通常営業! 明日18日(日)はイベント出店のため、16時までの短縮営業です。

2026/01/16

1/16 店日誌

東京という町の特色は、森鴎外のいう「普請中」にある。急速な近代化が進むからいつも工事が行われている。風景が次々に変わる。東京の人間はこの風景の激変を日常的に体験する。(…)京都や奈良のように(註:「な」が正しい?)古都とはそこが大きく違う。古都では「歴史」が重んじられるが、東京では小さな「記憶」が大事になる。(川本三郎)

1月16日、金曜日。今週に入って、川本三郎の著作をつづけて読んだ。『東京抒情』と『台湾、ローカル線、そして荷風』。上記引用部をふくむ前者の舞台は東京、後者はあちこちの町。どうやって移動して、どんな人と会い、どこで飲むのか───著者はときに迷い、困惑しながら乗り物や店の扉を開けていく。冒険や旅ってほど大袈裟なものじゃないけど、潔くさっぱりとした心持ちがよく伝わってきて、読んでいて気持ちがいい。

2025年を振り返ると、自分の中では大きな変化があった年だった。生まれ育った東京を離れ、宮崎県の高鍋町という町へ行くことになったのだ。アート作品を制作しながら町おこしをしていくという仕事を見つけ、それがたまたま高鍋町だった。

さいとうよしみが2025年を振り返る。長く暮らした経堂から縁もゆかりもない、宮崎県高鍋町へ───自ら選んだはずだけど、誰かに選ばれ、動かされたような引っ越しの顛末をそっちょくに綴ってくれた。「どんなに緻密な計画を立てたって、10年後のことは誰にもわからない」と実感できる人は、多くないと思う。

今日明日は通常営業。明後日18日(日)はイベント出店のため、短縮営業です。

2026/01/15

1/15 店日誌


1月15日、木曜日。年末年始に少しずつ読んでいたのは、panpanyaの漫画作品。白泉社・楽園コミックスで年1冊ペース(2014~2023年)で刊行されていた『蟹に誘われて』『枕魚』『動物たち』『二匹目の金魚』『グヤバノ・ホリデー』『おむすびの転がる町』『魚社会』『模型の町』『商店街のあゆみ』の9冊(に加えてもう1冊、全10冊)を常連マツノさんから買い取ったのだ。タイトルにつられて『おむすびの〜』から読みはじめて『魚社会』、『模型の町』、『商店街のあゆみ』と進んでいった。その後で『蟹に誘われて』から順に読んでいって『グヤバノ・ホリデー』に到着。

なんとなく読みだした、panpanya『グヤバノ・ホリデー』には脱帽。こんなにも懐の深い作品をつくる作家とは知らなかった。記憶のゆがみ、時間のながれに対しての鋭敏な感性。それを表現する柔らかな線。「知らない夏」には短篇小説のような味がある。

去年の5月にも『グヤバノ・ホリデー』を読んでいて、このとき書いた感想を友人がほめてくれたのを覚えている(嬉しかったんだ……)。漫画に関してはなにも知らない。もっと、色々読んでみたいと思っている。

仮面ライダーになりたいまま、気づけば40才になっていた人の話です。自分もへやで仮面ライダーのまねをして、1人でよく見えないてきとたたかっています。なので、読んだ時まず最初に、自分と同じことをしてるじゃん!とおどろき、なにか近い物を感じました。

だから当然、河野泰然くんが挙げてくれた作品リストを見ても分からないものばかり(ちいかわ? 漫画だったの……みたいな感じで)。もちろん最年少! 小学5年生の河野泰然が2025年を振り返る。読んでみてほしいです。

今日も通常営業! オンライン・ストア〈平凡〉もよろしくどうぞ〜。

2026/01/14

1/14 店日誌


やめるとき、一種のイベントごとのように消費した人たちに伝えたいことはずっと変わらない。あったものはすぐなくなるということ。誰かの何かに期待してただ待っているより、私はそんなものに頼らず、次に行く。(小倉快子)

1月14日、水曜日。年明けに読んだ、小倉快子『私の愛おしい場所 BOOKS f3の日々』についてよく考える。ふとしたときに書かれていたこと思い出して、自分の現状に置き替えてみたり、近隣の店と並べてみたり。上記した一節は閉業したあとの日記で見つけた(「2021年9月18日」)。はじめるとき、やめるとき。開店⚪︎⚪︎周年を迎えるとき。堂々と誉を受ける機会が店に与えられる。そんなのどう考えてもおかしいし、淡々と静かに営業を続ける人こそ評価されるべき───と書いて、気がつくのはそういう人は大きく、わかりやすい評価など欲していないってこと。

