2025/01/01

河野友花が2024年を振り返る

2024年も逃(のが)したもの多し。けれど、過去に逃したものがめぐって来るようなことも多かった気がします。時間は有限、体はひとつで、だからこそ余裕で逃して、わたし、次を待つわ。ピアニスト・髙野なつみさんのアルバム『くう』は、「待つわ」の落ち着きをくれる、深呼吸みたいな音楽。「海辺の貝殻のようにうつろで、ひと足でふみつぶされそう」な時などにも、よく聴きました。

 私のうつろな貝殻の内側を満たした、“this year’s encounters”、印象に残った2024年のあれこれ。


【本】;ページ数順    

「その地」「この地」に自分の足で立って、実地で『黒い雨』を読んだのが、2024年いちばんの読書体験。


  1. 大江健三郎『大江健三郎自選短編』(岩波文庫)840p
  2. グレッグ・ルキアノフ、ジョナサン・ハイト/西川由紀子 訳『傷つきやすいアメリカの大学生たち――大学と若者をダメにする「善意」と「誤った信念」の正体』(草思社)457p
  3. 井伏鱒二『黒い雨』(新潮文庫)403p
  4. ミランダ・ジュライ/岸本佐知子 訳『最初の悪い男』(新潮クレスト・ブックス)346p
  5. すばる 2024年11月号『第48回 すばる文学賞発表』(集英社)324p
  6. 金子玲介『死んだ山田と教室』(講談社)300p
  7. 鈴木大介『ネット右翼になった父』(講談社現代新書)245p
  8. カフカ/頭木弘樹 編訳『カフカ断片集――海辺の貝殻のようにうつろで、ひと足でふみつぶされそうだ――』(新潮文庫)222p
  9. 豊永浩平『月ぬ走いや、馬ぬ走い 』(講談社)160p
  10. 芸術新潮 1984年12月号『特集 ゴッホは自殺ではないという渇愛の8章』(新潮社)152p
  11. ヴィスワヴァ・シンボルスカ/沼野充義 訳『終わりと始まり』(未知谷)126p 
  12. 石内都『ひろしま』(集英社)78p



【映画】;長い順 

2024年はとにかくヘンな映画が多かった!見逃した中にもきっとたくさんあったはず。


  1. アリ・アスター監督『ボーはおそれている』179分
  2. ヴィクトル・エリセ監督『瞳をとじて』169分
  3. ショーン・ダーキン監督『アイアンクロー』132分
  4. ルカ・グァダニーノ監督『チャレンジャーズ』131分
  5. ケリー・ライカート監督『ファースト・カウ』122分
  6. ローラ・ポイトラス監督『愛と殺戮のすべて』121分
  7. スティーブン・ダルドリー監督『リトル・ダンサー デジタルリマスター版』111分
  8. トッド・ヘインズ監督『メイ・ディセンバー』117分
  9. 濱口竜介監督『悪は存在しない』106分
  10. パブロ・ペルヘル監督『ロボット・ドリームズ』102分
  11. リーズ・アコカ、ロマーヌ・ゲレ監督『最悪な子どもたち』99分
  12. バス・ドゥボス監督『Here』83分
  13. ロブ・エブスタイン監督『ナチ刑法175条』81分
  14. ニコ・マンサーノ監督『博士の綺奏曲』78分



【その他】;行った順 

103万円の壁を踏み越え、今年もいろいろ見に行きました。


  1. 長塚圭史 演出『三浦半島の人魚姫』『箱根山の美女と野獣』(神奈川芸術劇場、川崎市アートセンター小劇場)2/8、2/21
  2. 『キース・ヘリング展 Art to the Streets』(森アーツセンターギャラリー) 2/19
  3. Zé Ibarra(www)4/18
  4. Tomi Lebrero(和光鶴川小学校 体育館)4/30
  5. 『帰って来た橋本治展』(神奈川近代文学館)5/24
  6. 『三島喜美代―― 未来への記憶展』(練馬区立美術館)7/4
  7. 広島 8/5~8
  8. 山口洋佑個展『さわれない光』(URESICA)8/31
  9. Carlos Aguirre(『Piano Era 2024』めぐろパーシモンホール)11/24
  10. 『アレック・ソス 部屋についての部屋』+『現在地への眼差し 日本の新進作家vol.21』(東京都写真美術館)12/19

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