同書を取り上げた1/5の読書日記を自分はこう閉じている。「いま、小倉さんはどんな風に暮らしているのかな。また、店をやりたいなーとか思っているんだろうか」、この「とか」はよくない。「また、店をやりたいなーと思っているんだろうか」と書く方が正しい。

覚悟を決めるのが向いてないなら/混沌の中に身を投じてみるのもいいと思いたい/投じた先に何があるのかわからないけれど/2026年も楽しみながら流れに身を任せていきたいなと思いました。


植田彩乃が2025年を振り返る。ピカピカの筑波大生だった植田さんも大学院生。たぶん今も光ったり翳ったりしてるのだろうけど、こうしてテキストを送ってくれることが嬉しいし、ありがたい(自分で決めなよ〜と言っていたのが、誰でもなく、オレである……)。

今日も通常営業! 週末18日(日)はイベント出店のため、短縮営業です。

2026/01/13

1/13 雑記

年末に歩いた流山セントラルパーク駅周辺を再訪、平井〜平和台を越えて、〈BOOK OFF SUPER BAZAAR イトーヨーカドー流山店〉まで歩いていく。時間にして10分ちょいだったかな、坂をくだっていくと小さな平和台駅が現れる。ささやかなロータリー、ちょっとした町場の雰囲気を感じつつイトーヨーカドー3階のブックオフに入店。なんと、今日から550円以下の音源セール(40%OFF!)がはじまっていて、レコード棚で目を皿にする。ここで3枚購入。

本とCDもチョイと見たのち退店。きた道を戻っていくと、小さな新刊書店と精肉店が並んでる。焼き鳥が食べたくなるもぐっと我慢。そのままセントラルパーク駅に戻ると、もわっと熱い! パーカーとライトダウンを抜いで、また歩きだす。流山おおたかの森駅まで、体感で約15分、つくば市でいうところの研究学園みたいな風景。味はないけど、知らない町のつくりを観察するのは面白い。

東武線に乗り換えて、柏を目指す。目的地はディスクユニオン。レゲエとジャズのレコードを1枚ずつ購入。最近、改めて聴き直しているセロニアス・モンクの桑港独奏盤を見つけて、喜ぶ。こうなりゃ、あとは帰るだけ! さっさと電車に乗って14時半頃につくば駅に帰ってきた。

それにしてもよく歩いたなァ……右の踵がジンジン痛い。履き慣れない靴を履いたからか。

2026/01/12

1/12 店日誌


1月12日、月曜日。冷たい風がビューーーっ(ゴォォォォォォって感じだったかな)と吹いたら、家の中は砂だらけ。大学内の自転車は倒れまくり、大きめの枝がボキっと折れていた。あんな強風はめったに吹かない。屋外出店があった人たちは大変だっただろうなァ……。中身のないことを書きつつ、なにかアイデアが沸くかなーっと待っているけど、ダメそうです。書くことが見つからない日もありますね。

独立型音楽家? こんな呼称で伝わるかな〜と心配ではあるのだけど、筋が通っていて、創意工夫に長けた人。東郷清丸さんの自主製作本『東郷清丸(34)』を仕入れました。よくありそうだけど、これに似たものはそんなに多くないと思ってます。

今日も通常営業〜! 本の買取、在庫確認などのお問い合わせはお気軽に。

2026/01/11

1/11 店日誌


1月11日、日曜日。『GO ON(轟音)』を手がける牧田幸恵さんが足を運んでくれて、前号までの精算をしたのち、新作冊子も買い取る。共通の知人の動向(いい話ばかりです)など、ワチャワチャやり取りをして「じゃあ、そろそろ……」って頃に現れたのは増田さん。数年前まで『サテツマガジン』なる小冊子を発行していて、好奇心旺盛、つねにあちこちを動き回っている人なのだけれど、なんと牧田さんと顔見知り。へーっと驚くも、なんとなく納得して、そのまま牧田さんを送り出す。

2025年は、映画というよりも「これが人生」と思うことばかりで「私の人生が映画よりつまらないなんてあり得ない」という言葉以上の1年だった。伝えたいことは山ほどあるのだが、今回はある人との出会いについて書きたいと思う。

牧田幸恵が2025年を振り返る、冒頭の「私の人生が映画よりつまらないなんてあり得ない」ってフレーズが強烈で、かなり変わった人だと思われる節もある。でも、読んでみて分かるのは、牧田さんは小手先でごまかせないんだなーってこと。0か100かの選択肢しかないってのは大変だろうけど、インディー雑誌の発行を続けるには、それだけのエネルギーが必要なのだ。今後も牧田さんの活動を応援したい。

スライ・ストーン/新井崇嗣(訳)『スライ・ストーン自叙伝』と『ele-king』vol.36が同時入荷! エレキングは現状の音楽シーン、その背景にある社会と文化事情を知るにはうってつけのメディアなので、少部数でも継続して扱っていきたい(でも、もうちょい掛け率をよくしてほしい……)。

今日明日も通常営業! オンライン・ストア〈平凡〉もどうぞよろしく!

2026/01/10

1/10 店日誌


1月10日、土曜日。水戸に住む友人マサキ(源氏名はUmiaq Muu)がつくったカセットテープ『A Brighter Summer Day』が好評だ。一昨日受け取って、オンライン・ストアにあげた分があっというまに売れてしまう。初回、前回で友人まわりには行き渡ったのかなーと思っていて、そこまで動かないだろーと見立てていたから、びっくり。やるじゃないか、マサキ。正直、ウミアクムーという名前は覚えづらくてアレなのだけど、いいムードをつくってくれてるのは間違いない。今週末は店でもチョイチョイ流してみよう。

恥ずかしい話が、この歳になって完全に思春期がぶり返してしまい、忙しさによるhighも手伝って、感情の起伏が荒波のようにコントロール出来なくなってしまった場面も多々あった。店と、少数の友人が、ギリ繋いでくれた。いい歳して、大人の振る舞いが出来なくて、吐露した感情や自分の態度に、厳しい言葉を貰う時もあった。

鹿児島市名山町〈食堂 湯湯〉店主、中村友貴が2025年を振り返る。中村くんには毎年参加してもらっていて、年毎の熱が伝わるテキストを仕上げてくれる。カッコつけようにもどうにもならない場面あり、注目度だけが増していく状況にもどかしさもあるのかな。でも、いいじゃん! きっと、湯湯にはこれから味が染みてくる。10年経ったらどんな店になってるのか、楽しみだ。

いやーーー二日酔いじゃないって、なんて幸せ! 景色もきれいで、空気もおいしい。本が読めて、コーヒーが飲めて、音楽も聴ける。普通にできるだけでオーケーだ。

今日明日、明後日は通常営業。お暇があればご来店ください。

2026/01/09

1/9 店日誌


1月9日、金曜日。14時過ぎにマスヤマくんが来たので、店を任せて散歩にでる。天気はいいが空気は冷たい。早足でスタスタ歩いて身体を暖める。気の向くままに筑波大から天久保公園、古着屋mayとぐるっと回って30分ちょい。戻ってくるとマスヤマくんはさっきと同じ場所で本を読み耽っていた。買い取ったばかりの『Switch』の会計をしつつ色々と話を聞く。作ったZINE、バイト、これからのやりたいことなどをボソボソと伝えてくれる。うーん、そりゃどうかな〜とかたまに言いつつ、おおむね肯定して送り出す。

筑波大学芸術専攻学部の卒業制作展のポスターを持ってきたり、この週末に成人式に出ると話してくれたり、学生さんの出入りがチラホラ。さっと100円の文庫を買う人がいれば、当店オリジナルのトートバッグを手に取る人もいた。今日も開けててよかったなァ。

明日からの3連休も通常営業! お暇があればご来店ください〜。

2026/01/08

1/8 店日誌

1月8日、木曜日。ロボ宙さんの7インチ、『RINGO feat.OMSB/You & I』がとてもいい! A面「RINGO」ってのはあの「リンゴ」で、まあベタっちゃあベタなのだけど、嫌味がなくてスーッと聴ける。客演OMSBのラップ、リリックも街歩きの風景をスケッチしたような内容で好感触。B面「You & I」は昨年リリースされたCDRも大好評だった、あの名曲。散歩と口笛、友だち、好きな音楽と本、食事、酒があるしあわせ……。聴いてると暖かなムードがじわーっと広がって、満たされる。いい曲なんだよねェ。

師走のある日。描けない現実から逃避して、自転車で善福寺池まで行ってみた。描けないのは、細馬宏通さんの「東京なでなで記」の挿し絵で、描き方がわからなくなった。もともと「描けた」わけじゃないけどね。ありがたくもこうしてときどき、絵を描かせてもらったりするのだ。

こんな風に書き出されるのは、北林研二が2025年を振り返る。直にお会いしたのはずいぶん前で、たぶん10年くらいはお話もできてないのだけど、通販やSNSを通してのやり取りが少なくないから身近な人って気分がある。北林さんの描く絵、選ぶ音楽どちらのセンスも抜群で、いいな〜大好きだな〜と思ってる。

明日9日(金)から名古屋の金山〈ブラジルコーヒー〉でナツナさんの個展「最後の夢でもかまわない」が始まって、明後日10日(土)には和田彩個展「the morning sun」も始まるらしい。後者の会場はつくば市〈Cox/Shingoster LIVING〉。

今日から通常営業に戻ります! オンライン・ストア〈平凡〉もどうぞよろしく。

2026/01/07

1/7 店日誌


1月7日、水曜日。休んじゃおうかな〜と思ってたし、ブログにもそう書いたのだけど、けっきょく普通に開けている。理由としては、届くものがあること(入荷と補充)、古本の値付けが終わってないこと(年末年始に買い取った松岡正剛の書籍群に加えて、ジャズCDもあり)が挙げられる。なんとも意味なく、書いててバカみたいだなァ……と思ったら雪が降ってきた(現在7時40分)。冬本番。こうなると外に出る気もなくなってくる。

一昨日、5日に公開を終えた「2025年を振り返る」。過去最多の20人が参加してくれたこの企画、自分自身がしっかり振り返って、まとめなきゃいけない。作業を終えた途端にC調なノリ言葉しか出てこなくなり困ってるのだが、どうにもならず。前からそんなもんだろ! とツッコミを入れて開き直る。

2月は大雪だったけど、午前中に雪かきした後もへたばらずにカメとハトの皮を剥いているじゃないか。カメは腹甲を開けるのが大変だし開けたらすぐ内臓で気持ちが下がるし、ハトは皮が薄くて肉がネバ付いていて凄く面倒なのに、さすがだ。その後もハイペースで制作している。

ずいぶん前からの知り合いで、石川県輪島市在住の剥製士・上野郁代の記録は、かなり貴重じゃなかろうか。「カメの腹甲を開ける」とか「オオサンショウウオの交雑個体のみ記録」ってのはそうそう読めるものじゃないと思う。

さあさあ、今日もやるぞ! 18時までの短縮営業ですが、よろしくどうぞ〜。

2026/01/06

1/6 店日誌


1月6日、火曜日。“スリープ・ナウ・イン・ザ・ファイア”のイントロが脳内で再生される。ジャカジャカジャージャーとファンキーなリフを奏でるトム・モレロと目が合った(と思ってる)のは2000年の6月24日(土)の幕張メッセ、1曲目は“キック・アウト・ザ・ジャムズ”でステージ袖に超ノリノリのリック・ルービンがいたんだよなー(事実かどうかは未確認。誰か知ってる人いますかね?)と考えつつ歩いていると、いつの間にかスマップの“シェイク”に変わっていた。今日会わない? ってキミの電話〜。

定休日なんだけど開けるのは正月休みもあったし、特別な予定もないからで、なんなら明日は休んで湯浅湾のライブを観にいこうかな〜と考えている。真昼間の東京、お茶の水界隈を歩きたいんだよなァ。

そんなわけで、今日も営業中! お暇があればご来店ください〜。

2026/01/05

森本英人が2025年を振り返る

 ZINEを出しましょう。もちろん、ぜひやりましょう、という話をしながら、その実、ZINEというものがなんだかさっぱりわからない。ZINEフェスやアートブック・フェアに足を運んでみたけれどもやっぱりわからない。というか、ますますわからなくなってしまった。そもそも手に取って読んでみたいと思えるものに出会えていない。そんな状態がもう2年も続いていた。自分はなにか思い違いをしているんじゃないのか。

 夏が終わるころ、たまたま見つけたシカゴのZINE専門のオンライン・ショップでなんとなくおもしろそうなZINEをみつけたのをきっかけに、いくつかその手のショップを辿って、けっこうな量を買い込んだ。

 『1900年代初期のボストンにおけるイタリア人相互扶助組合について』、『移動式監獄展示バス:20世紀中期の少年犯罪防止方法』、『パレスチナのレコード・ジャケットのグラフィック・デザイン集』、『カントリーのもっとも有名かつレアなシングル盤「PSYCHO」の物語』、『ドラックにまつわるカントリー・ソング10選』、『シカゴ・リーダー紙所有のミュージシャン宣材フォト・コレクション』、『ヒップホップの黄金期におけるミリタント&アフロセントリックなロゴ&アイコン集』などなど。だいたい5ドルから8ドル、高くて11ドルといったところ。

 送られてきたZINEの、おそらくどれも自分たち自身で裁断、中綴じをして製本したらしい、愛くるしい無骨さに驚いた。

 『12月3日』というタイトルのZINEは、アメリカ中西部で1990年12月3日に起きると予言されながら、実際には起きなかった地震の騒動の記録。『キッチンから』は、教会や地域コミュニティの活動資金を得るために、アメリカの様々な地域で販売されていたクックブック(我が家のレシピ集)のコレクションと考察。『ポスチュマス』は、いまはクローズしてしまった、全米各地のローカル・ミュージック・シーンを支えたDIYイベント・スペースへの愛情溢れる追悼文集。『アントニア』は、自分が生まれ育った町に似ていると思えるようなものをいままで読んだことも見たこともないという作者が、その郵便番号もない小さな故郷の田舎町アントニアについて綴ったZINE。その町がとりたててユニークなわけではない。ただ「わたしが出会った田舎の描写は、親しみが持てず、あまりにも辺鄙だったり、あまりにも馴れ馴れしかったり、あまりにも単純で、あまりにも貧しく、あまりにも不気味で、あまりにもロマンチックすぎる世界のように思えた」。『フィッシュ・イン:1960年代の黒人とネイティヴ・インディアンの連帯』を読んで、1960年代当時、ネイティヴ・インディアンの団体が黒人の公民権運動からは距離をとっていたということをはじめて知った。その流れに逆らって、公民権運動に刺激を受けたネイティヴ・インディアンの若者たちが行ったある抗議活動に、黒人たちも連帯を示し加わったという記録を拾い集めたZINE。『逆さまのパンクス:フガジ・バスケットボール・リング・ショウの奇妙な真実の物語』は、ワシントンD.C.のパンク・バンド、フガジがデビュー直前に行った伝説のライヴの舞台裏を、イベントのオーガナイズなどまったく未経験だった当時19歳の主宰者に寄り添って描いたもの。彼はずっとライヴは失敗だったと思っていたし、その後二度とイベントを主催することはなかった。

 どれもとてもローカルで、ときにとてもパーソナルなテーマ、歴史のエアポケットに落ちたまま忘れ去られてしまった出来事にフォーカスしているのに、時間をかけて丁寧にホコリや泥を取りのぞいたさきに見えてくるものに、一転して親密な、現在の自分とどこかで確実につながっているという感覚を覚える。

 『なぜファシズムの時代に自費出版を?/その出版日記』には、ZINEの出版/ディストリビューションを行っている著者の活動がどのようにしてはじまったのかが記されている。それはアーティストの友人とランチを共にしていたときの次のような会話からはじまった。「莫大な冨と権力を持つ最低の連中にとって可能なかぎり役に立たないアートのかたちってなんだろう?」。著者が考えたのは「まずは7ドルのZINEからはじめてみよう」。

  僕が気になったZINEの出版や流通を手掛けている人たちの声を拾い集めていると、80年代後半のワシントンD.C.のパンク〜ポスト・ハードコア・ムーヴメントに少なからず影響を受けている様子が伝わってきてなんだかうれしくなってしまった。フガジを聴いて育ったティーンエイジャーが、それから30年以上たったいま、ZINEの制作、出版を楽しんでいる。素敵じゃないか。

 いくつかのZINEを読みをえたいま、その認識は半分間違っていたのかなという気もしてくる。むしろフガジやディスコードのDIY活動が成立しえたのは、そもそもこうした若者たちの存在があったからじゃないのか。

 アンダーグラウンドでもインディペンデントでも、オルタナティヴでもなんでもいいが、そこがメインストリーム予備軍の溜まり場だとしたら、僕にとってこれほどつまらないことはない。

「許可を待たずになにかをつくる自由を体験すること」

「アンコントローラブルであること」

なぜファシズムの時代に自費出版を?/その出版日記)

 ZINEという手法でしか伝えられないものがあるということを、やっと実感できた気がしている。アンダーグラウンドにもインディペンデントにも、その存在をかけて貫くべき本分、守らなくてはならない領域というのものがあるはずだ。

惣田紗希が2025年を振り返る


2025年はいろいろなことから10年が経ち、それぞれのそれからの10年目に立ち会い、自分でも10年ぶり、それ以上ぶりにやってみることが多い年だった。10年以上個人のまま仕事をやっていると、今現在が過去の仕事に責任として反映されていくような気もするし、流れ去っていくものが大半な気もするし、そんななかで何がどう積み重なっていくのだろうと思う。

年始に本棚に入らなくなった本を整理して、売るなりなんなり処分してもいいかと思った本を振り分けてみたら山のように積み上がった。ここ数年、グラフィックデザイナーやイラストレーターや建築家が足利に移住してきているという状況を間接的にぼんやり把握していたので、その人たちに声をかけて古本イベントをやってみるかと企画。ただただこの本の山を処分したいという一心で。

とりあえず同級生のデザイナーの鶴見と、鶴見とオフィスをシェアしている建築家の丸さんと、イラストレーターの村松くんに声をかける。村松くんはPEOPLEの民、河合浩さんから足利=惣田と聞いていたらしい移住者で、つくばとの縁がある。村松くんは欠席となったけど、鶴見と丸さんのオフィスを会場として使えることになり、GO ON牧田さんとサトウタクトくんに声をかけ、ashikaga social spot と銘打ってとりあえずやってみた。

やってみると、出店者も来場者もそれぞれ個人の文化を持ち寄るみたいな感じでおもしろかった。イベントを終えた日の夜に15周年だったマーラーズパーラーにタクトくんを連れて行ったら、さっきまでのイベントでは見なかったとびきりの笑顔を輝かせ、全員初対面にも関わらず10年友達みたいな絡みと面構えをしていておののいた。「この感じPEOPLEに近いかも!」と大声で言っていた。

それ以降、個展と仕事で4月以降は毎日締切フルマラソン状態で、ドタバタ駆け抜けていった。その間、ashikaga social spot 第二弾を牧田さんとタクトくんが企画してくれて、ただ楽しみにしている人となる喜びを味わう。


第二弾に牧田さんとタクトくんが揃えたのは、つくづくの金井さん、PEOPLEの植田さん、pottmann、そして足利のフレッシュ枠の速水くん。

PEOPLEには2014年に河合さんの展示を目的に初めて行って、それ以来ちょくちょく通うなか、いつだったか白い紙に青い線画の絵が印刷されたポスターを植田さんが指差し、「最近この人おもしろいよーサトウタクトくん」と言っていたのを覚えている。更にある日、マーラーズパーラーで牧田さんと打ち合わせした時、牧田さんがタクトくんデザインのつくづくTシャツを着ており、タクトくんが足利に移住してきたことを植田さんに聞いていた状態で「これを足利で着て歩いてたらサトウタクトくんに気づいてもらえるかも!」と言っていた。その時は、遠回りすぎでは? と思いつつ、一連の流れを全て伏線回収するような日となった。打ち上げでは金井さんと植田さんがジジイぶりを発揮していてやかましかったけど、片付けを終えて合流した牧田さんがそのふたりの上を行くやかましさで全てを覆い尽くしてきたので、金井さんがおとなしくなっていた。

コロナ禍以降全然行けていなかったPEOPLEの品揃えは足利でも輝いていて、ひとつの興味が水切りの石のようにビュンビュン飛んでいくような楽しさがあった。やはりお店に行かないとだな。SNS上の情報や流れを受け止めきれないというか、考える余地よりも即座の反応が求められているような感じがしんどくなると、アプリを消して距離をとるようにしている。紙やブログ、対面では話せることや受け取れることが増える。わたしは対面ではめちゃくちゃ顔に出るけど、SNSで見えてるところだけで理想を固められても困る。そこに辿り着くまでの移動を経て、実存を確かめ合って、それから少しだけ対等でいられる時間を過ごせるようになるのかもしれない。また2026年もなにかやれたらいいな。

写真:打ち上げのあと雨のなか拳を振りかざし宿に向かう植田さんと見守る牧田さん

キングジョーが2025年を振り返る


2025年を振り返ると、2月に転職して夜勤中心の生活になったことが自分にとって大きな変化でした。

夜勤明けに帰宅してひと息つくと、平日の昼間に自由な身であることが嬉しくやたらと映画館に行ってたような気がします。

『シビル・ウォー』『サブスタンス』『愛はステロイド』『スプリングスティーン 孤独のハイウェイ』と、残忍もしくは陰気で自意識こじらせたようなやつ、他人への共感能力に決定的な欠如のあるやつが出てくる映画ばっかり観てたように思います。

決定打は『ボディビルダー』。劇中、主人公による陰湿な意趣返しのシーン。そのシーンでラジカセから流れる音楽に上記残忍or陰気映画が一本の線でつながった気がして、その線が「現在のダークサイド」を象徴しているように思えて、震えました。

※その反動で、友人のDJ薬師丸さんにお勧めされた映画『シャドウズ・エッジ』を観た時、齢70でまだまだ元気にスタントをこなすジャッキー・チェンに心が洗われるようなスッキリとした気持ちになりました。敵の「影」と呼ばれるおじさんも又良くて。老いも若いもAIも皆で力を合わせて悪を倒して。かと思ったらラストで根絶ではないことが雑に暗示されて。


あと大きかったのは、10年近く集めてたタイのレコードでミックスCDを作ったこと。アジア音楽と文化を“タムブン”の精神で伝えるメディア”てんぱりてんぷる”やタイ音楽DJのKO MEGさんによる活動を見て「おれもなんかしたい」と思い立ったことがきっかけでした。これが当初思ってたよりも沢山の人に聴いていただけて(ありがとうございます!)嬉しいよりもビックリしました。

※ちなみに大阪は淡路の自転車屋兼サムシングを売る店タラウマラに本ミックスCDを卸しに行った際、偶然店内で居合わせた植田さんを店主土井くんに紹介していただいたのがご縁で今にいたります。

「ミックスは三部作にしよう」と決めてたのですが、それほどタイのレコードを沢山持ってる訳でなく(普通だとなかなか買えない)(筆者はタイに行ったこともない)、キラー曲は根こそぎ最初のミックスに入れたんで「2作目でクオリティが落ちたよね」「まあしゃあない。ジョーもよう頑張ったんちゃう」と言われるのも嫌なので、続編の為に秋以降はオークションを中心にタイのレコードを探しては買いを繰り返してました。特に現地から出品してくれる日本のディーラーの方からよく買ってたのですが、タイから送ってくれるのでうちに届くのに10日弱かかるんです。待つのも楽しいものですが、そうして待ってる間にその人が又良いレコードを出品するんで、待ってる間にまた買って、それの到着を待ってる間にまた・・・みたいなことがずっと続いて先週ようやくひと区切りつきました。これから最終の選盤と曲順を練ってライブ録音に挑みます。上手に繋ぐことができるか、今から不安です。

タイの音楽、ほぼ情報が無い(探せばあるけど)上に、文字も読めない(ひと手間かければ判読できるけど)のでオークションにリンクされた試聴ファイルをじっくり聴いて判断したり、試聴不可能の場合はオークションに添えられた紹介文を必要以上に信用して、イチかバチかに賭けるような買い方をしてます。燃費は悪いけど、「すごい!」と思える曲に出会えた時の、脳汁がドバドバ溢れるような興奮の迸り、驚きと発見は趣味を超え最早や生きがいとなりつつあります。


タイ以外にも盟友の佐藤マタが手ほどきしてくれるインドネシアの音楽や、昨年の盆に度肝を抜かれた朋友・長谷川陽平の回したトルコのサイケロック(陽平氏は大韓ロックのオーソリティでもあります)、そろそろ手をつけたいシンガポール界隈のア・ゴーゴー、映像も込みで観たい知りたい聴きたいボリウッドもの他、アジアの音楽への興味は日増しに膨らむばかり。

心を揺さぶるカッコいい曲に少しでも多く出逢うこと、それを大きい音で回して誰よりも踊り狂うことが今年の目標です。

(キングジョー)